7月号-2|初稿を書き上げるまでに感じたこと
メンバーシップ「青紗の本づくり」は、個人で本を作る制作過程の共有、創作活動を広げていくための私の考えなどをお届けします。
7月号では下記テーマの記事がご覧いただけます。
今月は3本記事が公開予定です。先行で本の内容も一部お見せします。
7月号-2では「初稿を書き上げるまでに感じたこと」をお届けします。
◆初稿完成まで、約4ヶ月
今年の3月から本用の原稿執筆に着手してきました。過去に書いた文章も一部入れつつ、ほとんどが書き下ろしです。毎月少しずつ書き進めていて、ようやく先月に初稿が完成しました!
初稿が完成するまでに、私の中ではさまざまな気持ちが芽生えていました。不安、迷い、凹みなど、楽しくありつつも難しいなあと感じる日々。最終的な完成までにはまだ時間はかかりますが、今日は、初稿を書き上げるまでの月ごとの振り返り、私が感じたこと、これから文章を書くときに意識したいことを紹介します。
◆3月〜4月
3月〜4月は原稿を書きつつ、本作りの勉強にとZINEを取り扱っている書店巡りやイベントに参加していました。創作と情報収集を進めていて、「楽しい」気持ちが強かったです。
日記を振り返ってみても、あまり悩まず、決めたテーマの作品を作ることに没頭していたように思います。
◆5月
5月は連休に創作合宿を行い、原稿執筆を一気に進めたり、文学フリマへ行き、本作りのモチベーションを高めたりした1ヶ月でした。
さて、進行していく中で、5月からじわじわと迷いや葛藤、落ち込みが生まれ始めます(笑)ここから一気に月の振り返りが長くなりますよ。ふふふ
5月では大きく3つのことを感じていました。
一つ目は「優しく書こうとしている自分がいる」ということ。書いている途中に「もう少し優しく、ふんわりとした雰囲気で書いてもいいのではないか」と思ったんですよね。自分を出すことに制限を設けるというか。少しずつ形になってくるからこそ、“いい子ちゃん”でいようとしている私が見えてきて、どうしようかなあと迷う日がありました。
でも「いや違うよね」とすぐに払拭ができたのはよかったです。個人で作る本だからこそ、本当に私が書きたいものを書くと最初に決めていたではないかと。「多少ネガティブな感情が出てきても、心の中で考えていることを正直に出そう」と思えました。
もちろん誰かを傷つける自己満足のような文章を書きたいわけではありません。個人で作るからこそ、自分で制限を設けてはいけないなと感じたんです。
本当に作りたいものを作らねば、個人で作る意味とは一体。いい子ちゃんって、誰に対して?と、勝手に姿形が見えない他者を介入させていました。自分を出すことを恥ずかしがらない。「己に集中!」と、5月は目線を足下に戻す機会が多かったです。
二つ目に感じていたのが「とりあえず一行書く」です。
書けるか不安になり、執筆の腰が重くなった日もありました。でもいざ一行書き始めると、どんどん書けてあっという間に1本完成したことも。
「書けるかな」と思うのはいいですが、書いてみないと現在地は分からないので、まずは一行だけ書く姿勢が本当に大切だなと痛感しました……。恐れずに書くスタンスを学んだ月でしたね。
三つ目に感じていたのが「決定する恐怖」です。
5月に現時点での目次を公開しました。目次を考えるのがとても楽しく、早く見てほしい気持ちでいっぱいだったんですが、いざ公開したら「もうちょっとここを変えたほうがいいかも」「これでいいかな」と不安が押し寄せてきたんです。
noteだといざとなれば公開後に修正ができます。しかし紙の場合はやり直しができないからこそ、「これでいく!」と決めるのが急に怖くなったんです。一晩寝たら「やっぱりこの順番かな」と意見が変わりそうになり、「これでいきます」と手放す勇気が持てていない自分に気がつきましたね。完璧などないのだから、自分の好きなようにやればいいのにね。
この時点ではまだ目次だけですが、ここから6月にかけて「決める」ことが怖くなってきます。
◆6月
今思えば、6月は不安が常につきまとっていました(笑)
初稿のゴールが少しずつ見えてきたことも影響し、読んでも読んでも「この内容で本当にいいの?」と自問自答する日々。5月に感じた「決めなくちゃいけない」のタイムリミットが近づいてきたのも原因です。
本当にいいの?→うん!→やっぱりもう一回読むね→これでいこう!→でも……みたいなループ。挙句の果てに、そもそものテーマにも疑問を持ち始めたり、活躍している方の文章を読んで凹んだり。自分の文章の不安MAX期でございました(笑)
でも誰かに「この内容でいいね」「大丈夫だよ」と言ってもらえないと作れないのか?と聞かれたら、違う。言われなくても勝手に書いているし、作りたくなっていると思います。
単純にもっともっと上手くなりたいだけなんですよね。上手くなりたいから不安が出てきてしまうのかなと。でもこればっかりは短期間で成長はできないので、不安を抱えることもあるけれど、今は目の前のことを全力で「やり切った」と思うくらいに向き合って執筆しようと思いました。毎回全力でやりきれていれば、不安や後悔は減るのかもしれません。そんなことを考えていた月でしたね〜。
他にも、もともと決めていた内容から一部変更にもなりました。すでに書き上げていて、お気に入りのエピソードだったからこそ、今回の本に収録できなかった自分に対して落ち込んでしまうときもありました。
ただ6月はコンテストに一つ応募ができた月でもありました。コンテスト用の原稿を作る時間は楽しくて、心に良い効果があったんです。書いている時間は自分に没頭していて、他のことは何も考えられなくて。終わった後は充実し、凹みが少し減ったように思います。不安になるかもしれないけれど、書く作業は楽しいので、恐れずにやっていきたいと思えるようになりました。
こんなふうに、恐ろしくなったり、悩んだり、迷ったり、凹んだりしながらようやく初稿が完成……!
現在推敲作業をしている段階ですが、ひとまず大きく一区切りができました。全体図が見えてきて本当に良かったです。
いざ本になるくらいの量の文章を書いてみて、「すでに本作りをしている方々はこの作業を一人で乗り越えているのか……」と思いました。一度でも紙の本を作っている皆さん、大尊敬。私が不安になりすぎなのかもしれませんが、書く作業は私という一人の価値観で書いているものだからこそ、不安になってしまうんですよね。
ただ、道中は不安でも、私が書きたいものをギュッと詰め込んだお話たちなので、まとまったときはすごく嬉しかったです!早く皆さんにご紹介したいなあと思っています。完成をお楽しみに。
悩み、迷ったからこそ、今後の執筆活動に活かせる気づきもたくさんありました。そこで、ここからはメンバーシップ限定で、私がこれから文章を書くときに意識したいことを紹介します。
最後まで読んでいただきありがとうございます!短編小説、エッセイを主に書いています。また遊びにきてください♪