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会社員が理解しておかないといけないこと

いま、部下が20人
年度初めにこんな挨拶をしてみた。

「昨年度は会社の業績は好調でした。どうやら過去最高売上になる見込みです。これは皆さん従業員一人一人が努力し、大きな付加価値を生み出したからに他なりません。」

「さて、皆さんの給与は過去最高額だったでしょうか?」

皆、キョトンとしている。もちろん、私は皆の給与を把握している。過去最高にはなっていない。むしろ評価面談の時は辛口な話をした。

「過去最高になっていないとしたら、それはなぜですか?」

こんな問いかけもしてみた。
だってみんなで生み出した付加価値でしょ。

企業に勤める従業員はここを理解していかないといけない。
去年より給料が多少上がったとしても、喜んでいる場合じゃない。

そう、従業員が生み出した付加価値は、従業員のものではないのだ。
リスクを取って投資している株主のものになるのだ。
君たちは、生活を営むために必要なそこそこの額を給与として受け取っているだけなのだ。つまり、生活保障のようなものだ。

年収1,000万円を超えている部下も数名いる。一般的には高給取りだ。しかし、年収1,000万円あっても別に生活に余裕があるわけではない。何となく余裕がない。
でもあなたは高給取りだ、もっと会社に尽くしてくれとの檄も感じる。そうやって、会社は利益最大化を図る。別に私の会社だけじゃなく、世の中全般にそうだ。

こういう状況を、左寄りの人は労働の搾取だと言うのだろう。右寄りの人は経済発展のモデルケース、などと言うのだろう。でも私はここで政治的な善し悪しを論じるつもりはない。組織の中であくせく働いていたら気付きにくいが、企業の従業員であるということはそういうこと、と客観的に理解することが重要だ。そう語った。

「君たちはどう生きるか」

先ほど、給与は生活保障だと述べた。会社が過去最高益になっても給与は過去最高にはならないが、逆に過去最低益になっても一定の給与はもらえる。だって、生活保障なのだから(クビになる人は一定いるかもしれないが)。そう考えると、チャンスは無限だ。生活保障がある間に、自己実現を達成すること、そして経済的自立を果たすこと、これが必須だ。遅くとも50歳までにこれらを達成していないと、そのあとの人生はちょっと苦しい。

経済的自立の向けて手っ取り早いのは、株主になることだ。だって、構造上、多くの労働力は企業利益となって株主のものとなるのだから。株主になれば、皆の労働力の分配を受けられる。投資額が1億円を超えるぐらいになると、資産が自己増殖し始めることを実感する。自分の資産が経済活動の一つの歯車となって自らも働き始める。

もちろん、今後何が起こるか分からない。だけど、企業というものが社会の富を創造していく主体である、という社会構造はしばらく続くだろう。しかし、もちろんそれだけではない。副業も認められるようになってきたし、個人で収入を得る手段は豊富だ。

もう一つ大事なことは自己実現の達成だ。大きな組織に属していると知らぬ間に単なる歯車になっていて、思考停止に陥ることが多い。どう社会の役に立っているのか、他に社会貢献できることはないのか、常にそういう情熱を持ち続ける必要がある。そしてその情熱が周りの人を動かし、同じ情熱を持った人々が集まり、少しずつ少しずつ目標に向かって動き始めることを実感する、自分のできること、得意なことが役に立っていることを実感する。そういう経験を何度か経験することが近道だ。このような体験を重ねている人の考えはとても魅力的で人を惹きつける。私の考える自己実現だ。

組織をある意味でうまく利用しながら、自分の人生の価値を最大化していく。そのような視点で仕事ができているか? 大企業に属する会社員であればあるほど、その自問自答が重要だ。自戒の意味も込めてここに記しておきたい。部下のこれからも楽しみだ。

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