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サイボウズ災害支援パートナー 振り返り会レポート
こんにちは、サイボウズソーシャルデザインラボ災害支援チームのさやかです。この度、能登半島の発災から約半年を迎えるにあたり、サイボウズ災害支援プログラム パートナー企業の方々と振り返り会を開催することになりました。
サイボウズ災害支援パートナーとは、災害時の支援活動においてサイボウズと連携し、その技術やリソースを活かして社会貢献活動にご協力いただく企業様です。
2024年1月、能登半島を襲った地震は甚大な被害をもたらしました。サイボウズでは、いち早く災害支援チームの柴田リーダーが被災地である石川県への支援活動を開始。同時に多くのパートナー企業様にもご賛同いただき、今回初めて「災害支援パートナー」として様々な形でご支援を賜りました。
振り返り会では、各社の支援内容、良かった点&改善点、支援しての感想などを共有していただきました。
能登半島地震パートナー振り返り会
1. 能登半島地震の教訓(サイボウズ柴田)
まずは災害支援チームの柴田が、能登半島地震の教訓から最近の活動について話をしました。
柴田は、石川県で発生した災害直後に同県副知事の要請を受け、県庁に赴任しIT支援を行いました。現在は「支援活動で得られた教訓を全国の自治体や関係機関に伝える活動」に取り組んでいます。東京都、愛媛県、高知県、北海道、茨城県、宮城県、大分県(別府市)、埼玉県(久喜市)、群馬県(藤岡市)、愛媛県(松山市)など多くの自治体や社会福祉協議会から要望を受け、全国各地を行脚しています。
講演のご依頼や、各種お問い合わせは ≫こちら から受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
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具体的には、避難所情報や避難者情報のデジタル化による効率的な管理体制の構築、職員のデジタルリテラシー向上のための研修、既存システムを活用した円滑な情報連携などを提案しています。サイボウズ災害支援チームは、これらの活動を通して今後の災害対応における課題解決を目指しています。
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2. パートナー企業による支援の振り返り(登壇順)
■ワークログ株式会社(山本さん)
山本さんは1月の2週目から石川県庁入りし、災害支援のためのアプリの開発を行いました。現在も活動中とのことです。
高齢者施設の被災状況管理アプリなど、スプレッドシートで管理されていた情報をkintoneへ。現場からの要望でExcelライクな画面を用意し、好評だったとのことです。
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良かった点として、石川県が民間企業との連携に積極的でチームとして支援活動ができたことなどを述べておられました。
自然災害支援や災害支援パートナーとしての活動は初めてだったが貴重な経験だった、官民連携の成功事例を示せたと思うとのことでした。今回のIT支援介入が国の考え方を大きく変え、民間企業がより積極的に災害支援に参画しやすい仕組みづくりが進むことを期待している、と述べられました。
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■あっとクリエーション株式会社(黒木さん)
携帯電話の通信状況可視化、避難所のマップ作成、kintone連携地図サービス「カンタンマップ」の無償提供を行いました。柴田のバディと言っても過言ではない、黒木さん。「こんな地図を作ってほしい」「あんな地図を作ってほしい」という矢継ぎ早の依頼に応えたそうです。
また、通信がなかなか復旧しなかった状況下。「各キャリアの通信が繋がる範囲をリアルタイムで示してほしい」という無茶ぶりにも、正月返上でマップで可視化したと話されていました。
「キャリアの通信状況のオープン化は行政側も必要としている、内閣府やキャリアと協議する」と、柴田も今後の改善策を検討する姿勢を示しました。
一方、避難所のマップ作成では、自治体で使われている住所と異なるケースが課題として浮き彫りになったそう。黒木さんは住所精度向上のためのプラグイン機能を実装しました。他県でも同様の課題を抱えている市がありますが、対応を検討してくださるとのことです。
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■ラジカルブリッジ(斎藤さん)
カレンダーPlusのライセンスを複数、無償提供いただきました!
(カレンダーPlusはkintoneに素敵なカレンダー機能をプラスするプラグインです。)
提供したライセンスがどのように使われたのか。話が聞けたらと、今回の振り返り会にご参加くださったそうです。
この後、株式会社ノベルワークスさんが、カレンダーPlusを使ったアプリ構築支援を紹介してくれました!
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■トヨクモ株式会社(田里さん)
フォームブリッジ、kViewer、kMailer、プリントクリエイターの無償アカウントを延べ40件にご提供いただきました。
サイボウズ災害支援プログラムの「災害ボランティアセンター kintone研修テキスト」でも連携サービスとして紹介させていただいております!
また今回、田里さんは加賀市役所への構築支援を行いました。
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今回は構築した支援システムが使われず、リソースのロストとなりもったいなかったとのことです。が、「復興支援に貢献できて光栄だった」と繰り返し述べられていました。
今回の経験を通して、「お役に立ちたい」という思いで参画しているが、折角のリソースが活用されないのはもったいない。よりお手伝いしやすくなるためにも、サイボウズさんには「災害前パートナーシップ」を自治体と握って欲しいとのお言葉をいただきました。
貴重なご意見を胸に、私たちもより一層災害対応に貢献できるよう、平時から関係機関との連携を強化し万全の備えに努めてまいります。
*リソースはその後、加賀市の二次避難所の名簿作りに活用され、さらに金沢市でも使われたそうです。
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■株式会社ノベルワークス(澤田さん)
輪島市内の福祉避難所にて医療支援ボランティア団体向けに、kintoneの構築支援を行いました。
ボランティア間での情報の整理と共有が課題であったため、スタッフ情報や避難所情報一覧など6つのアプリを構築しました。いきなり完成形を目指さず、素早くリリースしてすぐに修正するサイクルを繰り返すという方針を、先方と共有しながら進められたそうです。
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スムーズな連携は、受援側担当者がkintoneの基本機能を理解されていたからとのことでした。それに加えて私個人の感想ですが、ノベルワークスさんの他者の文化を尊重する姿勢が円滑なコミュニケーションの一助であったのではないかと感じました。災害医療現場では一般的にホワイトボードを使用します。それをkintoneで置き換えるのではなく、ボードの写真をkintoneにアップするという方法を採用していた点が印象的でした。
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■株式会社ジョイゾー(四宮さん)
被災者と避難所のマッチングシステム開発の支援を行いました。
最終的には別のシステムが採用されたのですが、開発自体はスピード感重視で進めることが出来たそうです。ZoomやFacebookのMessengerを活用し、担当者の方が柔軟かつ迅速に対応。機能面で細かい要望をいただくこともなく、スムーズに開発を進めることができたとのことでした。
四宮さんは2016年の熊本地震支援の際に、ボランティア団体でkintoneシステム開発に関わったことがあります。その経験からも現場を見て「いかに早く動くものを作れるか」が非常に重要だと感じていたそうです。
今回もその考えは間違っていなかったと改めて実感したとのこと。被災直後の状況下ではもちろん正確性も重要ですが、改めて「スピード感」と「シンプルさ」の重要性を認識したと述べられていました。
3. ディスカッション
すでに豪雨などの災害シーズンに入っていることを踏まえ、今回の石川での経験を今後のスムーズな活動に活かしていけるよう、意見交換を行いました。様々な気づきや提案が共有されました。
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■良かった点
kintone活用は災害支援に有効: 各自治体や団体への導入が期待される成功事例と言える。情報共有や業務効率化にkintoneを活用したことで、迅速な支援体制を構築できた。
迅速な状況把握: テキストベースのコミュニケーションを中心に、必要に応じてZoomなどを活用した。現場の状況を素早く把握し対応できた。
効果的な連携の在り方: 受援者が必要な支援を見極めており、的確な支援を提供することができた。完璧を目指すよりも、必要最低限の機能で素早くシステムを構築できた。
支援を受ける側の状況を踏まえた柔軟な対応: 当初、支援を受ける側の時間確保が難航しシステム稼働の遅延が懸念された。しかし災害時は状況が刻一刻と変化し、対応方針も変更を余儀なくされる場合がある。支援を円滑に進めるために、相手の状況に寄り添い柔軟に対応できた。
■課題と今後の展望
適切な情報発信の必要性: 活動を通して得られた知見や成果をいち早く発信することで、支援の輪をさらに広げ、より多くの人々を助けられるのではないかと考えた。一方でボランティアとして活動内容を発信するには配慮すべき点も多く、そのバランスが難しいと感じた。適切なタイミングと方法を慎重に見極めながら情報発信を行っていきたい。
他企業との情報共有の必要性: 活動中、他パートナー企業の活動内容や課題についてもっと知りたいと感じる場面があった。活用事例やTipsなどを共有できる仕組みがあれば、より効果的な支援活動に繋がるのではないか。
継続的な意見交換の必要性: ある程度時間が経ち状況が落ち着いてきた段階で、今回のような状況ヒアリングや意見交換の機会を設けることは重要だと感じた。率直な意見交換を通して関係性を築き、互いの状況や気持ちを理解し合うことは、今後より効果的な支援体制を構築していく上で役立つと考える。
■ 感想
今回の活動を通して、被災地支援におけるIT活用の有効性を改めて実感した。現地で支援活動を行う方々を、遠隔地からでもサポートできる方法があることを知り大きな喜びを感じた。今後もできることを模索し積極的に行動を起こすことで、被災地支援に貢献していきたい。
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振り返り会での活動報告や意見交換からは、各社の迅速かつ的確な状況判断力、柔軟な対応力、そして高いコミュニケーション力が感じられました。どれをとってもプロフェッショナルとしての高い意識と熱い想いが感じられ、心強く、大変頼もしく思いました。
パートナー企業の皆様、この度は多大なるご支援を賜り誠にありがとうございました。サイボウズ災害支援チーム一同、心より感謝申し上げます。
ITの力で災害支援の最前線へ
石川の災害で初めて導入されたIT支援は、刻々と変化する状況下において、情報共有やタスク管理の効率化に大きく貢献しました。kintoneの可能性を改めて感じると共に、その進化と活用に積極的に取り組んでいきたいと思います。
災害支援は「誰かの力になりたい」という想いが集まり、大きな力となる活動です。これからも災害支援パートナーの皆様と協力し経験を共有しながら、より迅速かつきめ細やかな支援活動を目指してまいります。被災された方々が一日も早く安心して暮らせる未来を創造するために。
今後とも皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします!
サイボウズ災害支援チームは、チームワークあふれる社会を目指し活動を続けています。私たちと共に、災害支援の輪を広げていきませんか?
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