【J1雑感】東京ヴェルディvsアルビレックス新潟【2024 第4節】

Attack Momentum by Sofascore

J1全部見るマンが☆5必見とイチオシの試合。ヴェルディは今年初見。新加入選手のなかでは見木友哉や、京都コンビの山田楓喜、木村勇大らがスタメンとして起用されている。頑張れ翁長。新潟は開幕戦を見て以来。

前節からのスタメンの入れ替えはヴェルディが山越康平。新潟も谷口海斗のみとだいぶメンバーが固まっている印象。また、宮原和也や太田修介など一線級の選手がベンチに戻ってきている。

新潟のボール保持、2-2のビルドアップでセンターハーフの上下動により相手のマークを引き付けて、サイドバックが高い位置を取り攻撃の起点とする狙いがありそう。対してヴェルディのボール非保持は基本的にはまずは4-4-2ブロックを構えて中央封鎖と牽制。新潟のサイドバックにはマーク交換で対応しつつ、アンカー封鎖の4-4-1-1でビルドアップユニットに困難なパスを出させるプレッシングを仕掛けたい。

と言った双方の駆け引きから始まり、均衡するとトランジションでの攻防へと展開する。見木と森田晃樹のセンターハーフコンビが中央の連携でプレス回避をして速攻に転じたのが印象に残った。トーマス・デンの（トランジションからの）ビルドアップの加わり方、小島亨介のキックのフィーリングはやはりいまいちか？いやそこまで悪くない印象だが、山田楓喜のスーパーなフリーキックゴールを許すことに繋がってしまうのだからやるせない。

通常であれば例え志向性がボール保持であろうが非保持であろうが、試合の主導権はスコアを動かした側にある。しかし試合の流れは新潟にあった。ヴェルディがボール非保持で守備的プレッシングを継続していることが原因と思われる。新潟のボール前進はブロックの外側で行われるものではない。中央と同サイドをアップ・バック・スルーでこじ開け、そこにサイドチェンジも裏抜けも混ぜるスタイルだ。ヴェルディは否が応でも後退を強いられ、新潟の攻撃を凌いでもゲーゲンプレスを喰らいボールを前に運べずに我慢の時間帯を迎える。

得点のラッキーパンチ感が拭いきれないヴェルディ。ただボール非保持だけが強みな訳ではなく、保持でも輝くものは持っている。2センバ1アンカー、ゴールキーパーも参加可能なビルドアップユニットと上下動で相手を攪乱するその他の中盤とサイドバック。全員の保持スキルの水準は高いし、何よりその先にいる木村と染野唯月のゴリ押し感は脅威的だ。21分のビッグチャンスで再び勢いづく。出来るのにそれまでなぜ死んでいたのか？と思わせるヴェルディの試合運びが面白かった。

それでも新潟が再び主導権を手繰り寄せた。その差は結局のところ強度か。ファーストディフェンスでは奪取の気迫がこもる超攻撃的プレッシングでヴェルディに困難なボールを出させ、空中戦とセカンドボール回収の優勢含めボールを保持。で、やっぱりアップ・バック・スルー系のコンビネーションがべらぼうに上手い。6バック化で対応するヴェルディは疲弊したのか守備陣がクロス処理を誤り、それで与えたコーナーキックから32分に新潟が同点に追いついた。その後は新潟が裏狙いのアタックを増やし、ヴェルディは自陣からの速攻や相手陣でのマンツー気味のプレスで応戦する構図だった。

後半に入る。ヴェルディは宮原和也、翁長聖を投入。聞いてはいたが翁長は左サイドハーフだった。後半の試合運びはヴェルディの中盤以下にボール保持でのミスが散見していたが、互いの時間帯がある展開だったと思う。ただフィニッシュまでが遠い時間が続き、次第にリソース勝負の様相を呈してきた。

67分に新潟が動き、太田、長谷川元希、長倉幹樹を起用した。交代直後の新潟はヴェルディの強度に慌てることとなる。たたみ掛ける翁長のロングスローと二次攻撃…となるはずが、谷口栄斗がビルドアップでパスミス。記憶の中では難しい体勢でのシュート精度がえげつない長倉により新潟が逆転した。

新潟はスコアを動かすことで主導権を握った。ヴェルディの超攻撃的プレッシングを掻い潜り相手陣内で試合を運ぶ。ただしアウトオブプレーからの再開になると新潟のファーストディフェンスがヴェルディの4-2＋ゴールキーパーのビルドアップを妨害できずボール前進を許したため、結果的にはオープンバトルとなった。

真っ向勝負な新潟の終盤の試合運びは潔いが、我が軍視点でテンポダウンのなさに疑問は残った。いやほぼほぼ上手く運んでいたとは思う。なので何とかできるのかは分からない。90分、スローインから2-3-5となるヴェルディが新潟の4-4-2ブロックの外側からのクロス攻撃で同点に追いつく。ゴールを生んだのはJ2にいちゃダメだったサイドバック宮原和也の高精度クロスであり、遂に個人昇格した見木友哉の足でのフリックであり、そしてなぜそこにいる翁長聖のJ2屈指のトリオだったことに燃えて試合はドローで決着する。

所感

評判通りの面白さでした。ただ両チームへの嫉妬で☆4とさせてください。

試合結果

明治安田Ｊ１リーグ　第4節
2024年3月16日（土）16:03KO　味の素スタジアム
東京ヴェルディ 2-2 清水エスパルス
8'山田　楓喜
32'谷口　海斗
69'長倉　幹樹
90'翁長　聖

晴 / 16.3℃ / 30%
主審 上村　篤史　副審 淺田　武士、武田　光晴
第4の審判員 熊谷　幸剛
VAR 谷本　涼　AVAR 野村　修