エンタメ活動への憧憬とVTuberという新世界

苦い経験

わたしは地方のとある団体に十二年所属し、二時間ほどの創作作品を舞台で上演してきた。

現在は経営難と後継者不足で解散している。

 エンタメ分野は不景気では真っ先に切られがちなジャンルであると個人的に思う。生活そのものにかかわりが薄い場合が多いので仕方ないと思う。
 エンタメといっても色々で、テレビ、ネット、舞台、CDなど表現の場も様々だ。無料で視聴でき、提供する側は広告費を収入とする形も多い。

 思うに「劇場、会場へ足を運ぶこと」は最もとっつきにくいエンタメの楽しみ方なのだろうと思う。
 舞台は使用料などもすごいのでチケットはそれなりの値段になる。映画館の数倍が基本だ。さらに内容も事前に紹介しにくい。劇場と近い状態でトレーラーを撮影できるのは前日のリハくらいしかないからだ。チラシ一枚で興味を持ってくれる観客は限られている。

 表現の場を複数持つこと、一つの団体の中で完結せず似た団体や協力してくれるような団体と交流することで、内容を深め、多彩な展開をしていく必要があったのではないかと思う。私には力がなく、何もできないまま「あと一年で解散する」という決定を受けた。

 この12年で私は、少し古いエンタメの提供の仕方を見てきたと感じる。今のエンタメの提供の仕方や発展の方向を見ると強くそう思う。

エンタメ経済の発展、バーチャルという新世界

 エンターテイメントで経済が回すくらいでないとやっていけない、と感じる。大量生産大量消費の時代、モノ消費からコト消費へ移り変わるなら、エンタメはその筆頭...でもいいはずだ。便利なサービスで浮いた時間はどこに使われるのか。エンタメのはずだ。エンタメに携わりたい。そう思ってから三年。まだ何もできていない。正直悔しい。動画サイトをあまり見ていなかったためVtuberの登場に気づくのも遅れてしまった。

 Vtuberの登場により、「完全に著作物であり、意思のないキャラクター」しかいなかった世界に「意思があり、創作と現実の境界を越えられるキャラクター」が存在することが許容された。これは革新的なことだと今も感じている。現実にそのまま存在するわけではないからこその壁もある。普通に実写でやった方がわかりやすい/面白いという意見の大半はここに理由がある。
 しかしそのデメリット以上にこのキャラクター表現のもつ可能性は多い。また見分けがつくようにデザインできることも、強みだと感じる。

「リアル×バーチャル」の壁

Vtuberは、それぞれ独自のプラットフォームを持った状態でコラボを行う。基本的にはチャンネルの運営は個人で行うため、大人数でコンテンツ量が多くてもグループが成立する。しかしこの点は、Vtuberでなくても再現が可能だ。配信や動画投稿といった形式でなくても取り入れることは可能だと思う。

 今後そう言った実写のグループが登場したとする。彼らはおそらく、Vtuberよりも「外部の企業や団体の企画に参加する」ことが多いと思う。テレビ、動画配信、舞台やリアルイベントに参加するために相手方が準備する必要があまりないからだ。

 バーチャルな存在と実在の人間が同じ画角に収まるには四つの手段がある。

①ラジオ・通話形式
 ほとんどの配信、動画

②実写×モニター
 テレビ番組、リアルイベントなど

③グリーンバック×映像
 にじさんじ年越し番組

④アバター化
 にじさんじ年越し番組、ユメノグラフィア、もともとVでない著名人とのコラボ

 ①が最も手軽で、②、③もよく見かける方法だ。④は最も実写側がバーチャルに寄った方法となる。

 このような壁があるため、いち企業、いちVtuberとのコラボ、以上にはならない。ここがもったいないと私は思う。

 資金や人脈に優れた企業は自社が抱えるキャストのみで番組を作れてしまう。テレビ局と芸能事務所の役割を同時にこなす、という偉業を達成している。しかしその団体の中だけにとどまってしまう。

 現実のテレビ局では、様々な事務所のアイドルが同じ音楽番組に出演し、様々な事務所の役者がドラマに出演し、様々な事務所の芸人がバラエティに出演する。これに近いことをバーチャルで起こすにはどうのような方法があるだろうか。

バーチャルテレビ局

 一番手っ取り早いのは、バーチャルテレビ局を誕生させることだろう、と思う。個人が協力して運営したV紅白を今後運営できるとすればこういった団体しかない。そしてそんな存在は今のところ全くない。 
 個人Vtuber間のコラボのサポート→大人数のコラボ運営、視点枠、と段階を踏むことで実現の可能性がある。資金が集まるようになれば多彩な顔触れを集めて番組を作ることもできるかもしれない。波に乗れば法人化してもいいと思う。初期のスタッフがバーチャルであれば人脈をつなぎやすいかもしれない。

また複数の企業・団体が協力して番組を作り、テレビ局や動画配信企業に持ち込むという方法も考えられる。動画制作会社やモデリング会社を巻き込むとアニメの枠を狙えるのではないか。問題は資金。何の知識もないので無謀な話かどうかも判断できない。

バーチャルアイドルがいて、バーチャルタレントがいるのだから、バーチャル芸人やバーチャル女優・俳優が出てきてもおかしくはないはずだ。

未だ妄言に留まるばかり......


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