プロモーション連鎖

大手の広告 

先日、創業の頃からの誼になる大手広告代理店の旧クライアントが来訪され、3時間ほど四方山話に花を咲かせた。

その中の一つに「広告代理店は不況に弱い業界。広告費・交通費・交際費の3Kから真っ先に削られる」という話が出た。

これぞ、大手企業が余力で広告を出している実態に他ならない。

予算がある時は、広告を出す。予算が無くなれば、広告を出さない。

ということは、削っても本業に差し障りの無い広告が、如何に多いか?ということである。
的外れで、首を傾げたくなる広告が氾濫しているのも、この為ゆえ。


組織が大きくなれば仕方の無いことかも知れないが、広告の限界がここにある。巨大メディアは、巨大企業の余力で成り立っているといっていい。

だから、中小零細企業は、大企業のプロモーションを真似てはならない。物量戦で勝てるわけが無いのである。

それでも、日テレ等のキー局に中小零細企業が広告を依頼するとしたら、入念に作戦を立てたほうが良い。大企業のマネをしたら、まず痛い目に合う。

抽象的な表現ではピンと来ないかも知れないので、目安として、数字を挙げるとすれば、キー局のTVCMを流すのに必要な広告費は、最低でも5,000万円は下らないと思って差し支えない。

地方局ならイザ知らず、自作のCFを、500万円で30秒間、一回だけ放映するなど不可能に近いし、意味無.し。

経費か空費か

大企業にとっては余力かも知れないが、中小零細企業にとって広告は、生命線といっていい。なぜなら、広告が無ければ、知らしめることが出来ないからである。

しかも、広告は、基本的に効果がない。というか、効果を出せるほどの予算を持っていないのが中小零細企業。

広告を出さずに知らしめる方法があれば良いのだが、ほとんどの中小、とくに零細企業は、広告を出す以外に知らしめる方法が無い。

広告を出さずに宣伝するには、

  1. 巨大メディアに取り上げられるニュースバリューを創る

  2. 画期的な新製品か販売方法を創る

  3. 何度もテレビに顔が出る(もちろん、目隠し無しで

  4. 重版する本を何冊も書く(あるいは、作家やタレントになる)

  5. 会社を急成長させて取材を受ける

くらいのものであろう。あとは、国政選挙に出る…か

1~5が難しい状況なら、広告しかない。


広告を勧めると「散財させるつもりか?」と深読みされることもあるが、知られないことには売れないのだから仕方がない。広告は、投資である。

投資(宣伝)せずに、儲け(利益)だけ得ようと目論んで消えていった情報企業家たちを思えば、投資の重要性を理解できよう。

残る道は、0を0にしない、効果を期待できる広告の作り方を学ぶこと。

投資するには、投資する方法を学ぶか、投資の専門家へ任せる他なかろう。

P-4&AIDA

マーケティングの4Pのうちの一つであるPromotion[プロモーション]を直訳すると、推進・促進・助成という意味であることはご存知の通り。

このPromotionは、さらに4つに分解される。

1 広告
Advertising/アドヴァタイジング 略称:AD[アド]

2 広報
Public relations/パブリック・リレーションズ 略称:PR[ピーアール]

3 販促
Sales Promotion/セールス・プロモーション 略称:SP[エスピー]

4 販売
Selling/セリング 

※Sellingは、教科書的にはPS(PersonalSelling)であるが、PSには、SPやPRも含まれるため、わかりやすく「販売」とする。

これらは「4つのプロモーション」と呼ばれる。
「4つのプロモーション」では長いため、P-4と言い換えよう。


気づいているマーケティングのプロはいるだろうか? P-4は、AIDAと連鎖している。

AIDA(アイーダ)原理をおさらいすると、人が品物を買う(お金を払う)過程は、

        まず知ることから始まり=Attention[アテンション]

        商品やサービスに興味を持ち=Interest[インタレスト]

        「欲しい」と思い=Desire[デザイア]

        買う(行動する)=Action[アクション]

以上の4ステップを通過するという購買原理である。明治31年(1898年)、米国で販売員をしていたセント・エルモ・ルイスさんが発見した。

P4=AIDA

では、P-4にAIDA原理を照らし合わせてみよう。

   1 広告=知ることから始まる[Attention[アテンション]

   2 広報=商品やサービスに興味を持つ/Interest[インタレスト]

   3 販促=「欲しい」と思う/Desire[デザイア]

   4 販売=買う(行動する)/Action[アクション]

となる。「広報の解釈が苦しいのでは?」と思われたら、我が意を得たり!

広報は、CPR(企業PR)だけが広報ではない。デンコちゃんの「電気は大切にね」を例示するまでもなく、商品やサービスの理解を促進するのもPRの重要な役目。


それ(MPR)が欠けると、広告-販促-販売になり、売り臭がプンプンと漂うことになる。

お分かりになるだろうか?

P-4とAIDAは共鳴している。マーケティングは連鎖している。まるで、生き物のように。

P4が欠けるとAIDAも欠ける

P-4とAIDAが連鎖し、共鳴しているということは、AIDAが欠けていればP-4も、P-4が欠けていればAIDAも欠けているということである。

わかりやすく、あなたの商品に照らし合わせてみよう。検証してみて頂きたい。

あなたはAIDA原理に則って売っているだろうか?

(冒頭の広告の話と結びつくが)商品を知らしめているだろうか?=広告

興味を持たれるようにしているだろうか?=広報

欲しいと思うようにしているだろうか?=販促

どれかが欠けていれば、購入=販売には結びつかない。

とくに広報と販促が軽視されがち。実際、巷の営業マンから売り込まれてみると分るが、商品を知らせる(広告)機能と、販売機能しかない。

理由は分っている。「広報やって儲かるんかい」「販促なんて小手先の小技だ」と思われているからである。


P-4とAIDAが連鎖していることを理解すれば、それは大~~~~~間違いであることがお分かり頂けると思う。広報と販促は、購買へ至る重要ステップなのだ。

余談だが、販促が小手先の小技だと勘違いされるのは、戦術を戦法化できないからである。

サンプリングやトライアルという戦術は知っている。しかし、それをどう戦法化すれば、戦場で戦う=戦闘することが出来るか、プランニングできない会社が多い。

だから、当社のようなマーケティング会社へ、マーケティングに精通した広告代理店から企画の依頼があるわけだが、販促案は営業を支援する必殺技になると同時に、欲しいと思わせるDesire[デザイア]を呼び起こす重要な段階であるため、是非とも販促の具体的展開案を考え出すようお勧めしたい。

広報の誤解については前述の通り。

広告は自己責任

P4=AIDAと分っていても、やはり、広告を出すのは怖い。なぜなら、P-4の中で最もカネがかかるからである。

しかも、失敗したら、一瞬のうちに数十万円~数百万円が消え失せる。

だから、やらない=AIDAにもP-4にも則らないという選択肢もある。それを選ぶのも自由だし、それで売れなくても自己責任である。

もちろん、広告を出して成功するのも、失敗するのも、あなたの自由。

ただし、広告はギャンブルではないため、小さく、できるだけリスクの少ない範疇からテストするようお薦めしたい。


広告代理店は、企画費が出ない規模の広告に、知恵を出してくれない。つまり自分で学ぶしかない。

あなたが税金対策に広告を使える立場であれば何もいうことはない。が、もし、なけなしのカネを使って広告を出さざるを得ないなら、広告の出し方について学ぶようお薦めしたい。それがリスクを避ける唯一の方法である。

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