boh_t_59
「梅雨より先に夏が来たみたいよネエ」
「大丈夫かな?」
って帰りの電車にいたマダムが連れのマダムに言ってた。
心配してた。
「ホントよネエ」
って連れのマダムは同意してた。
自分の立場を超えた心配を世間話の中で見せてた。
面白い。
思わず周囲を見渡してしまった。
梅雨より先に夏がきても人間には何もできないと思う。
けれどこのマダムはそれを心配していた。
マダムは一体どの立場で心配したのだろう。
や、むしろどの立場だったらこの心配はありえるんだろう。
ダムの人ならわかる。
貯水量大丈夫かなって心配するのだ。
でもマダムは百貨店の紙袋を膝に置く小綺麗マダム。
ダム間違いだ。却下。
色々考えたがいっそおてんと様の家政婦やろかって思う。
温暖化止まんねっけ梅雨なくしてみんべ。んだんだ。
みたいなおてんと様の会話でも聞いたのならありうる心配だ。
おてんと様の家政婦はマダム。家政婦はダム。ありうる。ありうるのか?
立場の超え方も超えようによってはおかしなことになる。 実害なければ気にしなくていいけれど時々面白いので目ざとくはありたい。
あのマダムの心配は夜をたぶん超えない。
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