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【お茶】お茶業界は斜陽産業?

田中洋介と申します。新潟県長岡市与板町で「田中清助商店」という、まちのお茶屋をしています。

お茶のこと、お茶屋のこと、子育てのこと、まちのことをざっくばらんに綴っていきます。

初回はお茶業界について。

1.お茶業界の現状

かつて絶大な人気や売上を誇った産業でも、時代の流れとともに勢いを失うことがよくあり、そうした産業は「斜陽産業」などと呼ばれます。

私はお茶業界の関係者から
「お茶業界は斜陽産業である」
という言葉をよく耳にします。

下記は農林水産省作成の「茶をめぐる情勢」です。
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/pdf/cha_meguji_h2805.pdf

茶葉の生産量や急須にいれて飲む緑茶(以下、リーフ茶)の消費量は、年々減少しており、斜陽産業と言われる要因の一つとなっています。

一方で、ペットボトルの緑茶(以下、緑茶ドリンク)は、1990年代の発売以降、右肩上がりで売上を伸ばし、現在も横ばいか微増が続いています。

このような状況から、お茶業界の関係者の多くは緑茶ドリンクを脅威と考えています。

しかし、果たして、本当に脅威なのでしょうか?

2.緑茶ドリンクとリーフ茶はそもそも土俵が異なる

「宵越しのお茶は飲むな」と言われるくらい、急須でいれた緑茶はカテキンの酸化作用により急速に品質が劣化します。

しかし、緑茶ドリンクはビタミンC(酸化防止剤)を添加することでカテキンの酸化を防ぎます。
結果、ドリンクのまま長期間保存することでき、持ち歩くことが可能となります。

緑茶ドリンクは、「手軽さ」という機能的な強みを持つことから、ミネラルウォーターやスポーツドリンクに類似していると言えます。

一方、リーフ茶は、茶葉100%の自然な香りや味わい、飲んだ瞬間ホッとするリラックス成分を豊富に含んでいます。

「美味しさ」や「癒し」という情緒的な強みを持つことから、コーヒーに類似していると言えます。

緑茶ドリンクとリーフ茶は異なる強みを持っています。
緑茶ドリンクの消費量が増加傾向にあるのは、核家族化やファストフード化など生活習慣の変化により、緑茶ドリンクが、手軽さを求める消費者のニーズにマッチしたからだと考えられます。

しかし、コロナ禍による在宅ワークやおうち時間の増加により、美味しさや癒しを提供するリーフ茶のニーズが高まっていくだろうと私は信じてます。

3.お茶業界はブルーオーシャン?

さらに、お茶業界には以下の特性があります。

①商品が差別化されている
 一般的に、お茶は様々な産地/製法の茶葉がブレンドされています。商品によって香りや味わいが全く異なり、差別化が図りやすいです。

②商品開発の余地がある
 茶葉のみの商品は種類が豊富ですが、フレーバーティーや日本茶ドリンク(アルコール含む)など、茶葉+αの商品は種類が少なく、商品開発の余地が十分あります。

③競合が少ない
 コーヒーチェーンやコンビニなど、多種多様な企業が入り激しい競争が繰り広げられているコーヒー業界と比較して、お茶業界内では競合が少ないです。

私は上記の特性をチャンスと捉え、日本茶ドリンクや日本茶スイーツ、長岡産野菜茶など、様々な商品開発をして差別化を図っていますが、十分な手応えを感じています。

斜陽産業と言われる業界でも、視点を変えること、そして、諦めずに新しい取り組みをし続けることにより、チャンスが生まれるかもしれません。

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