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能登から認知症の父がやってきた(11)

2月になっても水は出ない。
避難生活はなんとかなったが、やることは山積みだ。

北陸の冬は天候の悪い日が多い。どんよりと厚い雲が立ち込め、雷が鳴りはじめると雪だしと言って雪が降り出す。屋根が壊れていたら雨や雪で雨漏りしてしまう。最悪、潰れないよう大雪にならないことを祈るしかない。
帰った時に倒れた家具や落ちた瓦など写真は撮っておいたが、さすがに屋根の上までは撮れなかった。応急の修理制度があって、ブルーシートをかけるなど5万円まで出してくれる。1度帰って、ネットで調べた自撮り棒で撮影してみようかとも思ったが、1月の中旬、とりあえず、地元の瓦屋さんに電話してみた。

1件目は、問い合わせが多く、いつになるか分からない。それでもよければと言われ、2件目に電話した瓦屋さんが、運良く空いていたのか、すぐに対応してくれることになった。地元の業者であれば、市役所の手続きも直接やってくれるとのことで、写真も送ってもらえた。屋根の棟が大きくうねって曲がってしまって、瓦も思っていた以上に落ちていた。2月に入って、本格的な修理ができるか聞いてみたが、まだ応急の修理をしていて、本格的な修理は2、3ヶ月先。隣の市の瓦屋さんは2000件の予約、地元の瓦屋さんも500件、年内にできるかどうかってところです。そりゃそうだよな。地震保険は入っていない。罹災証明の申請はしたが、審査はまだ先だそうで、補助金が出るかも分からない。

水が出ても40年以上経っている実家は家の中の配管が壊れているかもしれない。とりあえず、私だけ1度帰って確かめてこなければならない。
2月は雪が降るし、災害ゴミの仮置場は3月末までか。延長してくれないかなぁ。この際、母が溜め込んでいる壊れた古い家具も捨ててしまいたいところだが、それはだめやわな。

やること満載で考えると眠れなくなるのだが、今回は、私だけに降りかかった不幸ではなく、被災者が数多くいること。大変な思いをしている人がたくさんいて、全国から応援も来て復旧を手伝ってくれている。自分ひとりではない、と励みになる。テレビや電話で地元の方言を聞くだけでも、心に染みるのである。



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