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メーカーにおけるサービスデザインのもやもや

谷です。自分自身がメーカーで働く中、サービスデザインの実践について、周囲や同業者と話していて感じる課題をまとめました。 

サービスデザイン的な手法は今までも使っていたものの、今後はより意識的にそのプロセスを取り入れていきたい、という個人的欲求から、まずもやもやを書き出してみたものです。分析や改善策までは踏み込めていません。

実践が伴っていないので、今後さらに具体的な課題が見えてくるかも……。


前提

・現状、UIデザイナーが業務の中でサービスデザイン的手法を用いることが多い
・サービスデザイナーの肩書きを持って働く人材は限りなく少ない
・便宜上「サービスデザインの手法」は安藤先生の資料18ページを想定
・ここに書いたことが自分だけの課題なのか、業界全体の課題なのかは不明
・あくまで自分の頭の整理として記しています


いいところ

・メーカーでもサービスデザイン手法の実践を行なっている
・新規事業案件や先行提案にもデザイナーが関われるため、プロジェクトの上流工程から参画する機会がある
・IoT化の流れで「モノ売りだけではいけない」という前提が業界全体に改めて浸透した


課題

サービスデザインスキルを持っていることが認知されていない
他部署から、デザイン部門がコンセプト策定の部分から入り込めるスキルセットを持っていると認知されていない。外に発信できていない。(狭義のデザイナーとしての認識)

実践の場が少ない
前述の理由から、サービスデザインの手法を使えるプロジェクトの数が少なく、実績が積みにくい。

バックヤードまで関わりづらい
関係が深いのが企画部門とエンジニアの2つだけで、それ以外のパイプがないことが多い。バックヤードの部分まで踏み込みづらい/そういった役割を期待されていない/そこに割ける人員がない。

営業ツールに終始してしまうことがある
クライアントとの「共創」にデザイナーが関わるが、打ち上げ花火的にWSが開かれるだけで終わることがある。(営業支援としては正しい)

経営層を巻き込みづらい
WSに経営層が参加していない。プロジェクトメンバーと経営層の距離が遠い。そもそも1プロジェクトあたりの関係者が多くなりがち。

提案の価値を経営層に分かってもらいづらい
担当者間では合意が取れても、経営層へのプレゼンで価値が伝わりづらい。効果的に伝える方法が確立されていない。

貢献度やフィードバックが伝わりづらい
サービスデザイン手法を使ったことによる効果を数値で測りにくい。KPIの設定をどこに置けばよいか不明瞭。また、納品の段階でデザイナーの役割が終了し、その後の顧客のフィードバックが掴めないことがある。

部門内でもサービスデザインの認識に差がある
特に年齢層が上のプロダクトデザイナーにサービスデザインが認知されていない。評価の対象になりにくい、遠回りな手法にとられる。またUIデザイナーやUXデザイナーの中でもサービスデザインの定義がしっかり固まっていない。

つらつらと書きましたが、課題が多すぎて絶望している......というわけではなく、また、そもそもここに書いてある課題全てを解決する必要もないという認識です。
メーカーはメーカーなりのサービスデザインの取り入れ方があるんじゃないかなー、とりあえずサービスデザインの手法を使う機会を増やして良いデザインができるようになれればいいなー......と、ゆるく考えています。
(そうは言っても、手法を使うだけでサービスデザインの上澄みしかすくえてないみたいなことは避けたいなーとも……)

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