旭山動物園の雌ライオンとイワトビペンギン

医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。今の現場は7ヶ所目。住んでいるのは札幌近郊。つい先日に引っ越して来たばかり。まだ仕事も始まってはいない。引越し休暇を満喫中だ。

僕の趣味は写真。『僕の思う最高の1枚』を目標に取り組んでいる。そのための異動でもあった。ここは北海道。行きたいところは山ほどある。手始めに『旭山動物園』へ行ってみることにした。

意外と遠い。分かっていたつもりだが、それよりも北海道は広かった。さすがに「午前は旭山動物園、午後は函館、夜は札幌」が無理なことは知っている。だが実際は、旭山動物園の開園に合わせるだけでも朝早くに家を出る必要もあった。

この日のレンズは105mm。僕のカメラは67中判なのでフルサイズ換算だと50mmの標準画角となる。動物を撮るには適さないかもしれない。けれどもそれでいいのだ。これからは何度も訪れることができるのだから。今回はこのレンズ1本で勝負と決めたのである。

とはいえ、標準レンズと旭山動物園の相性はよかった。セオリー的には望遠レンズだろう。動物の表情を撮るには必須と思える。けれども僕の撮りたいものはそれではない。うまく言語化はできないが、動物という景色そのものを撮りたいのだ。

そこへいくと旭山動物園の行動展示は相性がいい。動物の周囲やオブジェも一緒に撮りたいからだ。周りは少し華やかなものの方が都合がいい。だからといって、それを演出とは思わない。動物園という環境に宿るものも、やはり僕の撮りたい写真の手助けになってくれると考えている。

そう考えると雌ライオンの写真は失敗だった。アクリル越しとはいえ、近距離で撮影できることに心が踊ってしまった。いい写真なのでお気に入りにはすると思う。だが僕の追い求める写真とは違うと感じた。

一方でイワトビペンギンの写真はよかった。同じアクリル越しで近距離の撮影だったが、動物写真とは違う良さがあるように思えた。金属製のフレームを映り込ませたことが功を奏したのであろう。

ただ、"動物園反対"の啓蒙ポスターのようにも見えてしまう。これは今後の課題だ。誤解を生む要素は不必要。それを排除することは写真のクオリティにも直結する。そのためにも、その要素の洗い出しと排除を進めていきたい。

あっという間の2時間だった。すべてのブースを撮ったと思う。かなり楽しかった。これは癖になりそう。シーズン券を買ったが正解だった。今年中にもう一度これば元が取れる。必ず来るだろう。次はレンズを換えて来たい。

帰路は富良野経由にしてみた。休憩で立ち寄ったニングルテラスでは、また撮ってしまった。これではフィルムが何本あっても足りない。これも今後の課題であろう。僕の写真は止まらないのである。

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