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シブヤフォントから学ぶ、コミュニケーションデザイン
こんにちは。NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、サービスデザイナーをやっている花織です。
今回は、2024年4-7月に業務外活動として参加させていただいた「シブヤフォント」の取り組みと、その際に発見したデザインの新たな価値について書かせていただきます。
シブヤフォントとは
シブヤフォントとは「障がいのある方が描いた文字や絵を社会に提供・活用してもらうことで、障がい者の社会参加の機会創出と地域活性化を目指す取り組み」です。
2016年、渋谷区長の長谷部健さんから「渋谷のお土産をつくろう」との声がけ(「渋谷みやげ開発プロジェクト」)を発端に、渋谷区内の障がい者支援事業所と学生との協働で企画ができないか、と提案したことがはじまりでした。
障がい者(以降アーティストと記載)の作り出す絵や文字をもとに、渋谷区の学生(以降デザイナーと記載)がアーティストの良さを引き出すデザインデータや作品を一緒に作っていく、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を促進するプロジェクトです。デザインデータ利用料の一部を障がい者施設に還元し、施設に通う障がいのある人に工賃として還元される仕組みになっています。
詳細を知りたい方は下記をご覧ください。
私は現在Tangityで仕事をしながら、デザイン学校の夜間部に通っており、このプロジェクトにデザイナーとして参加していました。デザインプロジェクトを進めていく上で、アーティストやアーティストが所属する障がい者施設担当者との間で発生する「コミュニケーション」にフォーカスし、デザインの価値について自分の見解を共有させていただきます。
渋谷フォントから学ぶコミュニケーションデザイン Part1
最初は、アーティストとのコミュニケーションについてお話しします。このプロジェクトは“限られた時間の中で、いかにアーティストをデザイン創作活動に巻き込めるか“が非常に重要になります。そこで、まずアーティストが何に興味を持っているのか、個性を理解するため、アーティストと積極的にコミュニケーションをとることから始めました。その結果、絵を得意な方はそこまで多くなく、苦手と感じている方は絵を描くこと以外で個性を主張していることに気づきました。
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そこで、ツールを用いた表現方法を新たに提案することで、絵を描くことのハードルを下げ、苦手を感じている人もデザインをしてみたくなる仕掛けを設計(デザイン)しました。具体的には、スタンプを押したり、色付きのシャボン玉を吹いてもらうなど、筆やペンを使わなくとも、誰もがデザインに関わることができる環境を用意しました。
また、その際にデザイナーである私自身も創作活動を実行してみることが非常に有効でした。誰かがやっているから私もやってみよう、そんな感情を呼び起こすこともできました。コミュニケーションをとることで、アーティストの何かを始める感情のハードルを少しだけ下げてあげられる、これもコミュニケーションデザインの価値であると感じました。
以上より、アーティスト自身が希望する表現方法を選択できるようになり、積極的な活動への参加を促すことができました。
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アーティストさんの同じ行為を繰り返す特性を活かしました。
渋谷フォントから学ぶコミュニケーションデザイン Part2
次に、アーティストが所属する障がい者施設担当者とのコミュニケーションについてお話しします。デザイン創作活動を開始する前に、障がい者施設担当者が今年度のデザインテーマを指定してくださっていました。私が一緒に活動していた施設では手作りお菓子をお客様に販売していたため、「美味しい時間を彩る」というのがデザインテーマでした。
このテーマをいただいた当初、デザイナー主体で「美味しい時間」をデザイン要素にブレイクダウンし、「美味しい時間→食欲が増す・お腹が空く → 優しい色味・デザイン」と方向性を決め、施設担当者と合意を得た上でデザイン制作を進めました。合意を得ていたこともあり、デザインの方向性に間違いはないと自信を持って進めていた矢先、本プロジェクトの学内中間発表にて、「美味しい時間というテーマに対し、優しい色味・デザインをするという方向性は一つに絞って良いのか?他の方向性を検討したか?」というコメントをいただき、テーマに対する深掘りが不十分であることに気がつきました。より正確に言うと、テーマを決めた施設担当者の思いやテーマ決定に至る背景を知るためのコミュニケーションが不足していたことが原因でした。
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しかしながら、施設担当者も具体的なデザインの方向性を知っているわけではないため、担当者の潜在意識を言語化し、施設担当者との間でテーマに対する共通認識を醸成するためのアクティビティが必要であると考えました。これまでのご飯を食べて、おいしさを感じる瞬間を思い出しながら、それってどんな時?と言うのを言語化し、まっさらな状態で「美味しい時間」を関係者全員で再度考える時間を設けました。すると、食べ物のおいしさ以外にも、誰かと一緒に食べる環境もおいしさを感じる一つの要素なのでは?という新たな方向性を得ることができました。ここで得られた新しい示唆をもとに、「食卓を囲み、家族と会話する」雰囲気をデザインで表現するため、和気藹々とした雰囲気を表す、カラフルな色味を選択してデザインを作成しました。環境を準備した上で、相手も気づいていないインサイトを探し出していく、共通認識の醸成にもコミュニケーションデザインを活かすことができました。
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色々な言語で挨拶する、そんな和気藹々とした雰囲気を表現しました。
デザインの価値
Tangityでお仕事をしている時も、お客様とのコミュニケーションを大切にしてきましたが、このプロジェクトで改めてコミュニケーションの重要性を認識しました。お客様が何を求めているのかを明らかにしていくだけでなく、お客様の潜在意識を呼び起こすための環境・雰囲気をつくり、コミュニケーションを重ねて人の心を動かす。
これこそ、デザインの価値であると私は思います。
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