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言葉とイメージの狭間で

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ヨーロッパ文化史に関する話題を中心的に扱いながら、人間がいかに考え、行動するのか?を、言葉とイメージという2大思考ツールの狭間で考える日々の思考実験場
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2021年9月の記事一覧

目的を見失った仕事

どんな場所を目指すのかがわかっていなければ、どんなコンパスや地図があろうと、目的地にたどり着くことはできない。 目指す場所がわかっていなければ、どこにたどり着こうとそこが目的地なのかが判断できないのだから。 手段ではなく目的に焦点をこんな当たり前のことは誰でも理解できるのに、なぜか目的地のことをおざなりにして、ツールや方法に固執してしまうのを目にすることは少なくない。 一言でいえば、手段が目的になってしまうということなのだが、そうなると、それが何の手段かは見えなくなり、それ

好奇心の機能不全と編集する力

唐突だけど、フランス・ブルターニュ地方への玄関にあたるレンヌの街のレンヌ美術館にある、Cabinet de curiosités(好奇心のキャビネット)という部屋が好きだ。 絵画や家具が並んだコーナーもあるが、ここに掲載した写真のような小さな彫刻や人形、化石や道具類が収められたガラス棚が趣味にあった。雑多で悪趣味な感じがなんとも良かった。パリのマレ地区にあるカルナヴァレ美術館が好きな理由とも似たところがある。 さて、このキャビネットは所謂「驚異の部屋」で、18世紀のクリス

仕事の準備と行為の7段階理論

1つ前のnoteで準備の話を書いたけど、もうひとつ書くの忘れてた。 仕事が早いか遅いかも準備次第だということを。 準備できてるから仕事が早い仕事が早い人はたいてい驚くほど前から準備をしてる。何の準備がいつ必要になるかが予測できてるから、つねに準備は万端だ。 どの準備を何時ごろまでに終わらせておかないと他の準備との関係で間に合わないかを把握できているから準備が間に合わないということはない。 準備が間に合ってるからこそ、ちゃんと仕事ができる。 準備ができていれば、その場ではあ

知ることと創造性

多かれ少なかれ仕事をするには創造性(クリエイティヴィティ)が求められる。 いや、そこまで広げるまでもなく、創造的な仕事をしたければやっぱり準備だよねと思う。それなしでそれなりのことできるなんてことないから。 その意味で、準備以外に生きる時間を何に使うの?と本気で思う。 まあ、創造そのものをする時間にも当然使うのだけど、創造の時間ってなんとなく自分で時間を使ってるというか、創造の時間に巻き込まれてるって感覚がある。 前に話題にした中動態の世界かな、と。 そうなると能動的に

発見とは即ち地平を広げることであるならば

自分が何をやりたいかわからない。 よく聞く言葉だが、この意志の不在の問題は、自分の外の事柄への理解(力)と相関しているはずだと思っている。 自分の元からの理解の枠組みでは物事の理解がうまくても、その外に、別の理解の枠組みがあることを想像することをしないと、新たな意志は生まれない。外の世界に飛び出して、自分とは異なる理解のフレームワークがあり、そこにある他者のロジックを発見しようとするところに、「これをしたい」という意志は生じるのだと思う。 それは発見への意欲であると同時