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大学生のゆるゆる読書(?)記録 ⑥【テニスン詩集】

皆さん、お久しぶりです。3週間ほど、時間が空いてしまいました。
さてさて、大学の長期休暇も終わり、日本はすっかり秋模様。
というわけで、この読書記録も最終回……にしようと思いましたが、せっかくですので、このまま続投することにしました。
これからも、ゆるゆると更新していきますので、どうぞよろしくお願いします。


【2022/9/16(金)】
西前美巳 編(2003)『対訳 テニスン詩集 ―イギリス詩人選(5)』岩波文庫

さて、「夏休み編」最後の記録は、注文買い切り制でお馴染みの、岩波書店の本です。小さい本屋だと、そもそも岩波のコーナーがない場合も多いですよね。なので、お目当てがマニアックな本になると、ますます苦労します。

「本屋にないなら、ネットで買えばいいじゃん」とお思いの方もいるかもしれませんが、そういうわけにもいかないのです。と言うのも、この世の中には、本屋でお目当ての本を見つけて、わくわくしながら現物を手に取って、そそくさとレジに並ぶのが好きな人間もいるのです。自分の足で本屋に行って、ついでに立ち読みなんかして、そのまま購入したいんだ! ネットはむしろ注文したり、受け取ったりするのが面倒なんだ!(?)……共感してくださると、嬉しいです。

というわけで、新宿のでっかいブックファーストで、小川糸さんの『たそがれビール』(読書記録⑤で紹介した本です)と一緒に購入しました。荷物が重くなるとか、そんなことは気にしちゃダメです。


この本の紹介ですが、タイトル通り、イギリスの詩人アルフレッド・テニスンの作品をまとめたものです。「対訳」ですので、左ページが原文、右ページが日本語訳となっています。英語が得意な方なら、左側だけを読んで英語の勉強……ができるかもしれませんが、さすがに英詩は難しいので、田中はざっと原文を読んで、それから日本語訳を(ばっちり)参照しました。

今回目を通したのは、相も変わらずアーサー王伝説関連の箇所です。テニスンの作品で有名なのは、「The Lady of Shalott(シャロット姫)」『Idylls of the King(国王牧歌)』ですが、本作には「シャロット姫」と『国王牧歌』から「アーサーの死」が収録されています。


まずは「シャロット姫」の方ですが、夏目漱石が「薤露行」(読書記録④で紹介しました)を書く際に参照したことや、坪内逍遥が日本語訳を発表したことでも有名ですね。この田中、英詩に関して詳しくないし、そもそも日本の詩だってよく分からないぐらいの知識量ですが、それでも「シャロット姫」の情景描写は美しかったです。原文単体で読む能力がないのが残念ですが、日本語訳の読み比べをしてみるのも、それはそれで面白いなぁと思ってみたり。

そして、実は今回のお目当てだった、『国王牧歌』の「アーサーの死」。詩には疎くて良い感想が書けそうにないので、思い切って内容の方を紹介しますが、主に円卓の騎士ベディヴィア(Bedivere)の心情が描かれています。一般的にベディヴィアは、カムランの戦いののちにエクスカリバーを返還する役割を担いますが、そこでの彼の感情、特に剣を投げ入れることに対する躊躇いが、非常に鮮明に描写されていました。それこそ、このシーンしか収録されていないのが惜しい。ますます全編通して読んでみたくなりました。


しかし、これも有名な話ですが、テニスンは当時、酷評されていた時期もあったのだとか。……うーん、やはり芸術というものは、中々に難しいものですね。

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