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外国人エンジニア面接の思い出

少し前、Xでは外国で働くエンジニアについて盛り上がっていた。
外国と一言でいえど、アメリカやカナダといった比較的移住者を受け入れやすい土壌が整っている英語圏を目指す人が多いようだ。

日本人が海外、ではなく外国人が母国以外で暮らしエンジニアとして働くケースを考えてみる。


ベトナムで暮らす外国人エンジニアたち

自分は3年前まで、ベトナムでIT企業を経営していた。
その中で人員を確保するため、人材募集系Webサービスをいくつか利用したことがある。そのときに募集してきてくださったエンジニアたちの思い出を書いてみよう。

なお、当たり前のことだが、本人が特定できないよういろいろぼかすためあまり面白くないかもしれない。
たとえ日本語でこうして記事を書いていようと、彼ら彼女らのプライバシーのために我慢してほしい。

人材募集してきた人々

自分が経営していた会社は、比較的給与が高いということもあって多くの募集が来た。
最も多いのはベトナム人だが(ベトナム語で募集かけているので当然)、一定の割合でその他の外国人が来る。

フランス人エンジニア

ベトナムは、国の歴史上フランスと縁が深い。
そのおかげかある程度のベトナム在住フランス人がいることは知っていた。

そんな中、応募してきた一人にフランス人エンジニアがいた。
スキル的にも問題なさそうだったため、面接を実施する運びとなった。

ベトナムでは非常に多い「時間に遅れてくる」なんてこともなく、雨の日の午後に面接を行った。
ベトナムに長く住んでいるほうだが、バイクを自分で運転せずバイクタクシーで来た。初めて来る場所はそのほうが良いので、その時点で多少好印象だ。

面接はすべて英語で行うことを了承してもらいスタート。(ベトナム人応募者に対しても同じ。募集要項にも盛り込んでおいた)
まず、とにかく早口だった。フランス人がみなそうだとは思わないが、抑揚のない早口英語でところどころ発音が独特だった。後で振り返ってみると、そのエンジニアの英語はベトナム語訛りが入っていたと感じる。

スキル的には中の中程度で、業務はおそらくなんら問題なさそうだった。
コミュニケーションについても、早口なことを除けば、おしゃべりなので同僚とも早く打ち解けてくれそうな雰囲気があった。(面接が終わった後もスコールが止むまでおしゃべりしようぜ、としばらく話していた)

なぜフランスを出てベトナムに来たか、など他愛もない話も交えつつ、給与の話をした。ほかの会社は知らないが、自分の会社では希望給与を面接時に必ず提示してもらっていた。
そのエンジニアの希望給与はヨーロッパにおけるシニアエンジニアの額面くらいだったため、お断りすることとなった。

気持ちはわかる。ベトナムにいながら高給をもらえば快適に暮らせるだろう。
だが、それならベトナム人を雇って給与を抑えたいというのが本音だ。

ロシア人エンジニア

ベトナムの温暖な気候が好きで、寒冷地の国からの移住者や旅行者もけっこう多かった。
その中で応募してきてくれたロシア人エンジニアはハイパースペックだった。何がハイパースペックかといえば、多言語話者だったのだ。

ロシア語、ウクライナ語、日本語、中国語、英語、ベトナム語が話せるという。
ゲームが趣味で、その中で覚えたと話していた。だが面接して気づいた。外国人の「話せる」はたまに驚くほどハードルが低い。
ゲーム内で「おお、すごい。日本語わかるんだ」と言われる程度に言葉を知っているパターンだった。

スキルチェックもしてみたが、こちらもオンラインでいくらか勉強した程度で業務に耐えうるレベルではなかった。
そのエンジニアも、自身の力量を理解しているのか高額な希望給与を提示することはなかったが、結局お断りすることになった。

フリーランス時代に面談受けたケース

自分が面談を受けたケースもある。
現場に入る際に、とある日本企業ではPdM(マネージャーみたいなもの)がイギリス人で、その方と面談が必要だった。
非常に優秀かつ興味深い方で、日本語はかなりのレベルで話せた上に(アニメで覚えたらしい)、自身で日本っぽいあだ名をつけて「そのあだ名で呼んでほしい」と言うほどだった。

しかし、こちらが多少英語が話せるとわかった瞬間、面談がすべて英語に切り替わり、最終的にAWSの構成をお題通りに組む手順や理由を英語でプレゼンすることになった。
日本語で面談するものだと思っていた上に、日本在住のころなんて英語はほとんど忘れていたので焦った苦い記憶だ。その面談は通ったが、数社と面談した結果、結局違う現場に入ることになった。

日本に来て気づいたが、いくつかのIT企業では当たり前に英語力を求められるようになっている。
一昔前はドキュメントを読めればOK、むしろそれだけで御の字、という風潮があったが、最近では外国人エンジニアとコミュニケーション、ないしは社内公用語が英語、というケースも少しずつ増えてきている。

グローバル化は悪くないが、そういった企業でも重要な会議が日本語で行われているのを見て「なんだかなぁ」と感じたことは仕方ない気がする。

働く国はどこでもいいがスキルは持っておこう

自分が面接したパターン、面談を受けたパターン、両方を総合して考えると、やはり自分の場合は結果がスキルに依存していたと感じる。
コミュニケーションは諦めなければなんとかなる。だが、スキルについては経験やら学ぶ姿勢やらがダイレクトに反映されている。

未経験やジュニアクラスでも、学んでいる時間に応じてスキルの差が大きく表れる。
未経験者を雇って手痛い思いをしたこともあったが、それが一つの経験値となってコーチングの重要性に気づけたので、逆に自分のスキル向上のきっかけになったこともある。

もし現在、プログラミングやITスキルを学んでいて、将来海外で働きたいと考えている人がいたら、まずはスキルを伸ばすことを強くおすすめする。
英語は住んでいたら普通に話せるようになる。(経験則)
必死こいて血肉にしたものだけが頼れる相棒だ。

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