kintoneが活躍!広島県社協・災害ボランティアセンター運営者研修会
今月4日、サイボウズと災害支援協定を結んでいる広島県社会福祉協議会(以下、広島県社協)のIT研修会がオンラインで開催されました。
広島県内の社協職員およそ30人が参加し、パネルトークや災害ボランティアセンターの運営に関する協議などを行いました。
サイボウズからは災害支援チームリーダーの柴田哲史が登壇。ICTを活用した災害ボランティアセンター運営事例を紹介しました。
最初に、広島県社協・課長の吉野篤史さんからご挨拶。
「今回で研修は2回目です。第1回は共有会議で、本日はIT活用がテーマです。2年前にサイボウズの柴田さんにお話をいただき、協定を結び、8市町の皆さんに協力をいただいてシステムを構築。そして、事前登録システムを活用し始めたところで去年の災害が起きました。去年は、構築したシステムを運用でき、ある一定の成果を得ることができましたが、その一方で、課題も見つかりました。より効果的な運営をしたいと思っています。」
と話しました。
続いて、広島県社協の松井寛泰さんから広島の令和3年7月・8月大雨被害と支援状況について説明。
7月、8月ともに建物の被害が多数あった上、8月は4人(死者3人、負傷1人)の人的被害が発生。「近年、準備の大切さを痛感する災害が続いている」とした上で、災害ボランティアセンターの活動状況を共有しました。
また、広島県で導入しているボランティア事前登録についても地元のテレビ局・広島テレビで紹介されたことも話していました。
(動画は広島テレビのYouTubeチャンネルでご覧いただけます)
ITでどう変化?災害支援現場の運営
つづいて、サイボウズの柴田が登壇し、『IT活用による災害ボランティアセンター運営事例』と題して最新の活用方法と効果を紹介。去年はコロナ禍と相まって、ICTが大きく活躍した1年でした。
まず紹介したのが、クラウドでリモート支援が可能になった点。
以前は電話がメインで引き継ぎも大変でしたが、電話やメールの対応履歴がクラウドで共有でき、リモート支援が可能になりました。また、どこにいても会議に参加できることで、スムーズな対話・協議に繋がり、効率的に業務が行えるようになったところが大きかったと話しました。
続いて紹介したのが、受付でのQRコード活用。
密集・密接を回避できたため、感染対策が実施できた上、参加者の待ち時間や負担を軽減できたことを紹介。また、受付も一人一人順番でなく、各自がスマホで行うことで一斉に受付を実施できた点も大きな効果があったといいます。
被災者のニーズ管理も、紙からクラウドでの管理に変えたことで大きく変化。パソコン上の地図と合わせてニーズが管理されることで進捗が見える化され、対応漏れがなくなりました。加えて、ハザードマップと重ね合わせたことで浸水の危険がある区域が把握でき、支援のスピード感も意識しながらできるようになったといいます。
サイボウズ災害支援チームとしては、今年は社協職員と地元のIT人材をつなぐイベント『防災サミット』を開催することを計画していて、災害発生後の初動を迅速にできるよう体制づくりをしていくことを目標にしています。
4月に静岡県の島田市での開催を目指していて、今年中に広島県でも開催できれば、と呼びかけました。サイボウズとしてもスムーズな災害支援を行うため、平時のうちにできることを積極的に行う1年になりそうです。
パネルトーク✏️IT支援によるセンター運営の実際
続いては、現場で活躍する社協職員と運営の課題や今後を考えるパネルトーク。広島市安佐南区社協の﨑井優香さんと三原市社協の唐井ゆかりさんが登壇しました。
去年の災害状況や運営を振り返ってくださった中で、同じ県内でも違いが見えたのが、ボランティア募集に関するお話。
まず安佐南区社協の﨑井さんは
「コロナ禍なので、感染対策のため広島市の人のみのボランティア募集になりました。事前登録のおかげで効率よく集まっていただくことができましたし、誰が何人来るのかわかったことで、こちらも安心して準備できました。いつもよりスムーズに運営できたと思います。」
と、事前登録の仕組みに安心感があったと話していました。
また、事前登録により参加者に前もっての連絡が可能になり、当日の運営にもいい影響があったそうで、
「kintoneで事前連絡ができていたおかげで、持ち物の不足トラブルや問題が発生しなかった。事前に高い意識を持ってご参加いただけたのがよかったのかなと思います。」と話していました。
広島市はスムーズにボランティアが集まった一方、三原市は苦戦したようです。三原市社協の唐井さんは次のように話してくださいました。
「三原市はボランティアさんがなかなか集まらず、大変でした。1日10人の方に集まっていただくのも、すごく大変。登録してくださっている人に電話をかけたり、メールで呼びかけたりしていました。kintoneがあったおかげでこれまでのやりとりがわかるようになっていたので…kintoneがなければこんなに集まってくれなかっただろうなと思いました。運営側としても、一斉送信ができたり活動前のやりとりがすごく楽になったと感じました。」
これらの話に大きく頷きながら聞いていた柴田。静岡県熱海市の災害ボランティアセンター運営事例も紹介しながら次のようにアドバイスをしました。
「今後はボランティアに参加してもらう人との事前のコミュニケーションが大事だと思います。活動に入る前に、具体的にどんな動きをするのかイメージをしていただいたり、必要な保険加入などの事前準備をしっかりとしていただいたりすることが大事ですし、普段から運営側が慣れておく必要があるのかなと感じます。」
率直な体験を紹介していただくことで実際にどうすればいいかイメージし合ったパネルトーク。「もっと大きな規模の災害が発生した時にも対応できるよう、しっかりと活用していきたい」と登壇したお二人が話してくださったのが印象的でした。
研修会を行い、それぞれの地域や災害に合わせた事例を確認し合うことは、今後の災害に備える上で重要だと感じました。
各社協職員のから気づきの共有も
続いて、松井さんから実際に活用した特設サイトや予約システムの画面を共有。その後、参加者がグループに分けられ、それぞれ協議を行うブレイクアウトセッションが行われました。登壇していない社協の職員が感じている課題や、講義を聞いて得た気づきなどを共有。
「マップでニーズが見える化できるのがいいと感じた」
「これまで活用していない社協の職員にとってはイメージしずらいものもあったけど、今後活用できるよう動いていきたい」
などの声が寄せられました。
さまざまな気づきや要望を県内の社協でシェアできたことで、今後の連携などもスムーズに進んでいく未来が見えたように感じました。
サイボウズ災害支援では、各地域と連携しながら、いつ災害が起きても迅速に動けるよう備えて活動を続けていきます。
リポートの中にも出てきた防災サミットについても改めてお知らせしますので、ぜひ今後の情報もチェックしてください。
🌱サイボウズ災害支援サイトはこちら
🌱過去の災害支援活動についての記事はこちら