【パリ五輪】話題の「無課金おじさん」ことトルコ射撃選手がなぜ凄いのか！？【アクション考察】

今夏開催のパリオリンピック、10mエアピストル混合（射撃）で銀メダリストを獲得したトルコのユスフ・ディケチ選手（51歳）がネット上で話題だ。
ゴーグルやイヤーマフを装備しないラフなTシャツ姿に日本のSNSでは「無課金おじさん」と呼ばれている。
また、左手をポケットに入れたまま撃つリラックスした姿勢や退役軍人という経歴も注目されている。

本記事は普段アニメ・映画のアクション考察を語る筆者が、試合動画を見て気付いた点を解説する。

【参考動画・10mエアピストル混合（射撃）】

動画配信 | NHK パリ オリンピック2024

1.達人級の所作に注目

3位決定戦、決勝戦を見てまず違いに気付くのは両肩のバランス。ユスフ・ディケチ選手は両肩がほぼ垂直に近く、他選手は利き腕の肩からの傾きが大きい。あまり力を入れていないことが分かる。

さらに上半身に注目すると肩甲骨を下げつつ中央に寄せており胸のラインが綺麗に整って見える。ただ、肩甲骨を中央に寄せるだけでは腰が反りやすくなり骨盤が後ろに引いてしまう。
ユスフ・ディケチ選手はまっすぐの良い姿勢を保つため骨盤を前に押す動きを加えて保っている。緊張なしに自然体でこの姿勢を保つにはかなりの鍛錬を要し、「骨」を意識した姿勢は達人級が行う所作である。

多くの選手が「筋肉」を意識して姿勢を保っていることに比べ、彼は「骨」を意識して姿勢を保っていることが大きな違いであり凄さの要因である。

2.「骨」を意識した動きの利点

武術の達人といわれる方々は「骨」を意識した動きを理想とし、鍛錬を重ねて実行する。これには３つの利点があると言われている。
１つは、戦場で長時間動くことを想定して疲れにくい身体を得るため。
２つは、年齢に伴う筋肉の衰えを抑え、長年「武（所作）」を維持していくため。
３つ目には、身体が疲れていても本来のパフォーマンスを発揮できるよう安定感を得るため。

上記のように「骨」を意識した動きは利点が多く万能に見えるが弱点はある、ふとした「力み」が生じることで悪影響を及ぼす。動きのカギはいかなる状況でも「自然体」でいることだ。
「骨」を意識して動き、常に「自然体」でいることが達人が「達人」といわれる所以である。

３．自然体な姿の裏側

上記からユスフ・ディケチ選手の射撃姿勢は余裕あっての行動ではなく、あの姿勢では「力み」が弱点となるための対策であることが理解できる。
左手をポケットに入れて落ち着いたように見える仕草や肩をすくませて一呼吸つく仕草は自然体でいるためのルーティンとも考えられる。

NHKでは彼が帰国して地元メディアの取材に応じインタビューの一部を紹介している。
【参考記事】　NHK　NEWSWEB「“軽装で銀” トルコの射撃選手 SNSなどで話題に パリ五輪」2024年8月2日記事

“軽装で銀” トルコの射撃選手 SNSなどで話題に パリ五輪 | NHK

「ほかの選手のような装備は自分には向いていない。楽に競技しているように見えるかもしれないが、実際には心臓が飛び出しそうなぐらいどきどきしている。」
（記事内インタビューコメントの一部を引用）

インタビューは彼の素直な気持ちであり、楽に競技しているように見える自然体な姿の裏側は、彼なりの対策だったことがうかがえる。
世界大会の話題となったシーンの一動作を見ることで、アクションを理解しアクション考察の面白さに気付く良い機会となった。

今回は話題への即時性として概略的な記事としてが、反響や感想などがあれば鍛錬に伴ったことの推測や元軍人故の所作等さらに踏み込み深堀りしたnote記事を作成したい。

ここまで読んでいただき感謝。
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