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スタジオ立ち上げ奮闘記「現状維持バイアスとの戦い」

こんにちは。株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」の林です。
今回は、Tangityのデザインスタジオ「AQUAIR」の開設後約数ヶ月の頃を回想しながら、「変えることの難しさ」について書きたいと思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

1.まるでホテルのラウンジ、快適なオフィス(?)

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初回の記事で、スタジオ設立(写真)について紹介しました。
オープン直後のドタバタを何とか乗り越え、多少気持ちの余裕が出てきたある日、スタジオメンバーからこんな声が出始めました。

「なんかここ、働きにくいような気が」

こんな贅沢な場所で働かせてもらっている身で、何を言っているのか。
という声が聞こえてきそうですが、スタジオメンバーも、そう思っているからこそ、当初はこんなことを軽々しく口にできませんでした。

「ここまで苦労して立ち上げたスタジオに欠点があるはずがない」と心のどこかで思いたかったのもあります。

また、「これまでずっと勤務していたオフィスに慣れていたから、違う環境に置かれて戸惑っているんだよね、私。そのうち慣れるよね」と思っていた人もいるかもしれません。

しかし、これから、大事なお客様にお使いいただくスタジオです。そのままで良いのでしょうか。

2.日々の作業には、集中できる執務スペース

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その日をきっかけに、私たちは「スタジオを綺麗なだけじゃなく、働きやすい場所にするには?」について、頻繁に話題にするようになりました。

「執務スペースが上品で静かすぎる」
「広いので、声が響きすぎる。」
「コツコツと自分の歩く音が響きすぎて、忍者のように歩いてしまう」
「普通に話してもいいのに、ついヒソヒソと話してしまう」

みんな、実はこんなにため込んでいたのか!と思うほど、堰を切ったように出てくる出てくる。
ここに書き切れないほどの会話と議論がありましたが、総括すると、「お客様への技術展示説明や1-2時間の打ち合わせなどでは大きな問題は発生していないが、1日中スタジオにいると少々疲れる」というものでした。
スタジオの設立目的を考えると、放っておくわけにはいかない問題です。

3.現状維持バイアス

その頃からさらに1年たった今、私たちはデザインプロセスによりいくつかの改善策を出し、当初より快適な環境に変えつつあります。(今も継続中です)
改善策は、今後機会がありましたらご紹介しますが、今日書きたいのは「変わること」そのものについてです。
数ヶ月も我慢せずに、すぐに「いまいちだから、直そうよ」という雰囲気にならなかったのはなぜなのでしょう。

・これまでのスタジオ設立の苦労を知っているが故に、とても指摘できない、という人間関係への気遣い
・もともと高級感を出そうとして作っているんだしそれになじまない自分が悪い、と思っている
・そもそも会社員たるもの 不平不満自体など言ってはいけないもの、と思っている
・どっちでも良い、耐えられないこともない、と思っている

など様々な原因が考えられます。

このように「必ずしも現状維持が最前策ではないことを頭では薄々理解しているのだが、現状維持を選択してしまう」心理状態は、「現状維持バイアス」がかかっている状態といえます。

この「現状維持バイアス」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
前述のように日常のささいなところでも気づかぬうちに陥るもので、程度の差はあれ誰もが持っている人間の本能の一部ともいわれます。

4.イノベーションと先入観の打破

Tangityでは、デジタルビジネスのアイディアを検討するために、何か新しい取り組みをしたい、というご要望をお持ちのお客様から、多数のご相談をお受けしています。皆様、現状に何らかの課題感があり、変革していきたい、という思いをお持ちです。

イノベーションはその名のとおり変革を意味し、成功に近づくためには従来とは異なる角度から物事を見る目が必要とされます。
その際、元々持っている先入観は、イノベーションとは逆向きの力となるため、先入観に気付き、解消させることが重要です。
しかし、前述のとおり人間は半ば本能的に現状維持に流されがちであるため、克服するには少々工夫が必要です。

・数値やデータで客観的な状況を把握する
・小さな取り組みから始めて効果や損失を予測してみる
・組織外の第三者に意見を伺う
・このまま変わらなかったらどうなるのか、を予測する

など、いくつかあります。
これらは皆、バイアスにとらわれず、先入観を排除して事実を見るための補助手段ですが、デザインプロセスにも様々な補助手段がしこまれています。
たとえば、
「徹底した顧客/ユーザ視点で考える」、
「Factで捉える」などです。

●徹底した顧客/ユーザ視点で考える
ペルソナ、カスタマージャーニーマップなどのツールを活用し、「私はこう思う」の思考から引き剥がし、「ペルソナならどう思うか」を常に引き戻します。
現状に反する意見であっても、「このペルソナだったら、○○のはず」とペルソナの立場で発言するため、意見を出しやすくなります。

●Factで捉える
良い、悪い、好ましい、などの感情を一旦まっさらにし、事実のみをきめ細かく抽出します。(=良い、悪い、を最初から決めない。)

現状維持バイアスや先入観の強さは、維持された期間の長さ、年齢、立場、など多くの要因に影響されるといいます。よって、それぞれのお客様に寄り添ったプランニングが必要です。

Tangityでは、お客様が気持ちよく変革に向かうことができるよう、全力でお手伝いさせていただきます。

5.おわりに

2020年は、新型コロナウィルスの影響で多くの方の働き方等変わってきています。
人が集まるワークショップを軸の1つに置いている私たちの活動も、「デザインプロセスは人が集まらないと成り立たない」の現状維持バイアスを取り払うべく、実施方法を多様化し、活動中です。

デザイナーさん大募集

IT業界最大手のシステムインテグレーターであるNTTデータに属しているからこそ、最新技術を活用しながら新しいしくみや価値を創造できることはTangity Tokyoの魅力でもあります。

しかし、今やテクノロジーだけでは良いサービスは生まれません。
デザインスタジオという場をフックにして、マーケティングや空間デザイン領域など複合的に考え、顧客の新しいビジネスを実現していきたいと思っています。

そのために、現在Tangityではデザイナー職を積極的に採用しています!
サービスデザイン、UXデザインのクライアント業務の経験がある方、ぜひ私たちと一緒に働きませんか?
募集要項など詳細はこちら。お待ちしております。


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