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カカオの皮(カカオハスク)のお話

カカオ→チョコレート

チョコレートはカカオが原料となっていることは多くの皆さんがご存知かと思いますが、カカオからどのような加工を経てチョコレートになるのかはあまり知られていません。
今回はちょっとその一部について触れたいと思います。

カカオは「カカオの木」になる果実「カカオポッド」の種「カカオ豆」が原料です。様々な品種があり、形状や色合いなども異なり、当然風味も違っています。
下の写真はカカオポッドです。

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チョコレート原料用の「カカオ豆」は「カカオポッド」の収穫後に「カカオパルプ(果肉)」と一緒に取り出され、必ず発酵処理をします。
発酵と言っても麹菌や納豆菌などのように種菌を添加はしません。
この発酵処理によってチョコレートの風味となる香味前駆体が生成されます。
発酵していないカカオ豆で作ったチョコレートからは素晴らしいチョコレートの風味は生じません。

発酵には数日間を要しますが、その諸条件によって味わいは大きく異なります。
そのためカカオ生産者グループでは温度・撹拌などを厳密に管理し、常に最適な発酵となるよう努めています。
実際には天候や気温などの要因で左右されてしまうためばらつきが生じることが一般的で、収穫時期やロットによって多少異なるのは我々作り手としては常識となっています。
この辺りの話も奥が深く話が尽きることがありませんので今回は割愛しますが、その後は一般的に以下のような工程があります。

乾燥(その多くは天日干し)

ロースト(焙煎・焙焼)

ウィノーイング(皮[ハスクまたはシェル]と胚芽[ジャーム]、胚乳[ニブ]に分離)

微細化&混合(ニブと砂糖などチョコレートの原料を配合し滑らかにする)

コンチング(風味などを整える)

成形(テンパリング後にモールドなどで形作る)

カカオハスク(シェル)とは

ようやく本題のカカオの皮(以下略:ハスク)についてです。
トップ画像がそれにあたります。
ハスクはウィノーイングによって分離される部分で、チョコレート原料では未使用部分となっています。
ハスクは繊維質で固く、食べることは行われていません。
カカオティーなるものでお湯で抽出して香りを楽しむ方法も提案されていますが、味がほとんどなくポリフェノール由来の渋みが強いため、個人的には好みません。
一般的には乾燥状態で油脂を含むため燃料として使用されたり、堆肥化や再生紙として活用される例もありますが、その多くは廃棄されています。

カカオ豆の重量を10とした場合、厳密には産地や大きさによってばらつきはありますが、ニブ7ハスク3くらいのボリュームがあります。
カカオ豆100kgを処理すると凡そ30kgものハスク等その他未利用部分が発生しています。

Concheで生じるのハスクの行方

当店ではハスクを廃棄物として処分したことは一度もありません。
現在は全て創業時よりお付き合いのある茶農家さんに有機堆肥として引き取っていただいています。
可能な限り無駄を作りたくない、ゴミを増やしたくない、という考えに理解いただき協力してくれました。
農学部出身の園主が成分分析した結果、炭素窒素に脂質など優れた飼料だと評価してもらい継続的に活用してくれています。
堆肥と混合することで臭いを抑制してくれる効果もあります。
ハスクを直接圃場に入れた時は良い香りが漂っているそうです笑

静岡市中山間地にある玉川には安倍川支流が流れる山あいの土地で昔から良質な茶が生産されています。
園主の佐藤さんは江戸時代前期の元禄から続く茶農家の7代目です。
煎茶だけでなく紅茶やほうじ茶、品種茶など新しい挑戦にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。

今後のハスクの行方…

いまは堆肥化で無駄にはなっていないハスクですが、今後もチョコレートを作り続けていくなかで量はどんどん増えていきます。
現状の量は佐藤さんの広い山の圃場に全て引き取っていただけていますが、量によってはどうなっていくか分かりません。
ハスクには脱臭効果や虫歯菌の抑制効果がある、という話もあり個人的にも他の活用法がないかと色々と考えを巡らせています。

燻製用チップに、という案もある方から教えていただきましたので少し研究してみみようかと思っています。
これを読んだ方で、こうしてみたい!というアイデアがありましたら是非ご相談ください。





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