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会社のデザイナーチームで情報発信するメリット

今はフリーランスのわたしですが、過去に転職する度「デザイナーブログはやった方が良い」と勧めてきました。

日頃の業務に忙殺されていると、そんな暇はないように思えるかもしれません。そもそも、書くことにハードルを感じるメンバーもいるでしょう。

しかし、それを乗り越えた先には、会社にとっても個人にとっても、投じた労力以上に大きなリターンを得られます。今回は、その具体的なメリットをご紹介します。

採用・ブランディングへの寄与

デザイナーブログを始めたからといって、すぐに定量的な成果はもたらされません。しかし、コツコツ書いた記事は着実に積み上がり、その後の採用や組織ブランディングに効果を発揮し始めます。

例えば、外部のイベントに参加した時に「ブログ読みましたよ」と言ってもらえたり、それがきっかけで登壇につながることもあります。実際に、わたしも一度、デザイナーブログをきっかけにお声がけいただき、登壇につながったことがありました。

採用の文脈では、あなたがデザイナーチームについて詳しく解説する役目を、デザイナーブログが代わりに担ってくれます。

昨今では、エントリー前にカジュアル面談を挟むケースが増えていますが、それでも数時間の面談で伝えられることなど、たかが知れています。デザイナーブログには、人事やマネージャーを通した言葉ではなく、現場のメンバーが記した出来事が掲載されており、それらの記事を読んでもらう方が、候補者にとっても雰囲気を知ってもらえるはずです。

社内でのプレゼンス向上

デザイナーブログと聞くと、ベクトルは社外に向いているイメージを持つかもしれませんが、社内でのプレゼンス向上にも寄与します。これは、特にデザインマネージャーに知っておいていただきたいです。

例えば、事業会社において、デザイナーはほとんどの場合マイノリティです。そして、エンジニアに比べると、初めから経営レイヤーにデザイン系の人材がいるケースも稀です。

よって、内部から自発的にデザインの価値や役割を啓蒙していかなければ、あっと言う間に社内受託のような構造になってしまいます。特に、これまでデザイン周りは全て外注していたり、社内にデザイナーがいなかったような会社ではこの傾向は顕著です。

こうなると、せっかく事業会社のデザイナーとして挑戦したかった、体験のデザインや、デザインの力でサービスを伸ばす取り組みからは遠ざかってしまいます。

だからこそ、実は初期フェーズのデザイン組織ほど、デザイナーブログを立ち上げるメリットは大きいのです。人数が少ない時ほど「今は発信なんてしている余裕がない」と言われることが多いでしょう。しかし、実際は逆なのです。人数が少ないからこそ、早めに始めておくべきです。

そして、表面的には社外への採用・ブランディングを掲げつつも、裏テーマとして社内への啓蒙を意識し、したたかに推進していくことをお勧めします。

言語化のトレーニング

前述した「社内でのプレゼンス向上」とも関わることですが、デザイナーブログを書くことで、言語化のトレーニングにもなります。

昨今では、リモートワークの普及とも相まって、デザインを問わず自身のアウトプットを文章で論理的に説明するスキルが求められています。

デザイナー同士であれば、エンジニアがコードレビューの時に実装の意図を読み取るように、デザインの意図をアウトプットを見て理解できるでしょう。しかし、特に事業会社においては、説明する相手はデザイナーではない方が多いのです。

PdMやエンジニア、ビズサイド、経営陣など、相手のプロトコルに合わせて説明するスキルがあれば、あなたの素晴らしいデザインもより理解されやすく、拡げていけるようになります。

また、デザイナーの育成という文脈でも、特にジュニアクラスのデザイナーに対して学びを言語化してもらい、深めてもらうきっかけとしても有効です。

個人のポートフォリオ補強

デザイナーブログを勧めた時、一定の割合で「仕事が増えるのは嫌だ」という反応をされます。おそらく、「会社のためにやらされる」と感じてしまうからだと思います。

これは大きな声では話せませんが、会社のデザイナーブログで記事を書いておくと、転職活動の時にかなり有利です。ぶっちゃけた話、わたしが「デザイナーブログを開設しましょう」と勧める時、もちろん会社のためにと思っていますが、自分の利益のためでもあるのです。

デザイナーの転職活動だと、エントリー先に送る資料としてメジャーなのはポートフォリオですが、どちらかと言えば、作品を起点にスキルを宣伝する形式であることが多いでしょう。

事業会社では、制作物の質はもちろんですが、課題解決のために社内でどんな働きかけをしていたのか、どんなプロセスでデザインに取り組んだか、という点も重要視されます。デザイナーブログは、まさにその点を補強する資料として使いやすいのです。

また、会社のデザイナーブログとして書くことで、個人ブログよりも信頼度を高く見せられます。良くない言い方かもしれませんが、会社という看板をうまく利用させてもらえます。

その際も、例えばnoteのようなプラットフォームであれば、マガジン等の機能を利用して、記事のオーナーシップそのものは個人に帰属させられるので、うまく活用すると良いでしょう。

おわりに

今回お話したのは、主にメリットに関する内容でしたが、実際にそこから長続きさせるのは難しいことです。

多くの会社で、勢いよくデザイナーブログを立ち上げたのは良いものの、やがて更新がストップし放置されるケースは後を立ちません。

少し前に書いた記事にはなりますが、デザイナーブログを継続させるコツについても執筆しています。併せてご覧ください。

あなたの幸運を全力で祈ります!