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FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G ラトビア vs ノルウェー マッチレビュー

やあみんな!フットボールライフ楽しんでいるかな?

2つ前に投稿したラトビア×ジブラルタルの記事。読まれるのはアタクシ10PVほどと思い込んでいたのだが予想を上回る読者がいてくださった。
皆様のフットボールへの関心の高さに敬意を表するとともに感謝を申し上げたい。パルディエス!(Paldies!)

今回はそのラトビアにノルウェーが乗り込むゲームの分析をお届けする。ノルウェーは前節オランダ相手に堅いゾーン守備を見せ勝ち点1を拾った。

第7節のトルコ戦次第ではW杯出場やプレーオフへの可能性も大きい。
なので下位レート相手となる第5,6節での連勝がまずは必須。そのためソルバッケン監督がどのような手腕をふるうのか注目に値するゲームである。

サマリー

読み取れる狙い

(〇上手くいった △半々 ×上手くいかなかった -無し)

【ラトビア】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):ー
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):×
カウンター戦略:×

【ノルウェー】

ゲームメイク戦略(ポジショナルプレー志向):△
ゲームメイク戦略(非ポジショナルプレー志向):ー
カウンター戦略:×

上記の状況になった考えられる理由

ノルウェーが立ち位置を意識したビルドアップで数的優位を作りラトビアの1stプレスを無効化する。そこからのゲームメイクをラトビアが妨害できず、終始ノルウェーの攻撃を浴びて耐えきることができなかった。ラトビアのカウンターがフィニッシュ前に摘まれてしまうのも痛手だった。

決してノルウェーのポジショナルプレー志向のスタイルが優れていたというわけではなく、ラトビアの対応力とに差があったと言うのが正しい見識だろう。

気になった選手とその理由

【ラトビア】

シガニスク (MF FK DAC 1904ドゥナイスカー・ストレダ)

ウーデゴールやペデルセンと対峙した左サイドハーフ。めっちゃ大変だったと思う。頑張った。

【ノルウェー】

ペデルセン (DF フェイエノールト)

第4節オランダ戦でフル代表デビューを飾った21歳。運動量の多さと攻撃センスが売りの右サイドバックのようだ。

同サイドのウーデゴールが降りたり内レーンに絞り相手を引き連れ空いた大外スペースを駆け上がるなどして多くのクロスを演出していた。まあ中とは合わなかったのだが。

UEFAの2021年注目の若手50人に選出されていた。

考察 (オランダ主観)

1.相手ビルドアップの妨害について

ラトビアの第1プレッシャーラインはジブラルタル戦に続き基本2枚(縦or横関係)であり守備的プレッシング位置から開始する。U字パスをやられるとスライドの対応が遅くなるため狙われた。後半に修正しきれなかったのが決定的だった。
ノルウェーの菱形ビルドの頂点にいる選手がボールを保持するとセンターハーフが1枚出てくる。しかしパスコースを遮断出来ない。そしてグループで囲んで奪う設計も無かった。

一方のノルウェーはあまり機会がなかったが、第1プレッシャーラインはこちらも基本2枚(縦or横関係)だった。
プレスの質は緩かったと思う。自チームがボール保持に傾倒していたのとラトビアがプレス耐性に弱く後ろや縦への回避傾向が強かったためだろう。

2.第2ライン防御について

ノルウェーはセンターハーフの2v1グループ守備による奪取は上手く感じた。(2枚での守備なので限界はあるが)

ラトビアは1stディフェンスの悪さに引っ張られる。ボールホルダーへプレスをかける選手が「空けた選手へのカバーよろしくね!」と指示するが誰にも届かない切ない場面が何度も見られた。
ただ、後半の立ち上がりはノルウェービルドアップ隊の持ち上がりからのアタックを誘い奪ってカウンターに運ぶ展開が見られた。

3.ブロック守備について

ノルウェーはラトビアのサイドアタックに対してシステムが嚙み合うのでそのまま同サイドの選手が対面する。センターハーフがカバー役となりCBは行かない。
ボール保持を強めた戦術ではセカンドトップ気味のFWがカウンターの受け位置に残っているため、スペースが生まれそうな気がしないでもない。

中盤が乱れ気味のラトビアではあるが、攻め込まれた際はエリア内でブロックをセットする傾向にあった。2CBがサイドへのチャレンジ&カバーに加わらないところがラトビアの良い所である。クロス対応は出来ていた。
ただ、裏抜けやサイドからのショートパスを織り交ぜられると怪しさを見せPK献上など2失点してしまった。

4.ゲーゲンプレスの回避について

書くこと皆無である。ラトビアは回避のための設計がなく、リトリート主体なのでノルウェーも苦労することは無かった。

5.ビルドアップについて

ラトビア、ノルウェーともに2CB+2CHでゲームメイクするスタイルがベースだ。

ノルウェーはボランチが1枚降りて菱形を形成する。また、低い位置ではGKを絡めて菱形ビルドを行い、ボランチの片方がフリーマンとなる。
ゲームメイクはポゼッションが主体だったが、ビルドアップ以降の攻撃フェーズが一旦キャンセルされると縦展開を行う機会が増える。

ラトビアのビルドアップは機能していたとは言えなかった。どちらかと言えばボックス型ではあり、ハイプレスに対して縦に回避して難を逃れることが多かった。

6.相手中盤の突破について

ノルウェーはビルドアップ隊が1stディフェンスの脇からボールを運び相手の中盤を引き出す振る舞いが目立つ。ラトビアの守備陣を攪乱させ、大外にいるサイドバック、あるいは内レーンのサイドハーフを利用する。

サイドハーフは中間ポジションを取り、攻撃の起点、もしくはサイドバックへの大外展開をサポートしていた。
ウーデゴールの移動範囲が大きいのは特徴だろう。ビルドアップ隊2名とのトライアングルを形成し、前方に押しあがっているペデルセンにパスを通させるなど、スキルもさることながらポジションを入れ替える動きも面白い。

ラトビアはボール保持が困難なため、ジブラルタル戦で見せたような中間ポジションから引き付けを狙うというよりは、一旦ビルドアップに戻しサイドを変え大外から進もうとしていた。

7.フィニッシュワークについて

ノルウェーはサイドハーフが内レーンに絞るので定位置攻撃時に2FW+1SHがエリア内で待ち受ける形が多かった。中盤の突破が大外となることが多く、クロス攻撃が主体となっていた。

なおクロスは単調気味なケースが多かった。ハーランドを2CBで見ることが多いラトビアはエリア内だけは崩されていない状況を保てていたためだ。
逆に考えるとハーランドは脅威こそあるものの、ゴール前に立ち続けるタスクとなるボール保持向けの定位置攻撃ではまだ埋もれる傾向にあると言える。

停滞していた攻撃をサイドハーフが打破する。サイドバックがエリア前で攻撃の起点となる際に、ウーデゴールやエルユヌシが中央レーンのバイタルエリアでボールを受け取りラトビアの守備ブロックをこじ開ける動きを見せた。
オランダ相手にも効果がありそうなパターンだが被カウンターのリスクもある。

8.トランジションについて

ノルウェーはラトビアが守備全振りのためクリアを拾い再攻撃に繋げることが多かった。そのためトランジションの質の高さは判断が付かない。
特徴はビルドアップ隊が菱形のまま予防的マーキングを振る舞っていそうで、気になったのは攻撃時にウーデゴールの移動範囲が大きいことが仇となり、押し込んだのにネガトラでリトリートせざるを得ない状況があったことだ。

ラトビアは防戦一方の展開のため、たまに高い位置でボールを奪うことがあってもレンジ外のシュートを狙いにいく。それが心理というものだろう。


終わってみれば0-2でノルウェー勝利となるわけだが、ボール保持のノルウェーはそこまで怖くはない印象である。ソルバッケン監督からしてみれば良いレッスンになったとは思われる。

ノルウェーがオランダと再び相まみえるときにボール保持の戦略を見せるかどうか。それは今後の勝ち点差次第ではなかろうか。まずはトルコ×ノルウェーに注目だ。

それではご一読ありがとうございました。TanaLifeでした。あなたの心(ハート)に平戸に祈る🙏

試合結果

2021.09.05
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 Group.G 
第5/10節 ラトビア 0-2 ノルウェー

【得点者】
ノルウェー:20'(P) ハーランド 66' エルユヌシ

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