営業学[1-1]
顧客に関心のない職種もある
徒手空拳で独立した方々ならば、誰から教わるともなく、お客さんの重要性を知り尽くしているでしょう。
代金を払ってくれるのは、お客さんだからです。
芸術家やデイトレーダーのように特殊な職業を除き、お客さん無くして商売は成り立ちません。
顧客あってのビジネス。
バカバカしいほど当り前すぎるように思えますが、この正論が通じない方々もいます。
あくまで傾向として、ですが、
1)既存客を引き継いだ(就業時から顧客が付いている)方々
や、
2)お客さんと接することのない(コンタクトポイントではない)方々
に顧客の重要性は希薄です(皆無ではありません)
なぜなら、それでも、仕事(給料)が入るからです。
具体的にすると、かどが立ちそうなので伏せておきたいところですが、具体性に欠けると、わかりにくいため、傾向として敢えて挙げますと、
・経理や総務などの事務職
・研究や医療などの専門職
・整備や工事などの現場作業
・営業マンの名刺を持った販売マン
・二代目三代目経営者
・社内政治家
・パート・アルバイト等
・マーケティングを知らない(か誤解している)ビジネスパーソン
の一部です(あくまで一部です。そうでない方々も大勢います)
彼らに顧客の重要性を説いても、ムダとはいいませんが、関心は薄いのが現実です。
アルバイトの三つの価値基準
恥ずかしながら、筆者も学生のアルバイトだった頃、顧客の重要性など感じたことはありませんでした。
20歳前後の学生のアルバイトは、ほとんど(友人達を見回しても)そうだったと思います。
店舗のような籠城戦(待ち受け)の場合は、お客さんのほうから価値を求めて来店しますし、
(今にして思えば、バイト料さえ稼げばいいのですから、お客さんなぞ「客が来たら対応する」程度の、仕事の一部でしかありませんでしたっけ)
新規営業のような攻城戦(外回り)の場合、会社から給料をもらうのであって、
お客さんから頂いた代金は、勤め先(会社や店舗)へ入りますから、自分の収入ではありません。
だから「代金を払ってくれるのは、お客さん」という正論がピンときません。
お客さんが大切なのではなく、アルバイト料(お金)が大切なのでした。
バイト料が目的で働きますから、
・給料が高くて、
・休日が多くて、
・勤務時間が短い(残業するなら100%残業代が出る)
楽~な仕事を好みます。収入と時間と軽易の三つがアルバイトの価値基準です。
お客さんは、会社や店舗の売上のために存在するのであって、自分の懐を潤すためではありませんから、
お客さんよりも、バイト料を払ってくれる会社(店舗)や上司(店長)のほうを向いて仕事していました。
内(社内)向きですね、外(顧客)向きではなく。
もしかしたら、あなたの会社の社員さん達も、内向きで仕事していませんか?
アルバイトの学生のように(全員が全員とはいえませんが)
お客さんは社外にいる
ところが、アルバイトにしても、社員にしても、独立すると、もう、誰も給料を払ってくれませんから、自分で稼ぐしかありません。
稼ぐとは?
お客さんから代金を頂くことです。
お客さんから代金を頂くのですから、自ずと意識は顧客(社外)へ向かいます。
お金を払ってくれるのは、お客さんだからです(といって滅私奉公する必要はありません)
アルバイトにとって価値基準だった収入と時間と軽易は、二の次三の次になり、顧客一点に絞られます。
株主や銀行が第一という経営者もいますが、それは、軌道に乗ってからの話で、
創業時は、顧客、あるいは、顧客の認める価値(商品)を重要視する経営者か、
あとさき考えずに独立する経営者の二種類に分かれるでしょう。
独立せずとも、優秀な営業マンに限って、顧客の重要性を知悉している理由は、
会社に雇われているのではなく、会社へ貢献しているくらいの高い意識があるからです。
少なくとも、筆者が知り合った優秀な営業マンたちは皆そうでした。
彼らは、営業会議に出なくても、へっちゃら。
「お客さんとの約束が優先じゃ。営業会議に出たって、ナンボ儲かるんじゃ」
と、社内よりも社外(顧客)を優先します。
それもそのはず、売上金を払ってくれるのは、上司でも、同僚でも、部下でもなく、社外にいる顧客です。
優秀な営業マンに限って、社外を優先するのは、創業者と同じく、当然の帰結なのでした。
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