記事一覧
動物と文学コレクション(『江古田文学』97号)から
ジョージ・オーウェル 開高健(訳) 『動物農場』
(ちくま文庫 原著1945年)
▼欲望の果てに
「日本を、取り戻す。」という経済成長戦略の結果がもたらしたのは富の集中と格差の拡大。しかし持つものが持たざるものから掠めとるという構図は、そのひずみが増し、歪みが大きくなるにつれ破局を迎える。本作はこれまで不当にその労働力や生産物を搾取され続けてきた動物(豚や馬などの家畜)たちが「荘園農場」から
知識の詰まった脳味噌を吸われることについて僕が考えたこと──村上春樹「図書館奇譚」から
2018年、村上春樹が自筆原稿や蔵書、レコードコレクションなどを母校の早稲田大学に寄贈、これを受けた早稲田大学は国内外の文学研究者がこれらの資料を活用できる「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」の設立を目指す、という報道を目にしたとき、30年来村上作品を愛読してきた一読者として、それはにわかには信じがたい、なにかの悪い冗談なのではないかと、そのニュースソースの信頼性への疑問を含め、つよい衝撃を受
もっとみるあたらしい古典を求めて
鷲田清一は「折々のことば」(朝日新聞 2020年10月15日)でイタロルヴィーノの「なぜ古典を読むのか」から「若いときに読んだ本のなかでももっとも重要なものを、人生のある時間に、もう一度読んでみることが大切だ」という一節をひき、古典は「集団や個人の無意識の記憶の襲の内にまでしみ込むことで時代を潜り抜けてきた」からこそ「読む人の経験を分類する枠、価値を測る尺度ともなってきた」とその役割について紹介
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