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夕立(詩書いてみた)

赤くて、黄色くて、緑色で、青色、
私の水晶体しか捉えることのできない色
絵の具でキャンバスに描きたくてもうまく出せない色、
それぞれの空気のつぶが、その時受け取った光を表現している

そこへやってきた分厚い綿布団
反対からは夜の風
大きなものは、小さな物を飲み込み、電気光線でやっつける
赤色も、黄色も、緑色も、青色も、負けてはいられない。
激しく闘うみんなのことを、安全な場所から見ることはできない。
線は横に縦に、そして私たちのところに。
聴衆には安全な方法で、空気と光と温度は殺し合う。
あんなにたくさんの色が戦ったのに、
降り注ぐ大量の血は透明でやさしい。
体に触れる、その血の温度だけが、私たちにそっくりだった。

田中そう子

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