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赤カブの未来は。一球入魂 笊石カブ 

うちの農園でとれる野菜は、基本すべてカフェと民宿のお客さん、それから、わが家のごはんの材料になる。
10月になるころ、
「ざる石カブを使った食事会がしたい。」
と、たこ八さん。

ビビットピンク

ざる石カブは、青森県の浅虫温泉近く、久栗坂という場所の在来のカブ。
一度は栽培している方がひとりになってしまい、慌てた役場が介入して、種をつないだり、栽培農家を増やそうとしたけど、たぶんあまりうまくいっておらず、栽培農家はまだ数えるほど。

たこ八さんは、このカブを、愛してやまない。
うちで育てている野菜は、ほとんどが在来品種で種取りをしているので、いろんなカブをつけると交配して品種を守れない恐れもあり、うちではカブはざる石カブ一択。

「カブだけで、人がきてくれると思えない。」と、わたし。
ざる石カブは、今まで漬物にしか使われていなかった。漬けたあと、ピリリと辛味がたってきて、その歯ざわりや辛味、軽い苦味がたまらなく美味しい。
が、やはり大量に漬けて、毎度の食事で消費するほど、家の中での漬物の需要は減ってきていると感じる。
さらに、今まで漬物は製造許可がグレーだった。だから、倉庫なんかで漬けた漬物が直売所なんかで売れたけど、今は法の改正がありそれもできない。改正にあわせて、元気にお漬物をつけて、販売していた年配の方たちが、漬物作りをやめてしまったり。残念。

大根白菜なんかはそれでも、いろんな調理法が確立されており安全な立ち位置。白いカブ
なんかも、シチューにしてもサラダでも万能で、やわらかく需要はある。
が、

赤カブピンチ。


そう。赤カブは漬物にするのが主。あえて、煮よう焼こうと手に取ることはない。

洗って、ヒゲをとる

だから、漬物とそれ以外の調理法を提案できたらそれは、赤カブにとってもいいかも。
でもたこ八さんは、あんまりちゃんと考えてない。
彼の頭の中は「ざる石カブ、みんなに食べてほしいなー。」ふわっとね。まあ、それが大事なんだけど。「何つくる?」と、わたし。わたしは、ちょっと手一杯だった。カブ料理の試作まで、きちんとできる自信がなかった。だからこのときは、たこ八さんが企画したことは、たこ八さん自身でなんとかやってほしいと思ってた。「えー、ごはんと、味噌汁と焼いたカブで十分だよ。それにざる石カブのおまけつけて。」「おいくらで?」「1000円とか、1500円とか。」ありか?なしか?微妙。畑の見学や説明、ざる石カブのお土産もつけたら、そのメニューでも十分かも。体験と試食という感じで。あまり口を出さぬよう、悩みつつ募集開始。定員10名くらいのとこ、ありがたいことに14名の申し込みがあり、数名お断りしてしまった。レストラン、料理教室に携わる方、農家の方もいて、勝手にざる石カブの未来をたくされている気がして、

「やっぱり、わたしがつくる。」


その時点で、一週間前。必死になって試作、試作。試作…

そして。当日。

当日も必死。

調理はひとり。一気に提供するのは10人分が限界かも。とにかく、もっとうまくなりたい。

ざる石カブランチ

みなさんに無事いきわたり一安心。
のところ、一品、カブの葉をつけ忘れ慌ててあとからのせる。
あとから写真とるときも忘れた。ので、記録に残せず。

カブかてめし

かてめしというのは、戦争中、戦後、米の消費を抑えるため野菜や芋類などをまぜたごはん。
だいこんめしは顔が青くなる。かぶを炊いたごはんの方がよい。
在来作物を研究している方が聞き取り調査しているときに、こんな話があったらしい。

あざやか!

うちで仕込んでいる、黒豆の味噌、ブランデーといためる。キクラゲと赤カブは相性抜群!
もちろん漬物。
大根もち、カブバージョン。酢醤油漬けのレンコン添え。

あったかスープ
椿餅

スープだけ、皮をつかっていない。なめらかで優しい中華ポタージュに。昆布でとった出汁、ホタテをいりつけ焼にし、味付けは塩のみ。

少し時期は早いけど、椿餅。スープで取り除いたカブの皮を使ってピンク色。
小豆ももちろん栽培している。選別は大事な冬仕事。

ざる石カブのお土産も無事わたし終了。

無事、成功!


心なしか、畑のカブたちにも、拍手してもらった気分。
大丈夫、君たちにも、まだまだ需要はあるよ。だってこんなに美味しいんだから。

みなさんにも、ぜひ、機会があったらざる石カブを食べてほしい。
そして、すべての赤カブを励ましてやってほしい。

君たちは美味しい!!





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