経験の共有は難しい

kintoneで「姓名」を登録する場合、どういうフィールドにしていますか?
他のシステムとのデータ連携を考えると、「姓」と「名」が理想的なのかなと思っています。

と書くと、ある程度色々なシステムを触っている人は「姓名」を「文字列(1行)」で管理すると、
①山田太郎
②山田 太郎
③山田 太郎
④山田
みたいにばらけたものが生じるというのを経験として知っているので、
「まぁ、その方が安全かもなぁ」
と思われるかと。
そして、こんなことを読んでいるときには既に頭の中で
文字列__1行_1&" "&文字列__1行_2
で3つ目の「文字列(1行)」にすれば、そこに③が出来上がるから他のシステムやサービスにデータを移す際の問題も生じにくいだろうな・・・と考えることができるかと思います。

でも、こういうのって「kintoneの使い方」を知っているかというものとは別のお話なんですよね。

「姓」「名」なら、まだ入力する方も誤りにくいんですが、住所になると一変しちゃうということも・・・。
・郵便番号
・都道府県
・市区町村
・町名番地
・建物名、室番
のように分けて管理すると、「市区町村」「町名番地」が見事に残念なことになります。
「大阪府大阪市中央区日本橋」と「東京都中央区日本橋」の場合、それぞれどう入力しますか?

・大阪府 大阪市 中央区日本橋
・大阪府 大阪市中央区 日本橋
なのか問題です。

東京都の区の場合は都道府県の下に市を挟まないので、こんな風に二つに分かれることはありません。
ちょっとした行政の管轄などを理解していれば問題無いのですが、前者と後者がそこそこの割合で混ざる傾向があり、それはいざデータを使おうとすると困る原因にもなります。

kintoneの社内勉強会を開催するにあたって、このあたりからの話を始めたので、3回ほど遠回りをしました。
・DBってなんやのん?
・メリットは?
・なんで形式にこだわるの?
みたいな話をメインに据えて、まずは前提の統一を図りました。

4回目からはいよいよ本格的にkintoneを使うためのお話しに突入しましたが、その前置きに3回も使った理由はそこそこ大きなものだったのです。

この遠回りの部分にも、kintoneをちょくちょく登場させていたのですが、とにかく参加者のスキルがバラバラなので、「前提条件を揃える」ということに時間を割きました。
そして、そもそもなぜExcelから抜け出さなければならないか、DBやkintoneにどんな効果があるかといった、本当に初歩的なものから始めました。

kintone勉強会というと、フィールドがどうとか、権限がどうとか・・・という話をと考えがちですが、前提を揃えないとそこの話もちんぷんかんぷんなのだという、「よっしゃ、kintone使いまくるぞ!」という層とは違うということを認識しなければならないのです。

最終的に12回の開催を無事に終えることができ、何度かの勉強会では終了後に「今の〇〇をもっとこうしたいのですが・・・」みたいな相談も受けました。
オジサンに相談するのはちょっと・・・という際には西川女史がきちんと聞き役に回ってくれました。

今年の勉強会でいろいろな課題も見えてきましたし、どうすればもっと良いものにできるかのヒントも蓄えられました。
なので、来年も何らかの勉強会を開催したいと思っています。
もしかすると、最初の3回までのあたりの話をすることだけの勉強会をもっと広く行う必要があるのかもしれないとも思っています。

自分が経験で得たことを誰かに広めるという際、その人が「困った・・・どうすればええんや??」という状態であればきっと簡単なんだと思います。
でも、問題に直面していない、あるいは問題に直面しているけどもそれを解決する手段が存在すると思っていない人に対して、どうやって経験をシェアしていくか・・・これはずっと考え続けないといけないことなのかなとも思っています。

勉強会って本当に難しい。

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