企業間取引の新規客を増やす営業戦略/余話編

【余話(1)営業戦略は心理戦】

新規客の開拓と、既存客の維持が、異なる営業活動であることは、初歩の初歩といってよく、

こうした(営業関連の)サイトに載っていない、最大の違いは、

・新規…相手は身構えている。ボクシングでいうところの、ファインティングポーズ状態

・既存…相手は胸襟を開いている。ボクシングでいうところの、ノーガード

であること。心理戦です。

構えを解き、胸襟を開いてもらうためには?

相手にとって、見知らぬ他人である自分を わ か っ て もらうこと。

AIDA(あいーだ)=プロモーション四段階 ※ の、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

です。心理戦につき、心理フローのAIDA(あいーだ)が必要不可欠になります。

     ※AIDA(あいーだ)=プロモーションの一致

     第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利
     ↓
     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義
     ↓
     第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利
     ↓
     第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利

【余話(2)我利我利亡者は嫌われる】

“AIDA(あいーだ)の法則”は、わかる(知っている)

“マーケティングの4P's”も、わかる(知っている)

双方ともに、マーケティング(や購買心理)の基本中の基本といっていい公理であることも、わかる(知っている)

わかっている(知っている)のに、なぜ、営業活動から、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

が省かれやすいか?というと、利(もうけ)以外は営業の仕事にあらずというバイアスがかかっているからです。


わかりやすくいうと、

「ハガキを送って、ナンボ儲かるんじゃ」

ということです。そうして、新規の営業活動から、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

が省かれると、

     第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利
     ↓
     第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利
     ↓
     第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利

の三段階になりますね?我が「利」のみ追求する営業活動です。


我利のみ求める者を、ガリガリ亡者といいます。我利我利亡者は嫌われます。

なので、売り込むばかりの新規の営業マンは、お客さまから嫌われ、まるでハエのように追い払われます。

では、嫌われないためには?

“AIDA(あいーだ)の法則”や“マーケティングの4P's”に忠実に則って、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

も営業戦略に含めることです(その具体的な戦術戦法は、バックナンバーにて開陳済)

【余話(3)利のみ追うのが営業の仕事というバイアス】

我利我利亡者は、我が利のみ欲し、たとえ52円といえども、損を嫌います。

@52とはいえ、一万通もあれば、52万円になりますからね。

もっとも、一万通ものDMを差し出す企業は、少ないほうですが。


それで、

「ハガキを送って、ナンボ儲かるんじゃ」

と、自然な流れで、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

が省かれます。利(もうけ)以外は営業マンの仕事にあらずというバイアスがかかっているからです。

損どころか、無料も嫌います。無料には、利(もうけ)が無いからです。

代金と交換するのは、有形の商品で、有形の商品を売ってこそ、利(もうけ)が出ます。

しかし、じつのところ、営業活動は、無形で無償のサービスです。

・約束は守る。指定の時間に届ける。これも、無形で無償のサービスです。

・無料体験。オープンハウス。工場見学。これも、無形で無償のサービスです。

・挨拶する。お礼する。ご機嫌を伺う。これも、無形で無償のサービスです。

差し入れや、接待に至っては、無形で 有 償 のサービスです。損して得とれですね。

是この通り、利のみ追うのが営業の仕事というバイアスは、間違っています。


バイアス(bias:かたより。思い込み)という語感に危険性は感じられませんが、

経営者のバイアスが(経営者とはいえ人間ですので)誤っている時、たとえば、約束を守るように、社員へ示さない危険性があります。

あるいは、利のみ追うのが営業の仕事という誤ったバイアスに基づき上意下達する危険性があります。

すると、お客様との約束は守るという義 ※ を、社員は知りませんから、破る危険性があります。

※義 … 利を捨てて、人の道に従うこと

「おいおい。そんなこと、教えなくたって、誰だって知っているだろう」

って?

それを、認知バイアス(総意誤認効果)といいます。

自分の常識が、年齢も経験も才能も性別も異なる、他人の常識とは限りません。

【余話(4)こちらから先に相手を信じる証のサンクスカード】

BtoCとは異なり、BtoBの取引は、金額が大きく、リピート率が高く、長期間に及びます。

なので、新規客は重要。ご新規様になる可能性がある潜在客も重要です。

にもかかわらず、せっかく名刺交換した縁が切れてしまうのは何故でしょう?

小中学生のころの友達を思い出してみて下さい。

地縁でもない限り、今でも付き合っているのは、皆無に近いのではありませんか?

なぜなら、接触が途絶えたから。年賀状さえ交換しなくなったからです。

たった、それだけで、人と人の縁は切れます。脆いものなんですね、縁って。


だからといって、優良顧客も、潜在客も、すべての顧客へ、均等に接触するとなると、

1)時間と

2)人件費と

3)交通費

のロスが生じますので、顧客を七階層に分類し、

・はがきで済ませるものは、暑中見舞いで済ます。

・営業マンが動くべき事案には、営業マンが動く

と切り分ける作戦が必要です。営業戦略です。

しかも、優秀な人に限って、時間を大切にしますから、無意味なアポイントは、相手の時間を無駄に奪い、嫌われかねません。なので、

     第2段階)分らせる = 広報 = Interest(関心)= 義

という戦略が効果を発揮します。


特に、サンクスカードは効果的。

なぜなら、人は、誰それに会ったからといって、わざわざ御礼しないからです。

なので、

「あなたに会えて良かった」

と御礼した営業マンだけが目立つ仕組み。しかも、

「感謝できる人なんだ」

という好印象が記憶に残ります。

サンクスカードは、お礼するに値する人物であることを初対面で認め、こちら
から先に、相手を信じる証を示すプラスのストローク※です。

※プラスのストローク
http://stroke-c.blogspot.jp/2003/05/blog-post_5.html

以下余談。利で人を動かす天才だった太閤秀吉が得意としていた人心収攬術の

       赤心を推して人の腹中に置く(まごころをもって接する)

とは、こちらから先に相手を信じる義(第二段階)にあることは、間違いないようですよ。

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