就活の若葉マークのはなし
初めて就職活動らしきものを行ったときのはなし。
といっても、自分自身が就活に割ける時間があまり無く、しかしながら周りが夏から就活を始めているという焦りを感じ、何かやらなければという漠然とした気持ちで初めて出したESがたまたま通り、インターンのための面接に行くことができた。
しかしながら就活若葉マークの私は、就活には暗黙のルールがあることは知っていれど、それを具体的には知らないし、それは何処まで行えばいいものかわからなかった。
というか、「行けばなんとかなる精神」と「インターンの面接だし、そんな厳しくないだろう」と妙な自信を抱いており、あまり知ろうとしなかった。
しかし、私は就活の恐ろしさを身をもって体験することとなった。
Tokyoという片隅は恐ろしい
まず、東京という街の広さと無機質さである。
Tokyoという片隅と舐めてかかっていた。
端的に言ってしまえば、迷子になった。
元々迷子になりやすい性質なので、早めに着くように設定した。
にも関わらず、最初駅から出ることすらできなかった。
大手企業は、地下鉄の出口と自社ビルの入り口が直結している。そのことを田舎からはるばるやってきたいたいけな少女は知らなかったのである。
出口ないじゃん。
そう絶望しながら必死に歩みを進め、なんとか商業施設直結の出口にいった。しかしまた出口がない。しかも敷居の高い高級ブランドばかりが立ち並んでいる、床が大理石で貼られているきらきらデパート。
こんなところを庶民がうろついていたらSPかなんか出てきて連行されるのではなかろうか。
そんなことを思いながら階段を上がって、ど庶民は何とか煌びやかな世界から脱出することができた。
しかし、東京は田舎もんには無慈悲だった。
街の個性がなく、有名企業のビルが挙って高々に立ち並んでいるだけ。たしかにビルにコンビニ等があるが特段目印とできるものがなく、街の構造が非常にわかりにくい。
Siriに道案内を頼んだが、何の因果かGPSが作動してくれず、路頭に迷った。
一生懸命住所を入力し、ビルというビルの文字を読んで自分の現在地を特定し、徒歩6分のところを徒歩20分かけてようやくたどり着いた。
面接時間からは余裕があったものの、集合時間を3分遅刻。
この時点で軽く絶望して涙目だった。
受付の人が優しく、大丈夫ですよといいながら案内してくれた待合室で、私はまた絶望した。
服装「自由」
インターン面接選考のご案内にはそう書かれていた。
一応、例年スーツが多いとも言及されていた。
初心者の私は、夏に長期インターンに行ったり、今も精力的に就活を行なっている友人から聞きまくり、「カジュアルスーツ」もしくは「スーツ」が無難、と言われたため、ちょっと可愛げのあるストライプの入ったスーツを着て出かけた。カバンもお下がりでもらったcoachの、オフィスカジュアル風のカバンで出かけた。
しかし、それは間違いだったのだ。
待合室で周りにいた人間たちは、皆一様にお揃いで真っ黒な、「就活スタイル」だった。
いわゆる「就活スーツ」「就活カバン」なるものを身につけ、髪型も例えば女子だったらひっつめがみ、男子だったら短髪と、いわゆる「就活風」なものにしていた。
自分の姿をみる。
化粧は濃いリップ、ぱっつん前髪、おろして巻いている髪の毛。ストライプの入ったスーツ。明るい茶色のカバン。
あ、ダメなやつだコレ。
もはや乾いた笑みを浮かべるほかなかった。
「自由」。
自由の裏には制約があるというが、いや、言われないとわからん。でも空気読めてないのは、私の就職活動に対する予習や学習が足りてないからだ。とかわけのわからないことを考えるくらいには、テンパってしまった。
近くにいた男の子は、私を一瞥しバカにしたような笑みを浮かべていた。(捻くれているからそう見えるだけかも)
私は、就活に対して素直に白旗をあげた。
その後、企業の方々はとっても優しく、私の緊張をほぐそうとしてくれたり、面接も初心者の私を差別することなくしっかりと行ってくださった。たぶん他の人より長めに、じっくり緊張を解きほぐしながら行ってくださった。
ただ、私をみて、「就活するの初めて?」とおっしゃったあたり、もう若葉マーク丸見えだったのだろう。
就活の若葉マークは、たぶん見えるように貼らない方がいいのだろう。
でもこれでわかった。
就活って、難しい。
だれか、正解を教えてください。
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