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小児の言語聴覚士デビューに向けてしておくべきこと 5ステップ

私のInstagramの質問箱に、先日こんな質問が来ました。

「来春から小児分野の言語聴覚士として働き始めます。就職前にしておくべきことはありますか?」

この記事はそんな小児の言語聴覚士デビューを控えた方の疑問を解決します。

なぜなら、ちょうど10年くらい前、私も同じ立場として不安でいっぱいだったからです。

記事の中では小児の言語聴覚士デビューに必要なスキルを5ステップに分けて説明しています。

この記事を読むことで、実際に働き始めたときに使える知識をあらかじめ身に付けておき、小児の言語聴覚士デビューでの不安を少しでも軽減できます。


小児の言語聴覚士とは?

言語聴覚士としての就職先は年齢別に大きく分けると2種類あります。

1つ目は成人分野、これは大人の方を対象としています。

2つ目は小児分野、これは子どもの方を対象としています。

一般的に「子ども」は18歳未満を指しますが、対象年齢は施設によって

  • 未就学児まで(小学校に入学するまで)

  • 小学生まで

  • 中学生まで

  • 18歳になるまで

と上限を決めている場合があります。

いずれにしても、小児分野の言語聴覚士は子どもの言語発達を主な職域としています。

対象とする年齢や中心となる年齢層(ボリュームゾーン)は就職先によって変わりますので、事前に把握しておくと良いでしょう。


小児の言語聴覚士として必要なスキル

小児分野には小児分野ならではのスキルが様々あります。

なぜなら、成人と小児では対象とする疾患・障害の違いがあったり、評価で使用する検査や訓練プログラムの立案に違いがあったりするためです。

実際に、私は急性期病院で働く中で成人と小児を両方経験しましたが、共通する部分もありつつそれぞれに違ったスキルもまた必要であると感じました。

そこで、小児の言語聴覚士デビューにあたって必要なスキルを身に付ける方法を5ステップでご紹介します。


小児の言語聴覚士デビュー ステップ1:教科書の読み込み

まずやっておいて欲しいことは、手持ちの教科書を読み込むことです。

世の中には小児の言語聴覚士が主に担当する発達障害や知的障害などに関する書籍が様々売られています。

ですので、そういった一般書を読むことも学びにはなるのですが、まず教科書をしっかり読むことが大切です。

新しい書籍を購入するよりもまず、教科書を読み返してください。

全ての臨床の原点は教科書です。

国家試験対策のために読むのではなく、実際に働いたときに出会うお子さんに関連する事柄であると思いながら読むことが重要です。

臨床に出なければイメージがつかない部分も多いかもしれません。

しかし、働き始めるとしばらくは慣れない環境で目の前のお子さんのことでいっぱいいっぱいになるので、教科書をゆっくり読む時間はなくなると思ってください。


小児の言語聴覚士デビュー ステップ2:一般的な発達の知識を入れる

小児の言語聴覚士が養成校でさらっとしか習わないことが、この一般的な発達の知識です。

なぜかというと、専門知識の習得を目的とした学校では、疾患や障害に関する評価や訓練方法の習得にフォーカスしがちだからです。

しかし、一般的な発達が分からないのに疾患や障害を見分ける目は育ちません。

特に新卒から小児に就職してしまうと、発達障害や知的障害といったいわゆる一般的な発達とは異なる発達の仕方をしているお子さんしか知らない、ということになりかねません。

教科書と併せて、子どもの育ちについて書かれた本を数冊読んでおくことをおすすめします。

個人的には保育士試験の勉強を通じて、一般的な発達の知識が更に深まったと感じています。

ちなみに、発達について網羅されているオススメ書籍はこちらです。
『発達がわかれば子どもが見える―0歳から就学までの目からウロコの保育実践―』
乳幼児保育研究会・著,編集


小児の言語聴覚士デビュー ステップ3:地域の情報を集めておく

小児の場合は就職先を利用される方が近隣にお住まいの場合が多いです。

つまり、お子さんがその地域の保育園・幼稚園・学校に通っていることが多いということになります。

ですので、就園・就学に際しての情報提供を求められることもあります。

地域の教育機関の情報、学区は最低限把握しておく必要があります。

学校の場合は聞こえとことばの教室、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校も確認しておきましょう。

学校見学や就学児健診の日程などは過去の広報や学校だよりを見て知ることができます。

また、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの情報提供や連携も行うことがあります。

事業所情報は地域の役所HPなどに掲載されていますのでご確認ください。

新規の事業所の立ち上げも頻繁に行われますので、随時見て情報を取得していくと良いでしょう。

私は就職先の所在地の地図帳を購入し、そこに掲載されている地域の情報を集めて付箋で貼っていました。

地域の土地勘がない場合はぜひやっておきたい下準備です。


小児の言語聴覚士デビュー ステップ4:遊びや遊具、絵本に詳しくなる

最初の頃は就職先にある遊具、絵本を使って指導を行っていくことが多いと思います。

しかし、段々とそれではお子さん1人1人に合わせたアプローチが難しい場合が出てきます。

自分にとって使いやすい道具も分かってくるかもしれません。

そんな時、この遊びや遊具、絵本の知識が活きてきます。

遊びについては育児書なども参考になりますし、幼児番組なども手がかりになります。

未就園児であれば『いないいないばあ!』『おかあさんといっしょ』『シナぷしゅ』といった幼児番組はぜひ見てみてください。

未就学児であれば今やっている戦隊モノや『プリキュア』、『アンパンマン』、『すみっコぐらし』、『機関車トーマス』、『鬼滅の刃』などのアニメもおすすめです。

キャラクター名を知っているだけでコミュニケーションの扉が開くきっかけになります。

「今子どもたちの間で流行っていること」を知っていることで心理的距離が一気に縮まります。

ちなみに、電車や車といった乗り物、恐竜などにものすごく詳しいお子さんもいます。

こちらが知識を増やしておいてお子さんから一目置かれることが有効な場合と、お子さんが知っている知識を披露したくてこちらが何も知らない方が有効な場合とがあります。

その辺りは臨床場面で臨機応変に対応すると良いでしょう。


遊具に関しては、デパートのおもちゃコーナー、トイザらス、100円ショップなどで情報を得られやすいです。

Instagramの育児・知育アカウントを見たり、Amazonのおもちゃランキングを見たり、グッド・ドイアワードも要チェックです。


絵本については書店の絵本コーナーをはじめとして、各出版社のHPやInstagram、絵本ナビなどのサイトを利用して情報を集めると良いでしょう。

私はよく書店の絵本コーナーを巡っていましたし、そこに置いてある出版社が出しているフリーペーパーを持ち帰って参考にしていました。

また、意外とブックオフなどの古本屋さんに掘り出し物があります。


小児の言語聴覚士デビュー ステップ5:親御さんの気持ちを知る

小児の言語聴覚士はお子さんと親御さんの両方に対応していくという特徴があります。

親御さんがどういう心境でお子さんを連れてきてくださっているのかを知ることは、お子さんのことを考える上で外せません。

言語聴覚士と会っている数十分で何かが大きく変わるわけではなく、大事なことは言語聴覚士と会っていないその他の時間の過ごし方です。

最近は言語聴覚療法に通っているお子さんのことを情報発信されている親御さんも増えてきました。

YouTube、Instagram、Twitterなどはもちろん、書籍も多く出ています。

もちろん、その情報が全てのお子さん・親御さんに当てはまるわけではありません。

しかしながら、実際に面と向かってなかなか心のうちは吐露しにくいですよね。

対面では聞くことが難しい親御さんの思いや考えを知ろうとすることは臨床に大いに役立ちます。

ぜひ色々な親御さんの声を積極的に聞いてみてください。


最後に、心がけとして持っていたいこと:障害名を通して子どもを見ない

様々な知識を身に付けたとしても、目の前のお子さんや親御さんを見ずして臨床はできませんよね。

その際に小児の言語聴覚士としての心がけとして重要なことは、お子さんを障害名というフィルター越しに見ないことです。

1人1人違った個性があり、そのお子さんに合ったアプローチを模索するのが仕事です。

ですから、障害名でひとくくりにできるものではありません。

常にその気持ちを忘れずにいることが大切です。


まとめ

小児の言語聴覚士デビューに向けてしておくべきこと 
 ステップ1:教科書の読み込み
 ステップ2:一般的な発達の知識を入れる
 ステップ3:地域の情報を集めておく
 ステップ4:遊びや遊具、絵本に詳しくなる
 ステップ5:親御さんの気持ちを知る


この5つのステップを踏めば、小児の言語聴覚士デビューをされる方の不安は軽減できるかと思います。

ぜひやってみてくださいね!

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