これだから買ってしまうんだよ、ジバンシィさん。
結婚をしてから独身時代の2分の1、ぶっちゃけると2万2千円が、私の現在の小遣いだ。
多いか少ないかはさておき、これまたぶっちゃけると私はiQOSユーザーなので、それで月8千円は消えていく。
つまり好きな物や必要な物は残り1万4千円で何とかする事になる。
この金額になってからデパコスなんて、殆ど買っていない。
独身時代、とても贔屓にしていたブランドがあった。
ジバンシィだ。
スキンケアから色もの、コフレまでジバンシィで揃えるほど大好きだった。
先月、たまたま小遣いがいつもより余って、何か買いたい欲が出て来て、このお金をどう使おうかワクワクしていた。
そう言えば、最近デパコス買ってないな……。
買いたい欲が出ない様に、通販サイトなどを見ない様にしていた私は、最近のデパコス事情にかなり疎くなっていた。
高いお金を使うからには色味はなるべく自分の目で確認したい。
デパートへ行く事にした。欲しい物がなければ何も買わずに帰って来よう、それくらいの気持ちで。
久しぶりのデパートのコスメ売り場は、華やかな香りで溢れていた。
ディオール、ランコム、M・A・C、ボビィブラウン……。
様々なブランドを一通り見て回って、懐かしい、あの場所に足を止めた。
ジバンシィだ。
毎月の様に通っていたそこに、数年振りに足を踏み入れた。
何となく買う物はグロス、と決めていたので、どこにあるかなーとキョロキョロしていると
「何かお探しですか？」
とBAさんに聞かれ、
「グロスが見たいです」
と答えた、その時。
「……お久し振り、ですよね？」
私はその言葉に驚きを隠せず、BAさんの顔をじっと見た。
数年前、私の担当(?)だった、あの人だった。
結婚前の名前で購入履歴を見て貰うと、最後に購入したのは5年前だった。
5年もあれば人の顔は変わる。良い意味でも、悪い意味でも。
それにこのマスク着用が当たり前になってしまった、このご時世。目と眉だけでよく気付いたな、と本当に驚いてしまった。
このBAさんには結構お世話になった。
別のブランドで買ったアイシャドウに合わせられるリップの色を相談したり、エステをして貰ったり。3色、4色と色に迷う私に嫌な顔一つせず、タッチアップしてくれたり。
そして何より、彼女は提案する事が凄く上手かった。自信を持って自社製品を勧める事がとにかく上手い人だったのだ。
そんな過去を思い出して、この人になら、また難しい相談も出来るかも知れない、と思い
「青系のアイシャドウに合うグロスが欲しい」
と相談をしてみた。
すると彼女は3色のグロスを手につけて、色味を見せてくれたのだけれど、久々の高い買い物に迷いが生じ、選ぶことが出来ずにアタフタしていると
「お肌が白いし、普段使いもしやすい、これがいいかも」
と選んでくれたのが
No.23 ソーラー・ピンク
レザー調のキャップに大きめサイズのケースはとても存在感があり、持っているだけで、目にするだけで元気になれそうだと思った。
4月から新しい仕事に就く予定なのだけれど、これは毎日つけて行こう。
もう立派な私のお守りだ。
※ちなみにこれ付けるとスースーするので、苦手な人と大丈夫な人、好みが分かれるかも。
多分、彼女が私を覚えていてくれなかったら、相談すら出来ずに、買わずに帰っていたんだろうなぁ。
私を覚えていてくれて、声を掛けてくれて、そして真剣に素敵な色を選んでくれたんだから買うしかない。色も可愛かったし。
あの頃の様に毎月は行けないけれど、また必ずジバンシィに行こうと思う。
BAさんの笑顔と溌剌とした声を聞きに。
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