相対的顧客戦略[3]
顧客戦略の目的
顧客戦略の目的は、プロモーション経費を抑えることにより、利害得失を図ることにある。
(幾度か取り上げたように)マーケティングの4Pの一つであるプロモーションは、遠まわしな値引きに他ならない。
プロモーションは、販売を推進するための諸活動で、広告・広報・販促・営業の四分野に分けられる。
いずれも経費がかかる。経費は、利益で賄われる。
ということは、経費が少なければ少ないほど、利益を失わずに確保できる。
わかりやすく計算すると、100万円の広告費をかけて、100万円の利益を得たとしてもプラスマイナス0。
それが、1万円の広告費で、100万円の利益なら、99万円の儲けになる。
広告費のみならず、ペイドパブやニューズレターなどの広報費、ノベルティやDMなどの販促費、営業交通費や営業人件費(給与)も、少なければ少ないほど利益は拡大する。
要するに、売り込まなくても(プロモーションしなくても)売れるようにすることが最大の目的。
経営学者ピーター・F・ドラッカーの「マーケティングとは、セリングを不要にすることである」との解釈に顧客戦略は一致する。
マーケティングの理想形
もしドラで有名になったドラッカー教授の、
「マーケティングとは、セリングを不要にすることである」
との解釈通り、売り込まなくても(プロモーションしなくても)売れるようにする顧客戦略は、マーケティングの理想形である。
理想形とは?
1)既存の顧客が維持されること
2)新規の顧客が既存顧客化することで、自然流出した既存客数が補われること
3)顧客全体が増え、顧客選好できるようになり、優良顧客が増えること
以上の(1)~(3)は、難しい話でも何でもなく、拙著「あなたが会社の利益を殺す犯人だ?」の冒頭にある通り、三本の棒グラフで図解可能なシンプルな話である。
翻せば、既存客が少ない限り、優良顧客を増やしたくても増やせないということである。
そこで「お客さんを選べない」とお嘆きの諸氏は、ぜひ振り返ってみて頂きたい。
(タクシーやコンビニのように顧客選好が不可能な業種業態を除き)お客さんが少ないのは、
1)見込み客が少ない
か
2)新規客が少ない
か
3)既存客が少ない
の
いずれかではなかろうか?
だとしたら「少ない」を多くすることである。その方法論がプロモーションである限り、プロモーション費をゼロにするのは困難。
顧客を得るにはプロモーション(広告・広報・販促・営業)あるのみ。ということは、マーケティングの理想と現実は、二律背反していることになる。
果たして、実現可能なのだろうか?
ドラッカー教授のマーケティング論は、机上の空論だったのだろうか?
理想形を実現する方法
必要不可欠であるプロモーション費を可能な限り抑えることによって、利益を確保するのが顧客戦略の目的であることは述べた。
では、
1)既存客を減らさず
2)自然流出した分だけ補い
3)優良顧客のみ増やす
という理想形は実現可能か?というと、可能である。
そのために有効な方法論が接触戦略で、その(地味ながらもパワフルな)効果は実証済み。
その方法論を用いると、
1)既存客からリピートが入る(既存客が増え、既存客からの仕事量が増える)
2)新規客が増える(自然流出した既存客数が補われる)
3)顧客数全体が増える(優良顧客が維持され且つ増加する)
という理想形が実現する。
顧客七階層に基づいて労力配分するため、とくにBtoBで有効。
もちろん、接触戦略を布いている企業もあろうし、それはそれで良いのだが、正しい接触でなければ、効果を発揮しない。
それどころか、むしろ、やらない方が良かったと後悔することになる。なぜなら「な~んだ、結局、売り込みかよ…」とウンザリさせてしまうため。
接触するなら、正しい接触たるべし。
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