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中国点描#3 襄陽・洛陽 二都市周遊記

はじめに

 今日は2本連続で投稿していこうと思います。糖葫芦です。
 今回は、冬休み中の襄陽・洛陽一人旅について書こうと思います。

 冬休みにはほかにも天津や上海、南京などの都市にも行ったのですが、これらは比較的有名な都市で見聞録が多くあると思うので、今回はちょっとニッチなところを記事にしていこうと思います(といってもそのうち上海や南京のことも記事にする予定ですが)。
 洛陽・襄陽を選んだ理由はシンプル。三国志スポットがたくさんあるからです。小学生の頃から三国志が好きだったので、是非一度訪れたいと思っていました。
 
 単に旅行先のことだけでなく、中国でのホテルや鉄道のことについても書いていこうと思います。3月15日に中国の観光ビザが解禁されたということで、中国を訪れようと思っている人の参考になればと思います。
 

1. 準備

1.1 鉄道予約

   さて、まずは準備をしなくてはいけません。
今回の旅程は、ざっとこんな感じ。
 
1日目:午後に北京出発。襄陽行きの列車に乗る
2日目:朝に襄陽着で1日観光。夜に洛陽に向けて発つ
3日目:洛陽着。1日観光し、夜は洛陽市内のホテルに泊まる
4日目:観光、夜、北京行きの列車に乗る
5日目:朝に北京着、帰宅
 
 はい。なんと4泊5日にもかかわらずそのうちホテルで安眠できるのは1泊だけとかいう無茶苦茶旅程。他は全部寝台列車で寝ます。若さにモノを言わせた体力勝負の旅程です。
 早めにやらないといけないのは、鉄道のチケットとホテルの予約。基本的には早ければ早いほど値段が安い。
 
 鉄道の予約は基本的にはオンラインで行います。僕は”铁路12306”というアプリを使用しましたが、他にも”携程旅游”,”同程旅游”などのアプリで予約できます。ちなみにこれらのアプリからは、ホテルや飛行機、高速バスの予約も可能。予約には電話番号とパスポートの登録が必要です。
 
 中国における鉄道は概ね二種類に分けられます。一種類目は日本でいう新幹線に相当する“高铁(gao1tie3)”、二種類目は普通列車の“火车(huo3che1)”になります。
 座席にはランクがあり、値段が高い順から、
高铁:商务座,一等座,二等座。
火车:软卧,硬卧,硬座,无座。
 に分かれています。
 火车の場合、软卧,硬卧が寝台(ベッド)、硬座は普通の座席、无座は席なし。
 火车での移動は区間によっては10時間越えの長旅となり、夜も車内で越すことになるので基本的には寝台を選ぶべきでしょう。ちなみに、同じ寝台の软卧,硬卧についてですが、软卧の方が値段が高いです。一応"软"は柔らかい、"硬"は硬いという意味なのですが、寝具そのものの寝心地は変わらないらしいです。
    じゃあ何が違うのかと言うと、软卧は通路との間にドアがあるのに対して、硬卧は特に壁もドアもない、ということらしい(なにぶん软卧に乗ったことがないのでわかりません…)。
 
 
 今回私は火车を使いましたが、やはり高铁の方が格段に快適です。また、遠隔地(例:北京-成都とか)だと、高铁よりも飛行機の方が安いというケースもあります。
 ただ、高铁や飛行機は基本的に夜間運行はしないため、朝早く出発しても目的地に着くのはお昼、となってしまうのに対して、火车なら寝てる間に移動して朝イチから遊べるというメリットもあります。

上海に行った時に乗った高铁。
日本の新幹線と乗り心地は同じ。

 1.2 ホテル

 さて、次はホテルです。ホテルは”携程旅游”で予約しました。中国のホテルは基本2人1部屋となっている(つまり1部屋にとまるなら1人でも2人でも値段は同じ)のが特徴。
 予約する際に注意しなくてはいけないのが、“外宾(外国人客)”を受け入れ可能なホテルかどうかというところ。一応、アプリの検索機能で外国人受け入れ可能なホテルだけに絞ることもできますが、念の為予約する前に電話などで確認しておくのが万全です。

1.3 観光地のチケット(门票) 

 そして最後に観光地のチケット予約。これも上と同じアプリでできる他、大きい観光地などだと専用のホームページや、「小程序(ミニプログラム)」と呼ばれる、微信の中にあるアプリから予約することができます。
 
   中国で旅行する際に面倒なのは、鉄道やホテル、観光地のチケットに至るまで予約には中国の身份证(マイナンバーカードのようなIDカード)の番号を入力する必要がある点。
 外国人の場合は、予約に使用する身分証の種類を選ぶスロットがあるのでそこでパスポートを選択してパスポートの番号を入れるのですが、困ったことに地方都市の観光地だとそうしたスロットがない場合が多い。

 今回の旅行でも1箇所を除いて全てネット予約ができず、当日窓口で買うことになりました。この点は改善してほしいところです。
 ちなみに留学生の方が旅行される場合、学生証を持って行くことをお勧めします。学生証があればだいたいの観光地で学割が効き、場所によっては半額になることがあるからです。

2.  ぼっち旅開始!初めての寝台列車

 さてさていよいよ出発の日。お昼を学食で食べたのちに出立です。まず地下鉄に乗って大学から北京西站という火车が停まる駅まで向かいます。ちなみに大都市の場合、火车や高铁が停まる駅が複数あるので注意が必要です。後述しますが私も帰りの列車でやらかしかけました。
 駅に着くと空港のごとく手荷物の安全検査だったりパスポートのチェックがあったりするので、できれば発車の1時間〜30分前には駅に着到できるよう心がけましょう。
 
 
 中国では列車に乗る際にチケットは必要ありません。予約の際にパスポート情報を入力するので、ホームに入る時と列車に乗る際に駅員さんにパスポートを見せるだけ(アプリの予約画面を見せろと言われる時もある)。
 とはいえもう3年にわたり国境を閉ざし、また国内の移動も制限されてきた中国だと乗務員にとっても外国人旅行客の対応は久しぶりらしく、ちゃんと「护照(パスポート)だよこれ、ここの番号で照会できるよ!」って言わないとわかってくれない人もいました。

火车の硬卧(ピンボケ)

  席(と言うかベッド)はこんな感じでまさにプライバシーisどこ?状態。
男女の区別もありません。 
 火车でも車内販売はあり、お菓子やお弁当を買うことができます。ただ、区間によっては品揃えに難があるので、心配であれば事前に駅やコンビニで買った方が無難です。 
 夜は22時に消灯。全く寝れない。周りのおじさんらのいびきや咳がうるさいうえに、駅に着くたび窓が明るくなるから目が覚めちゃう。1日ならともかく、次の日も車中泊の予定だったのでちょっと気分がどんよりしました。


3.ぼっち・ざ・襄陽 

 翌日の6時に襄陽に到着。ちなみに寝ている間に自分の降りる駅についたとしても、ちゃんと乗務員さんが起こしてくれる安心設計です。
 
 中国の出租车司机(タクシー運転手)
駅から出るといきなり知らない人に声をかけられ、誰かと思ったら”司机”(タクシー運転手)。駅前には列車から降りたばかりの客を狙うタクシーが待機しているのである。
 2月なので周りはまだ暗く、寒いしお腹も空いたので大人しく呼びかけに答えてそのタクシーに乗り、最初の目的地古隆中に向かいます。

 ついでに中国のタクシー事情をお話しします。中国では基本的にはネットでタクシーを呼びます(タクシーを呼ぶことを中国語で”打车”と言います)。呼ぶ際に現在地と目的地を入力するので、運転手との会話は乗り込む際に自分の電話番号を伝えるだけ。中国語が苦手な人でも安心です。ちなみに、中国のタクシー料金は非常に安いです。1時間乗っても千円ちょっとくらいなので割と手軽に利用できます。
 観光地や駅前に屯しているタクシーを捕まえてもいいのですが、値段が高めなのでおすすめはしません(私が乗ったタクシーも、相場の二倍くらいの値段でした)。でも、タクシーの運転手さんは気さくな人も多く、会話が盛り上がることがあります。
  
 
 私が乗ったタクシーの運転手さんも優しい人でした。移動中に三国志スポット目当てで襄陽にきたことなどを伝えると、途中で止まって三国志関連の銅像などを紹介していくれたり、目的地の古隆中のチケットをどこで買えばいいか教えてくれたり、朝ごはんがまだだと伝えると、目的地近くの商店街まで連れてってくれたりといたせりつくせりでした。
 

朝ご飯はその商店街で食べた襄阳牛肉面。
辛いけどなにぶん寒かったので美味しくいただけました。
朝ご飯を食べたお店の近くにあった村

  その後は最初の目的地、古隆中まで歩いて向かいました。朝ご飯を食べたお店のある商店街の周りはせわしなく、店番をしながら子供にリュックを背負わせて学校に送り出しているお母さんがいました。

3.1古隆中

古隆中

 古隆中は、諸葛亮(孔明)が、主君の劉備に仕える前に住んでいた場所。
諸葛孔明は三国志に登場する人物。主君劉備を輔け、彼が興した蜀の国を支えた名宰相として知られます。
 劉備は諸葛亮が賢人であるとの噂を耳にし、この古隆中を3度訪ねてようやく孔明を仲間に引き入れたという話が「三顧の礼」です。

諸葛亮(字:孔明) 181~234

 古隆中は結構広く、孔明を祀る武侯祠と呼ばれる廟や、孔明が住んでいた廬を再現した建物、三顧の礼を記念する三顧堂などが点在しています。
そしてなぜか日本の犬山市との友好を示す石碑が。姉妹都市提携してるんでしょうか。
 お土産ショップには、孔明のトレードマークである羽扇が売っているほか、知恵者の孔明にあやかってか知恵の輪がたくさん売ってました。
 

 古隆中内にある諸葛食府という場所でお昼。名前からして三国志にまつわる食事でも出てくるのかと思ったらフツーの学食みたいなご飯が出てきました。なんでやねん。 

お昼。普段食堂で食べるようなご飯と変わらん!

 中国は結構建造物に落書きをしてしまう人が多く、注意書きがされてるんですが、日本語訳!「混乱を混乱させてはいけません」???
 ここに限らず、襄陽や洛陽には三国志スポット目当ての日本人観光客用と思しき日本語掲示が多いですが…どれも結構日本語が怪しい。

「混乱を混乱させてはいけません」
よくみてみると英語もおかしい。mess with the chaos??


 午前中いっぱい古隆中を回った後は、タクシーで市内まで戻って襄陽古城へと向かいます。
 

3.2襄陽古城 

 襄陽は三国時代の係争地、荊州(現在の湖北省・湖南省あたり)の都。
 襄陽古城は、城壁に囲まれた襄陽の旧市街。現在残っている城壁は明清時代のもののようです。

襄陽古城:昭明台
中は博物館になっていたが、外国人は入れなかった…

 襄陽市の中心部は、古城のある襄城区と、漢水(漢江)という川を挟んでその北側にある樊城区に分かれています。昔からこの地域のことを”襄樊”と呼びます。

左にチラッと見えるのが襄陽城の城壁。
右の川が漢江です。

 何気にこの襄樊地域、歴史的に何度も激戦区になった場所。一番有名なのは南宋時代、モンゴル軍の猛攻に数年間持ち堪えたという「襄陽・樊城の戦い」でしょうか。高校世界史にも出てきた覚えがあります。
 
城内にはモスクがありました。イスラム系の市民も多いのでしょうか。

襄陽モスク


 また、日本人からすれば三国志の町としての印象が強い襄陽ですが、実は第二次世界大戦期、日本が「大陸打通作戦」と呼ばれる戦略のもと侵略した都市の一つ。城壁には日本軍からの解放を記念する碑もありました。
 
そして、ふらっと行ってみた襄王府。明代の王の邸宅らしいです。

豪華絢爛!

   夜になると、お城の建物が一斉にライトアップされます。写真だと伝わりにくいですが、お店の灯も相まって一気に幻想的な風景になりました。

城壁の上から撮った襄陽古城内の街。
ライトアップされた襄陽古城

 その後、夕飯を済ませて樊城地区にある「諸葛亮広場」を見に向かいました。困ったのが、タクシーを使うほどの距離でもないが、歩いていくと大変というところ(だいたい3〜4キロ)。
 中国でこう言う時に便利なのがレンタサイクル。基本的にどこにでも自転車があるので気軽に使える…と思ったが、なぜかこの襄陽、どこ探してもレンタサイクルはなく、レンタルバイクしかない。
 中国ではバイクは無免許でも乗れるのですが、なにぶん乗ったことがない。流石に誰も知り合いのいない地方都市で慣れないバイク乗って事故でも起こしたらえらいことになるので、やむを得ず歩かざるを得ませんでした。そんなことをしていたら、この日の歩数は午前の古隆中散策と午後の襄陽古城散策を含めて脅威の44000歩。
 ちなみに広場からの帰りは流石に列車の時間に間に合わなくなることを考えてタクシー乗りました。

4.いざ上”洛”! ぼっち・ざ・洛陽!(1日目)

 さて、お次に向かうのは洛陽。古くから、洛陽や長安を含む黄河中流域は「中原」と呼ばれ、中国の古代文明が生まれた地の一つ。
 最古の王朝「殷」をはじめとして後漢や曹魏など多くの王朝の都となった場所でもあります。日本で地方から京都に上ることを古くは「上洛」と呼びましたが、この「洛」の字は洛陽から取られたもの。
 まさに古代中国の中心地と言える場所がこの洛陽なのであります。
 
 火车に揺られ、洛陽についたのはなんと午前3時。タクシーで24時間営業のマクドに向かい、早すぎる朝飯と仮眠をとります。省エネのためか店内は真っ暗。おかげでよく寝れました。でも今思えば24時間営業の銭湯とかに行ってもよかったかな。

 4.1 白馬寺

 洛陽で最初に向かったのは白馬寺。地下鉄とバスを乗り継いで行きました。なんでも中国最古の仏教寺院らしく、後漢時代に建造されたそうです。

白馬寺

  日本の空海の石像がありました。来たのかな。

突然の空海

 また、境内にはなぜか東南アジア・南アジア諸国風の寺院がありました。インド風、タイ風、ミャンマー風の寺院がいきなり目の前に現れるという不思議な仕様。
 と思ったら掲示をよく見てみると、どうもちゃんと各国政府の協力のもと建てられてる建造物らしいですね。友好関係をアピールする意図があるのでしょうか。

タイ風の仏教寺院。
インドはこんな感じ。

4.2 漢魏洛陽故城

 白馬寺をあとにして、タクシーで5分ほど、さらに郊外へ。
ついに洛陽一番の目玉「漢魏洛陽故城」に到着!(到着)(到着)(到着)(残響音)

漢魏洛陽故城

はい。見事に誰もいません(知ってた)。
  仮にもここは「シルクロード」の一部として世界遺産にもなっているというのに。
 それもそのはず、襄陽の古隆中や襄陽古城、この後行く隋唐洛陽城跡のように建物が復元されておらず、遺跡がある程度整備されてるだけの一面原っぱ。インスタグラマブルなキラキラしたイルミネーションも、荘厳な建物もなにもありません。

マジで遺跡とその解説以外なにもない。

 だがこれでいい!
そうそう、こういうのでいいんだよこういうので。
 
 もちろん、史跡や歴史スポットを観光地化することで多くの人々を呼び込む、と言うことは大切なことです。きれいな景色目当てで来た人のなかから、1人でもちょっとでも歴史に興味を持ってくれる人がいてくれたら嬉しいことです。(そこから沼に引き摺り込むだけなので)どんな分野も興味を持ってくれる人がいなくなると先細りしていくだけですのでね。
 
 しかし歴オタ的にはどうしてもコンクリとかで作られた復元だとあまりテンションが上がらないのも事実。むしろ当時ほぼそのままの遺跡を見せてくれた方が、想像が捗りロマンを感じさせてくれます。


 話を戻してこの漢魏洛陽故城は、後漢、曹魏、西晋、北魏などに利用された王城です。
 実は、同じ「洛陽」を都にした王朝は数多くあるものの、その城があった場所は各王朝によって微妙に異なります。洛陽の街は東西に長く、漢魏洛陽故城はその中でも東側に位置します。
ちなみに殷の城跡はさらに東、逆に隋唐時代の城址は東側、現在の洛陽の中心市街に近い場所に存在します。

発掘現場そのまま?感のすごい展示

 城の一角には、現在も発掘が続いていると思しき場所もありました。展示プレートがあるので多分入っていいはずなのですが…発掘現場をほぼそのまま放置してる感がすごい。大丈夫なんだろうかこれは。
 
 そして近い場所にあった永寧寺という寺の跡地も見学。近いといっても故城から2kmくらいあり、おまけに道が悪く草をかき分け泥道を歩いてなんとか辿り着きました。なんで中国に来てまでこんなことしてるんだ…。
 地図上で見ると行ける!って思っちゃうんだけどね。でも縮尺見てみると近いと思ったら4キロくらい離れてるとか結構ザラ。デカいぞ中国。

永寧寺。もうかなりヘトヘトだったのであんまりちゃんと写真が撮れてないです。

 故城を後にした時点で午後1時位。朝3時に朝飯を食べて以来飲まず食わず、おまけに火车でもろくに眠れていない状態で悪路を歩いたのでさすがにちょっと疲れが見え始める。
 本当はこの後洛陽博物館に向かう予定だったのですが、予定を変更してホテルに向かい、チェックインして荷物を預け、シャワーを浴びてちょっと休憩することにしました。

 3.3 隋唐洛陽城

 夕方6時くらいになってから、夜ご飯を食べるべくまた外出。が、隋唐洛陽城が夜8時半で閉まると聞いたので、飯そっちのけでそちらに向かいます。
 イルミネーションが映えますねぇ。また、中は博物館になっており、洛陽の歴史や、隋唐洛陽城の発掘調査についての展示がありました。
 隋唐時代の首都は洛陽ではなく、西にある長安なのですが、洛陽も引き続き副首都のような形で重視されたそう。

隋唐洛陽城、建物は映えるのにどうしても映える写真が撮れない。

 …気づいたら午後9時過ぎ。慌ててレストランに駆け込み、夜ごはんを堪能しました。

夜ごはん。鶏肉と野菜を煮たもの。

5.ぼっち・ざ・洛陽!(2日目)

5.1洛陽博物館

   洛陽2日目は、流石に疲れたのでゆっくりスタート。午前中は洛陽博物館に向かいます。
  朝っぱらから地下鉄車内でお母さんに算数を叩き込まれている子供がいました。うんうん、足し算も引き算も難しいよな。お兄さんその気持ちよくわかるぞ(筆者はセンター数学脅威の3割)。

洛陽博物館

 つきました洛陽博物館。流石に悠久の歴史を持つ洛陽の博物館だけあって展示内容のボリュームはたっぷり。
洛陽の名産である唐三彩、各遺跡からの出土品などが多く展示してあります。
 心惹かれたのは曹魏時代の墓から出てきたという白玉器という盃。2000年経ってるとは思えないほどの玉の輝きが美しい。美しすぎてレプリカを購入してしまいました。

白玉杯。三国時代にこんな美しいものがあったんですねえ。

 また、この博物館で知ったのですが洛陽は牡丹が有名らしいです。今回は行けませんでしたが、牡丹園などもあるそうです。
 

5.2 関林廟

 午後はタクシーで関林廟へと向かいます。
関林廟は三国時代の蜀の武将、関羽の首が祀られている廟です。関羽は先ほど出てきた孔明の主君である劉備の家臣。忠義に厚く、武勇に優れた名将で、古くから民間信仰の対象にもなってきました。
 日本でも横浜の中華街などには関羽を祀る「関帝廟」があるのを見たことがある人がいると思います。

関林廟の正面
この後近くの人にお願いして自分が写った写真を撮ってもらったのですが、
その方は日本に二年いたことがあるらしい。

 関林廟のなかはこんな感じ。関羽と劉備、そして張飛のピーチブラザーズの像や、関羽の妻の像がありました。

関羽像。左にいるのは従者の周倉。右にいるのは養子の関平。
関羽の廟にはだいたいこの2人がセットでついてきます。

 ちなみに、中国の方、特に年配の方は信仰心が強い傾向にあるようで。境内で銅像に跪いて拝礼している方とかをよく見かけます。白馬寺でもそうでした。
 

5.3龍門石窟(龙门石窟)

 そしていよいよ最後のスポット、龍門石窟を回ります。龍門石窟は主に北魏時代に作られた石窟。川を挟んで向かいあう二つの山の壁に、10万余の仏像が刻まれています。高校世界史を受けていた人は、この龍門石窟と雲崗石窟、敦煌石窟の3石窟を覚えた記憶があるのではないでしょうか。
 大きいものだと5メートル、小さいものだと人の頭程度のものまで、とにかく無数の仏像が刻まれている様は圧巻。

びっちりと掘られた仏像。
巨大な大仏の石像。周りを菩薩が囲みます。

 観光地らしく、写真屋さんが写真を撮ってくれるサービスがありました。他の場所だと自撮りしたり、あるいは他の1人できてそうな観光客にお願いして写真を撮ってもらうことが多かったのですが、人が多すぎてそれは無理だと諦め、撮ってもらうことに。
 最初は1枚だけ撮ってもらうつもりが、なぜか場所を変えて5枚も撮影され、一枚しか買わないことを伝えると「全部違う写真だから全部買っていけ」との一点張り。頑なに一枚しか買わない姿勢を貫いたら、「なら、2枚分の値段で全部あげるよ」と言われたのでけっきょく全部買うことになりました。別に全部欲しくてゴネてたわけじゃないんだよ…本当に1枚でいいと思ったんだよ…。

石窟の前には小さな観光街がありました。景観に配慮したマクドやケンタッキーなどもあります。(にしてはKFCのロゴデカすぎないか?)
西遊記でお馴染みの三蔵法師こと玄奘。
夏目雅子さんが演じていたドラマを子供の頃よくみていました。

 龍門石窟には15時半ごろに着き、帰りの列車の時間が19時前だったのですが、回り切るには時間が足りませんでしたね。すでにこの時歩きっぱなしでヘトヘトだった上に、石窟は高いところにも広がっているので軽い登山。割と流し見してしまったところもあるんでもったいなかったです。

 6. 帰京!

 さて、龍門石窟見物を終えてようやく帰路なわけですが、最初の方に言った帰りのやらかしとは、列車の駅を間違えていたこと。予約した時は龍門石窟からほど近い「洛阳龙门站」で列車に乗ると思い込んでいたのですが、実はちょっと遠い「洛阳火车站」であることが判明。
 厳密にいえば洛阳火车站であることはその日の午前くらいには気づいていたのですが、結局旅程は変えずにここまできてしまったため帰りはてんやわんやでした。
 龍門石窟見物を終えた時点で18時くらい。一応タクシーを使えば20分くらいの距離だったのですが、中国ではこの時間は下班(会社からの帰宅)ラッシュのタイミング。激混みが予想されたので地下鉄で向かうことを決定。乗っている間はドキドキでした。
 たしか出発10分前くらいに乗り込んだと思います、ギリギリだった。
 
 その後は帰りの火车でぐっすり寝て、朝5時に北京着。地下鉄で寮に帰りました。

ただいま北京!

 ちなみにかえりの火车では、年配の女性の方2人組に頼まれて席を交換するというイベントが起きました。どうも席が離れ離れになってしまったらしく、隣同士になるために私と席を交換したかったらしい。特に断る理由もないので交換しました。事情を話したら駅員さんもあっさり納得。こういうことができるのも中国の特徴といえるかもしれません。
 
 
 
おわりに
 さて、ざっとなんと9000字かけて旅程を振り返りました。レポートの字数はなかなか増えないのにnoteの字数は増える。
あくまで僕個人の経験ですが、中国での一人旅は「意外と大丈夫」。ちゃんと身の回りに目を配っていれば危ない目に遭うことはないはずです(単に運がいいだけの可能性も高い)。   
 どこの人も基本優しく、日本人であることを明かしても歓迎されることが多かったです(もちろん営業スマイルの可能性はある)。ただ1人だけ、火车の隣のベッドの方が僕が日本人であることを知った時にちょっと嫌そうな顔をしていました。
 何より今回の旅で良かったのは自信がついたと言うことですかね。始める前は正直、語学面や安全面はもちろん、元々抜け漏れの多い性格故に予約間違いや時間間違いがないかヒヤヒヤしていましたが、誰もダブルチェックしてくれない環境が緊張感を与えてくれました。コミュニケーションも完璧ではないですが、なんとか自分の言いたいことを伝えることができたので良かったです。
 それではまた次回の記事でお会いしましょう。拜拜!


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