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春がうちにやって来た

 三寒四温と言っていたのが、いつのまにか完全に春となった。山をふたつ越えた先にあるバイト先では、まだもう一度雪が積もるという。はて、タイヤ交換、どうしようかしらん。
 体感として春と断定できる出来事がいくつかある。

・ ネコが一緒に寝なくなる
・ 寝てる間に靴下を脱いでる
・ 生ゴミをゴミ箱に捨てなくなる

 この冬、ずっと一緒だった一匹が死んだ。中途半端な長さのしっぽからコラと名付けた。colaとはスペイン語でしっぽのこと。
 コラは私のことが大好きで、出かけるときは玄関で見送り、帰ると玄関で出迎える。2階へ行くとついてきて、トイレに入ると前で待っている。いすに座ると足元へきてひざに乗ると主張し、立つために降ろそうとすると爪を立てて降りたくないと主張する。だから当然、寝るときも一緒。
 コラを含め4匹飼っていたのだが、あと2匹もときどき布団に入ってくる。コラが死んだ夜も一緒にいた。まだ1月初旬で寒かったから。
 今は私ひとりで寝ている。コラが生きていたら、もう2か月くらいは一緒に寝たんだけどな。
 だから今年は春が早くやって来たように感じる。

 私が暮らす北陸は、一応雪国だ。冬の夜は、とても寒いときでマイナス3℃くらい、大体は1〜3℃くらい。
 昔も今も吐く息が白いくらい、家の中は寒い。外気温との差が大きいと体調を崩すので、あまり暖房を効かせないようにしている。とはいうものの、寒いと眠れない。
 腰から上はネコの体温で暖かいが、足先は冷える。おととし、とうとうアンカを買った。1月2月の厳冬期だけ使っている。
 夜の気温が5℃を上回るようになると、アンカを出して靴下をはいて眠る。それが10℃くらいになると靴下も暑くなるらしく、寝ている間に脱いでいる。
 それでも、はだしで廊下を歩くにはまだ早い。起き抜けにトイレへ行こうと、布団の中を足でかき回し、靴下を探す。
 はだしのまま廊下へ向かうようになると、夏が近いと感じる。

 早起きができないので、ゴミが捨てられない。なんせこの辺は7時半までに出さなくてはならない。無理。
 ゴミは週に一度、クリーンセンターへ持ち込む。大体45リットルのゴミ袋ひとつ分。60円から90円支払い、ガソリン代もかかる。それでも早起きするよりマシだ。
 週に一度なので、生ゴミが臭う。が、うちは暖房が効いていないから、冬は台所も冷蔵庫並みに冷えている。温度が低いと腐敗が進みにくいからであろう、ゴミ箱の開け閉めのときにも臭いはそれほど気にならない。
 一応自炊をするので、たとえばイワシの頭とか、鶏肉の脂肪とか、野菜くずとかが出る。夜ごはんの洗い物が済むと、生ゴミを小さな袋に入れて口をしばる。
 その生ゴミをそのままゴミ箱へ捨てるか、冷凍庫へ入れるか。
 先週、冷凍庫を整理し、余白をつくった。今日はクリーンセンターへゴミ捨てに行ったのだが、あやうく生ゴミを忘れるところだった。あと8か月は、ゴミ捨て前に冷凍庫チェックを忘れずに。

 今日は春を超えて初夏の陽気だった。道路にある気温計は、18℃19℃。道沿いの桜が、気のせいかピンクがかっていた。月末か4月初めには咲くだろう。
 コラがいない春。コラがいない夏。コラがいない秋。
 コラがうちに来て16年。コラがいない初めての春夏秋冬が始まった。



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