プレゼンテーション5

ケトル式隠れた欲求(インサイト)の見つけ方 〜企画はインサイトでワークする〜

先日、九州出身のYahoo!ライフマガジン編集長・秋吉健太さんが開催しているCreator's thinking!FUKUOKAに参加しました。今回が第2回目で博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが登壇、「人を動かす」ためのPR戦略についての考え方について紹介いただきました。

テーマは「情報の見つけ方、使い方〜まだ見えない欲望を言語化する〜」
嶋さんがすべての仕事で大切にされている欲求(インサイト)の大切さやその見つけ方についてのお話でめちゃくちゃ面白かったので、わたしが学んだことをシェアします。

① 嶋さんが大切にされている「手口ニュートラル」

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まず、博報堂ケトル式のPR手法の考え方について。
既成概念や手法に囚われず「どうしたら人が動くのか?」そのコアアイデアから考えることが大切。そういうと「当たり前じゃないか」と思う人も多いけれど、どうしても人は得意な手法を使いがちでも手法から入ってしまうことが多いのだそう。

そして、コアアイデアの考え方ですが「本当のインサイトさえ見つければそのインサイトを優しく包み込むだけだ」といいます。

ふーん。と思って聞いてましたが、これが最終的にわたしの一番大きな学びになりました。一旦、本題のインサイトへ。

② 隠れた欲求(インサイト)について

次にインサイトのお話です。
・インサイト(=隠れた欲望、見えない欲望)を捉える企画はワークする
・すべてのものづくりにインサイトは重要
というお話があり、実際にインサイトを捉えている事例としてGoogleの採用PRの例がでてきました。

「{first 10-digit prime found in consecutive digits of e}.com」

Googleがまだまだ他のIT大手に採用で敵わない時代、どうすれば超優秀な人材がGoogleに来てくれるのか?普通に考えればマイクロソフトの採用ページにアクセスしている人に広告を配信するとかですかね。でもGoogleは上記の「自然対数の底eの中から最初に連続する10桁の素数.com」という謎の広告をマサチューセッツ工科大近くの駅に設置したんです。この超難問を解くとGoogleの採用ページにアクセスでき、さらに何題か難問がでて、それも解くとGoogleの採用通知が届くらしいです。

この事例にはインサイトが大きく関わっていて、要はこの超優秀人材たちは「自分たちにしか解けない難問に挑戦したい」そんなインサイトを持っていたんですね。

そしてインサイトの特徴について羊たちの沈黙ハンニバルレクター博士の言葉を引用して説明してくれました。(ここめちゃ大事)

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この言葉は2つのことをいっています。
⑴ 人間は不器用である =自分の欲望に気づかない
⑵ 人間は結構都合がいい =目の前に欲しいものが現れると
 「そうそうこれが欲しかったと」平気でいうもの

先ほどのGoogleの例でも、誰も「おれ超難問がときたいんだよね」とはいってくれない、そして、超難問に食いついた超優秀人材は最後まで自分が「超難問が解きたい」という欲望に気づいていなかったりする。

他にも美魔女という言葉の例もあげてました。美魔女という言葉が出るまでは誰も「50を過ぎても恋がしたい」みたいなことはいわなかったけれど、言葉ができた瞬間に、「そうそう、わたしはこれがやりたかった」とのってきたりする。

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欲求は上の図のように一部は見えているけど大半は見えていない状態で、本人たちが気づいていない欲望を可視化されることが企画の醍醐味だし、そこが一番感謝される。逆に顕在化している欲求の部分は最適化/効率化の世界だからあんまり感謝されない。

本でいうと、上の部分は買いたい本が決まっていたらAmazonで買うのが一番早い。でも現状本屋が優っているのは、見えない欲望を刺激できる所で歩き回ることで世界を構成する要素に簡単にふれられて、POPとか書店員さんのおすすめで元々買う予定のなかったものを買ったりする。ここが下の世界とのこと。

欲求(インサイト)は深ぼらなきゃいけないと漠然と思っていたんですが、こういうことだったのかとちょっと理解が深まった気がします。

③ 隠れた欲求(インサイト)の見つけ方

1つは欲求は文句に現れがちということ。
欲求はわからないけど、割と文句は言えるもので、その文句の中にはインサイトが潜んでいる。例えば、「本屋大賞」は博報堂時代に嶋さんがつくった賞で、その当時本屋を回ると数人から「直木賞など作家が選んだ本は売りにくい」といった同じような文句を聞いたそうです。これは逆にいうと「おれにはもっと他に売りたい本がある」ということ。このインサイトに気づいてしまえばあとはそれを優しく包んであげるだけ。ひねりなんか必要ない。そして毎度ミリオンヒットを生み出す「本屋大賞」が出来上がったとのことでした。

もう1つが「日常の違和感を大切にすること」。
美魔女にしても草食男子にしてもお一人様にしても、どこかにファーストペンギンがいて、その欲求が共感を得て広がったもの。だから日常の中にある普通と違う行動が新しい欲求の胎動の可能性があるとのことでした。
嶋さんは日常の違和感をメモリまくっているらしいです。

ということで嶋さんの講演のほんの一部だと思いますが、わたしが学んだことについてご紹介しました。これまでの自分を振り返るとインサイトを捉えているつもりで捉えられていなかったり、インサイトを置き去りに手法に走っていることも多くあったなと今回の学びを踏まえて反省しました。「本当のインサイトさえ見つければそのインサイトを優しく包み込むだけだ」2020年はこの言葉に沿った企画をつくりたいなと思います。

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