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愚の骨頂

先日あったシェアハウス内での会話。
「愚の骨頂ってどんな字だっけ?」
「偶数のつくりの下に心」
「骨頂は?」
「骨に頂(いただき)」
「でもさ、愚の骨頂なんて普段の会話で使わないね」
「確かに」

いや、使いますけど。

じゃあ、愚の骨頂みたいなシーンを表現するとき、なんて言うん?
すげーバカ?
いやいやいやいや、似てるけどちょっと違う。
愚かとバカは同じじゃない。すげーと骨頂は、同じなのか…?

愚の骨頂
自明の理
四面楚歌
のれんに腕押し
豚に真珠
逆鱗に触れる
傍若無人
青天の霹靂、、

普通に使うけど。

私の暮らすシェアハウスは法政大学中退の私よりも学歴上位の人たちが多い。
上記の会話は東大・大阪市大・同志社出身によるもの。
少なくとも私より学歴上位ということは、私より勉強した人、成績上位者ということ。
なのに使わない。

本を読まない人たちでもない。
たくさんの蔵書を持つ人たちであり、文章を書くなど、言葉を使って仕事をしている。
漢字の説明はできるから、その言葉を知らないわけじゃない。
なのに使わない。

私は四文字熟語、慣用句、故事成句・成語が好きだ。
とても便利だと思う。
場面やその場の私の気持ちまで、その一言で言い表せるから。
つまりは、言い得て妙。

逆に、ぴたりと当てはまったときにしか使えない。使わない。

懐疑的
自虐的
静寂(せいじゃく、しじま)
茜色
突き抜けるような青空
快活
甘い嘘、、

これらだって、ぴたりと当てはまったときにしか使わないでしょ? だったら愚の骨頂も、、
いや、待て。
もしかして、これらも使わないのか?

英語、フランス語、韓国語。
勉強したどの言語も好き。
でも日本語ほどの語彙力がないので、ぴたりと当てはまる表現ができない。事象や気持ちをそのまま伝えたり、説明できたりはするけれど。
伝えきれないもどかしさが残る。

せっかく知っているなら使おうよ。
ほうれん草の白和えがおいしいことを知っている。
作り方も知っている。
材料は手元にある。
昨日はごま和え、おとといはお浸し、その前はソテー。
同じものはもういい。
だったら、今夜は白和えを作ろうよ。

うわー、言い得てない。上手にまとめたつもりで、実はピントが外れてぼやけてる。
自分は言葉を知ってるふりして、いい大学出てるくせにみたいなこと書いておいて。
これぞ愚の骨頂じゃないか。

……。

くっ、恥ずかしい。ちっとも言い得てない。
言葉とは事程左様に難しい。
もしかしたら、みんなは私よりも言葉に精密だから使ってないのかも。上手に使えてる幻想を私は見てるのかも。

ああ、竜頭蛇尾。頭でっかち尻つぼみな結末である。


ネコ4匹のQOL向上に使用しますので、よろしくお願いしまーす