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歪んだ性愛 ❸

息苦しさ

30分ほどすると玄関が開く音がした。
妻が帰宅したのだ。
リビングに居るようだ。

そろそろ始めるか。

私は彼にメールを送った。

私 「妻を犯してください。」
彼 「かしこまりました。」

淡々としたやり取りだ。
こんなやり取りで自分の愛する妻を見知らぬ男に手籠にするのだ。
彼からのメールの返信の文字を見て、私は自分の愚かさに気がついた。
いや、気がついているのだ。
それよりも欲しいものがある。
自分の欲求を満たしたい欲がある。
愛する妻を差し出すことで得られる性的欲求。
いつでも誰でも手にすることはできない。
今がその時なのだ。逃すことはできない。
鼓動がどんどん早くなっているのを感じる。
狭いクローゼットの中で脈打つ鼓動が響いているようだ。

息苦しい。

クローゼットが狭いからなのか、それとも…

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