神戸の中華(五目焼きそば)
48歳、絵に描いたようなアラフィフ世代だ。毎日のジム通いで、腹が出るのは何とか防げているが、食生活はどうだ。肉中心ではないが、昼は特に欲望に走りがちで、お世辞にも栄養バランスが取れているとは言えない毎日。
そんな罪悪感を薄めてくれて、野菜を美味しく食べられる広東料理店の五目焼きそば。たくさんの野菜に海鮮と肉、食事の嗜好が量より品数になってきたアラフィフにもってこいのメニュー。
1,000円以内で、神戸ならどの店で食べてもたいてい美味いし、頻繁に食べても飽きない。具材どっさりのあんかけ焼きそばに、焼豚と目玉焼きが乗ったものが一般的だ。
まずは春日野道の民生。梅田のヒルトンにも出店している民生の支店。
円卓に座り、中国茶を飲みながら五目焼きそばを待つ。ランチタイムを外すと比較的年齢層は高め、ご近所の老夫婦達がビール片手にと名物イカ天ぷらやブロッコリーのカニあんかけを楽しんでいる。あっさりした上品な味付けは高齢者や女性にも大好評で、やっぱり神戸の中華は広東を中心に回っている。
来た、野菜の緑に焼き豚の赤、頂上に鎮座する目玉焼きの鮮やかな黄色、ジャケ買いならぬジャケ食いだ。箸を差し込むと猛然と立ち上がる湯気。具はキャベツと青菜、もやしにキクラゲ、海老にイカと豚肉。目玉や焼豚までいれると九目。
麺が独特だ。もさっとしたような、パリッとしたような、あんかけが絡みやすくて、ゆっくり食べてもなぜか伸びない麺。いつもながらに美味い。本当に美味い。ひとつひとつ具を確かめながら、途中でカラシを皿の端に塗って、酢を三周半。人目が無ければ、皿に残った汁を飲み干したい衝動をなんとか抑えた。
次はシチュー焼きそばが有名な県庁前の良友酒家
焼きそばといえばここは絶対に外せない。今日のランチは一番当たりの、酢豚と八宝菜が両方付くパターン、周りのお客はほとんどランチ。初志貫徹、心を鬼にしてメニューも見ずに「五目焼きそば」と発する。
ここはベースが白菜だ。青菜に人参とキクラゲ、シメジにモヤシ、海鮮は飾り切りしたとエビとイカ、分厚い焼き豚が二枚と、トレードの目玉焼きが頂上に乗る。いつもアツアツの内に大量に酢を掛ける。
ここも麺がすごい。ゆでた後、パリッと焼いてあって、もさもさして、やっぱりなぜか伸びない。ボリュームもすごい。大量の具材の下から、食べても食べても麺が出てくる。普通の成人男性なら、単品で確実に満腹になるだろう。
五目焼きそばは、いつも日常にちょっとした彩りをくれる。本格広東料理店でも美味いし、真っ赤なテーブルの町中華でいただくベタなヤツも美味い。山ほどの野菜と海鮮が、たまにはいいものを食べろよ、と言ってくれている気がする。僕はまた、思い出してはあの店の五目に会いに行く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?