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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G ノルウェー vs ジブラルタル マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

今回は第6節の2本目となるノルウェー×ジブラルタルをお届けする。次のトルコ戦に向けて勝利を積み重ねたいノルウェー。前節のラトビア戦で下位レート相手にはボール保持型でゲーム支配する姿を見せていた。であるならばジブラルタルにも同様のスタイルで臨むはずである。

両チームの前節までのゲーム内容を知りたい方は以下を参考にされたし。

ノルウェー 4節(vsオランダ) 5節(vsラトビア)
ジブラルタル 4節(vsラトビア) 5節(vsトルコ)

サマリー

読み取れる狙い

(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)

【ノルウェー】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):〇
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):ー
カウンター戦略:〇

【ジブラルタル】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):-
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):×
カウンター戦略:×

上記の状況になった考えられる理由

ジブラルタルはバス停め作戦により致命的な場面が出なければOKという考えだったのだろうが、ノルウェーのポジショナルプレー志向のアタックがジブラルタルの抱える課題を幾度も再現させ相手を破壊した。

ノルウェーは鋭い速攻も備えているため、ジブラルタルのロングフィード戦略もメタられる形となった。

気になった選手とその理由

【ノルウェー】

ハーランド (FW ドルトムント)

他の選手をピックアップしたかったがハットトリックのため2回目の選出となった。点で合わせるシュートはワールドクラスに至らずポジショナルプレー志向と合うのか疑問が残る。

しかし裏抜けからシュートチャンスを作る動きが秀逸なため周囲のサポートの仕方次第でPPでも十分ゴールを奪えることを証明した。

【ジブラルタル】

トリラ (MF リンカーン・レッド・インプスFC)

自軍ゴールキックのターゲットマンとなるセンターハーフ。他に然したる特徴はないのだが43分に自分のポジションを捨ててプレス突撃を敢行。これがノルウェーのビルドアップミスを誘発することになりヴァラリーノがカット。そのこぼれ球を拾いショートカウンターで中央に切れ込む。ファーストタッチが大きくなり相手CBと交錯。そのこぼれ球がアシストとなった。頑張った。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

ノルウェーはボール非保持でも[4-3-3]の布陣を敷いていた。機会は多くないが第1プレッシャーラインの目的は相手のサイド誘導だ。ラトビア戦と同様、ボール保持に傾倒するノルウェーのプレスの質は緩いのではないだろうか。第2ライン防御のフェーズに影響が出ていた。

ジブラルタルは基本[5-4-1]の配置。1stディフェンスが機能することは無かった。

2.第2ライン防御について

ノルウェーは1stディフェンスのサイド誘導と連動するMFとで序盤からボール奪取の意図を見せていた。誘導後のスライドでMF3枚ともボールサイドに寄り過ぎ何だか怪しい。相手センターバックの持ち運びから簡単にパスを通過される場面もあった。

ジブラルタルの脆さは先の2戦と同様である。ノルウェーが振る舞う大外と内レーンでのピン留めにより機能しなかった。そしてノルウェー戦でも中盤は自ゴール前にバスを停めるブロック守備の一部と化す。

3.ブロック守備について

ノルウェーはラトビアのサイドアタックに対してシステムが嚙み合うのでそのまま同サイドの選手が対面する。センターハーフがカバー役となりCBは行かない。

ジブラルタルは[5-4]ブロックで守るが様々な問題に直面する。

Q1. ハーランドどうするねん
A1. 相手ウイングも中に絞るので3CBは対面マークが基本です。逆サイドのサイドバックは内に絞ってカバー役となってください。

Q2. 中央レーンのMF-DFライン間で相手FWがピン留めしてくるんやけど
A2. 逆サイドのサイドハーフがスペースを埋めましょう。1トップも戻ってパスコースを消してください。

Q3. 大外で相手の両サイドバックがピン留めしてくるんやけど
A3. いずれかのサイド選手で対面しましょう。逆サイドは捨てましょう。

Q4. ハーフスペースで相手のインハがピン留めしてくるんやけど
A4. サイドハーフで対面しましょう。センターハーフも寄ってください。逆サイドはボールが来たら何とかしましょう。

Q5. 相手のフリーのセンバがドリブル+ワンツー狙ってくる
A5. 近くの選手が付いて行き周囲はマーク交換しましょう。

Q6. ウーデゴールが自由すぎてウザい
A6. ボールを持ったら近くの選手が凸りましょう。

と、選手が主体性を持って解決方法を出すのではあるが、複数の問題が同時に起こると相互作用によりスペースのバーゲンセールが開催されてしまうのであった。

4.ゲーゲンプレスの回避について

ジブラルタルがリトリート主体なのでノルウェーは苦労することは無かった。

5.ビルドアップについて

[4-3-3]の配置を敷いてきたノルウェーは2CB+アンカーでビルドアップを開始する。ジブラルタルの1stディフェンスの構造上、余裕をもって組み立てることができた。また、低い位置ではGKを絡めて菱形ビルドを行う。

ビルドアップの出口役となるのは基本的にウーデゴールだ。ジブラルタルが監視役を置かずに[5-4]ブロックを形成するため自由な位置でボールを受けることができた。この時点で両サイドバックは相手の中盤ラインまで上がっていた。

ビルドアップ以降の攻撃フェーズを一旦キャンセルすると長短のパスでサイドチェンジ行う。ラトビア戦の縦展開とは異なり、ジブラルタルの中盤を引き付けるための選択だ。

ジブラルタルは3CB+2CHがベースだが、ほぼ押し込まれるので縦志向のアタックが基本となる。GKやビルドアップ隊からのロングフィードが主となる。

6.相手中盤の突破について

ノルウェーは基本的にはラトビア戦で見せた振る舞いと同じだ。ビルドアップ隊が1stディフェンスの脇からボールを運び相手の中盤を引き出す振る舞いを行う。そして大外でサイドバックが、内レーンでウイングがピン留めを行う。

ドリブルで持ち運ぶ選手に対しジブラルタルはスライドした2CHが根性でカバチャレに行く。そのため中央レーン付近のMF-DF間はとんでもないことになっていた。そのスペースを逆サイドのサイドハーフが埋めに行った際にサイドバックはカバーできない。ノルウェーの3トップに対して数的な担保を取ることが優先のためだ。

インサイドハーフのタスクを担うウーデゴールの移動範囲はサイドハーフの時より更に大きくなっていた。ボックストゥボックスからゲームメイクまでこなす振る舞いは、さながら左利きのチャルハノール(トルコ)と言ったところか。

ジブラルタルはセカンドボール回収から前に進むケースに頼ることが多い。GKからのロングフィードの受け方はラトビア戦と同様トリラがターゲットとなり2MFとFWが前線で受け役となる。しかしGKゴールドウィンのキック力がちょっと足りず前進できる機会は少なく、逆にカウンターを喰らうこととなる。

7.フィニッシュワークについて

ノルウェーは計43本ものシュートを放つ。9枚、ときに10枚のブロックで守るジブラルタルだったが上述した引き付けられて中央にスペースができる欠点を突かれゴール前のバスの意味が薄れる。

ベースはサイドでのコンビネーションからのクロスで、3トップはなるべくエリア内でシュートに備える。ファーとマイナス位置を優先しているようだ。

単調なクロスは控えサイドを変えることを優先していた。そこにアタッカー陣の位置取りの上手さによりジブラルタルが攪乱状態となる。先制点となる左サイドでのコンビネーションからマイナスクロスをトルストベットが決めたゴールは見事だった。

8.トランジションについて

ジブラルタルの攻撃がロングフィードベースなのでノルウェーは跳ね返しつつカウンターに転じる戦略があったと思われる。セカンドボール回収時のポジトラはまずFWにボールを入れることを優先する設計だった。カウンターの度にジブラルタルは決死のプレスバックやリトリートを行う。

ラトビア戦と同様、ジブラルタルが守備全振りのためクリアを拾い再攻撃に繋げることが多い。やはりトランジションの質の高さは判断が付かないが、2CBとアンカーが予防的マーキングの位置に立っている。しかしボール保持に傾倒するノルウェーはポジション移動が多いため被カウンターに対して微妙と思われる。

アンカーシステムを採用し更なる攻撃偏重の姿を見せたノルウェー。3トップとインサイドハーフのスキルや戦術的なポジショニングレベルは高く、下位レートのチームでは太刀打ちできない域にあった。しかし上位レートの相手に通じるかはやはり疑問が残る。おそらく攻守が分断してしまい押し込まれる形が増えるのではないだろうか。

ノルウェーのジブラルタル攻略を見るに、オランダ×ジブラルタルはより一方的なゲームになるだろう。ノルウェーがオランダ相手にボール保持を行ってくるかは、やはりトルコ戦を見ないと何とも言えない。だけど面白くなる気がするので練度を上げてほしい。

何はともあれノルウェー連勝。そしてトルコが敗れたためオランダと同勝点の2位に浮上。最高の形で最大の山場となるトルコ戦(A)を次に迎えることとなる。しかしハーランドが9月下旬に筋肉系の負傷をしてしまい招集を見送ることとなるのであった。果たしてノルウェーの運命や如何に!?

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

試合結果

2021.09.08
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第6/10節 ノルウェー 5-1 ジブラルタル

【得点者】
ノルウェー:23' トルストベット 27' 39' 90'+1 ハーランド
59' セルロート
ジブラルタル:43' スタイシュ

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