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失敗から考えた、モノのあふれる時代になぜ人は手作りするのか?という疑問について

私は小中学生向けのシェア工房を運営しています。

シェア工房はいろんな道具や材料があって、こどもたちが思い思いに工作をする場所です。やりたいことがない子にとっては拷問のような場所です。それでも来てくれる子がいるので細々と続けています。

普段工房でやっていることをオンラインでもできないか?とはじめて3カ月。

できるだけ自由に作るスタイルを維持するにはどうしたらいいかを試行錯誤してきて、うまくいったことも、失敗したこともたくさんあって、今日はその失敗体験をシェア。

オンラインとリアルの違いはいくつかありますが、懸念事項のトップは「親の関与をどこまでにしてもらうか」です。講座の最初にはかならず「できるだけ大人は手伝わないでください」とお願いします。

先日開催したギアチャレンジという、ギアを使ったうごくおもちゃを開発するという試み。

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↑ギアをにつけた針金で革が連動して動く装置

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↑ つぶらな瞳がキュートな顔♡♡

こういった面白い作品が生まれて、私自身すごく刺激的でみんなのアイデアに感心してばかりだったのですが、反面同じくらいナーバスな大人の意見も多かったです。

「ギアを知らないので何をつくっていいか分からなかった」「子どもだけだと上手く作れなくて、手伝っているうちに子どもが冷めてしまった」というようなこと。この問題について「どうしたらいいですか?」という質問をいただきました。端的に答えると
「親としてこの講座で何を目指したいか?」ということを事前に意識していただく必要があるなと感じました。

ちなみに主催者としては「こどもが主体的に行動した結果、自分のアイデアに自信を持ってくれること」を目的に講座をやっています。

なので「上手にできたかどうか」ではなくて、「どういうアイデアをつくろうとしたか」「なぜそれが完成したのか」を聞いてアドヴァイスしたり感想を伝えます。

こちらの考えを共有しきれてないのは猛反省しました。

一方でどうすればいいのか戸惑ってしまう方には、事前に「親としてこの講座で何を目指したいか?」を考えてみて、子どもへの関わり方を想像してみたら答えが出しやすいかと思います。

「その子の興味関心を広げたい」だったら放っておけばよろしい。上手く動かなくて嫌になるならその子が今現在求めているものではない。←親が言う「工作が好きだから」というのと、動くものを作ることへの関心があるかは無関係なことが多いです。
「何か素敵な作品を作って自慢したい」のであれば、別の講座に参加したほうがいい。
「工作を上手になってほしい」のであれば素材と道具と環境を好きなだけ与えたらいいです。はじめはその環境が楽しくて道具の使い方を探求したりして作品にはならないでしょうけど、その道具でどんなことができるかを体感するのはすごく大事なことです。でもなぜか、それを「何もしてない」とみなす大人が多いので、与えるなら放っておくが吉です。
細かい作業や物事を関連付けてアイデアを出して創るようになるのは小5くらいから、とどーんと構えておけばいいです。

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↑好きなように使ってねというと、防護メガネひとつで盛り上がります。

こんな話を工房にくる保護者には必ずしているのに、オンラインではしていなかったわけです。

分かりやすい内容の時は良かったんだけど、ギアとなると急に「分からない=難しい=どうしていいかわからない」という思考になった方が少なからずいたようです。

中には「子どもに自由にさせておいたら、本来のギアの使い方ではない工作をしてしまった」という方もいらっしゃって、じゆう工作のもめ事(?)としてよくあるネタもいただきました。
そういう場合は親自身が考える本来のギアの動きを使った工作をして、楽しそうにしてたほうが子どものためになります。
これ、本来はリアルな工作で私がやっている役割ですが、オンラインだと子ども達に伝わりにくいので、親がその役をやるのがベストです。

「できないことを手伝うためにスタンバっている」のではなく、「親と子は別々の作品を作って刺激しあう」くらいの余裕があるとよくて、どんなところが難しいのかを共有したり、本当はこうしたかったから考えてみよう?とか一緒に相談しながら作るといいです。実際に手と頭を一緒に動すといろんあことが分かります。

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さてモノがあふれる時代に、なぜ人はわざわざ手作りするのでしょうか?

あれこれ思いをめぐらせてみて
それは「作ることで幸せを感じるから」だと思います。
その幸せは小さな子どもの場合は特に自分が楽しいこと以外に「びっくりしてくれた」「喜んでくれた」「次はこんなの作ってとお願いされた」というような「誰かの役に立つことができる有用感」です。
工房でも「お母さんに頼まれたから」といって雑貨や棚を作る子は本当に生き生きしています。

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↑小1の子が作ったつくったスパイスラック。

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↑お母さんのお昼寝用の枕を作ってあげたい!

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例えばこれくらい斬新なギアの使い方をしてくれる子がいると、最高にワクワクします。いわゆる正しいギアの使い方ではないけども、すごい可能性を秘めてるなと。
よし、じゃあ次は私がくるくる動く人形を作ってみよう!と思いましたもの。

この作者は3歳なので固定観念がありません。
しかも15分くらいでぱっと作ったらしい。ああ、本当に羨ましい!

と思ったことを言うことで、私がみんなの作品を楽しみにしていることを伝えられると思っています。

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結論として、私は幸せになるためのものづくりを提供したいので、「間違い」「不安」ができるようなワークにならないよう、これからも広報活動と作り方の改善をしていきます。


基本に戻るためにまたオンラインでモーターのじゆう工作をやります。
よかったら遊びに来てね!みんなで楽しみましょう!


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