私は私が好き

生きづらさの原因は、そのままの自分を好きになってくれる人がいないから（自分を含む）

　Twitterで見た投稿を要約したもの。

　この場合の「好きになってくれる」というのは、恋愛という場面を想定しているのだろうか。

　「恋人が欲しい」「愛してくれる人がいて幸せ」という言葉を見かける。みんな、そんなに誰かに好かれたい、愛されたいと思っているの？
　私は、恋愛感情とは縁がないからか、誰かに愛されたいという気持ちがない。親密な誰かも必要としてない（もしくは必要としていることに気づいてない）。

　親に愛されたことがないと、とよく言うが、愛されていたのかどうかもわからない。
　たぶん、そもそも「愛」というものがどういうものか、まったくわかってない。ネコたちのことは好きだし、死んだら悲しい。それって「愛」？っていうくらい、「愛」は私にとって理解できないもの。
　たぶん、母親に大切にされた記憶はあるから、きっとあれは「愛」だったんじゃないかな。
　子どもの頃に愛された記憶がないから、大人になって愛されることを渇望するのだとしたら、私はとても愛されていたのかもしれない。愛されたいと思ってないから。

　もし「好きになってくれる」が友情を含む好意だとしたら。

　それでも私には理解できない。
　そもそも、好きだから友だちになるのでは？　好きじゃないけど、世間体やお付き合いの関係で友だちになる、なんてこともあるのか？
　あれか。好きじゃなくても、たとえばひとりじゃさびしいからとりあえず友だち、とか、よそゆきの顔で当たり障りのないことを話す友だち、とか。

　私には、今は友だちと呼べる人はいない。友だちを自分の中で定義づけることが難しく、どういう基準で友だちとしていいのかわからないのだ。
　仲よくしてくれて、ふたりきりで出かけたり、なんてことない話をしたり、互いの見解の相違で言い争ったり、そういう人は何人かいる。ありがたいことに。（自分だったら、自分とふたりきりでいるのは苦痛だ）
　まずもってひとりでいることをさびしいと思わないから、友だちと呼べる人がいなくてもなんてことない。よそゆきの顔で当たり障りのないことを話す人もいるけど、それは知ってる人ってだけ。そんな人は、別にいてもいなくても生きる上で支障はない。

　誰かに好かれたい、愛されたいと思わないのだから、結局、冒頭の言葉は私には謎だ。

　そしてもうひとつ、そもそも「そのままの私」って、「そのままの私」って言ってる時点で「そのままの私」ではない。と私は思う。
　意識して「そのままの私」を思い浮かべるとき、自分というバイアスがかかって「そのまま」ではなくなる。そして、対する人それぞれが、それぞれのバイアスで「あなた」を見る。
　つまり、「私」や「あなた」を意識したとき、それはもう「そのままの私」ではなく、「私から見た私」「私から見たあなた」になってしまう。

　「そのままの私」は、「私」を無意識に見ているときのものだと思う。
　自分のことを考えずに日常生活を送っているときの「私」を、後から振り返って一部を切り取り、言葉で表現する。それはもう「そのまま」とは言えないでしょ？
　人が「私」をどう切り取っているのか、その切り取り方や切り取るとき、あるいは切り取ったものに対する意味づけは、あなたと一緒とは限らない。
　つまりはどちらもバイアスのかかった、「そのままではない私」。

　自分で思う「そのままの私」が好きじゃない。自分自身が好きじゃないから、誰も好きになってくれるはずがない。誰にも好かれない「そのままの私」が好きじゃない。
　そんな好きじゃない三段論法で生きづらさを感じているのだろう。

　でもここまで読んだ人なら気づいてるはず。
　そもそも「そのままの私」は存在しない。だから「そのままの私」を好きになってくれる人はいなくて当然。
　その人のバイアスがかかった「私」を好きになる人はいないとは限らない。もし自分が好きな人を友だちとしているのであれば、あなたのことを友だちと呼ぶ人はあなたのことが好き。
　恋愛については、私は語れないけれど、一言だけ。
　今、好きと言ってくれる人がいないとして、この先誰からも好きと言われないとは限らない。

　ちなみに、私は誰かに好きと言われたいとは思わない。
　だって、私は私が好き。
　愚かで、怠惰で、お先真っ暗で、ペシミストのくせにオプティミスティックな行動をする、根性なしな私のことを「ばかだなー」と思いつつも「人間って結局矛盾をはらんでるもんねー」と受け入れている。期待しては裏切られ、もう期待はしないと決意してはまた期待して苦しい思いをする私が好き。
　別に誰に好きと言われなくても、私が好きなんだからそれで満足。

　そっか、誰かに好かれなくても自分を好きになりたい、ってことだったのかな？
　今さら気づく、鈍い私のことも好き。