次々々世代ウルトラマンの夢 【ショートショート】#13
告白すると、実は私、ウルトラマンなんです。しかも次々々世代のウルトラマンになります。初代ウルトラマンと何が違うかというと、何もかもが違うのです。
まずは見た目。私の変身した姿は一見すると人間のままです。大きく変化することはありません。いえ、一応は変身のポーズをとりますが、銀色と赤色のボディで黄色く光るお皿のような目になることはありません。しかも巨大化することもありません。
身長は175センチです。変身前は172センチなので若干身長は伸びますが、誰も気づいてはくれません。
変身するとおでこの真ん中に青色のホクロができますが、カッコ悪いのでいつもニット帽を深くかぶり、怪獣にもウルトラ警備隊の方にも見られないように隠しています。これからも絶対に誰にも知られることはないでしょう。
なので、この話は秘密にしておいてください。よろしくお願いします。
さて、私の見た目の話はこれくらいにして、私の使命について話そうと思います。実は使命は変わらず、地球を怪獣から守ることです。とはいえ、ウルトラセブンの時から時折出てきていた、「正義は何か?」「どこに正義はあるのか?」的な問題に対していよいよ向き合い考える時が来たのでした。
暴力の時代は終わったのです!
怪獣には怪獣の正義があり、地球人には地球人の正義があり、私ウルトラマンにもウルトラマンの正義があるのです。そこで今シリーズたどり着いたテーマは、今更なのですが話し合い、対話というところに落ち着きました。
そこで私は、怪獣と地球人との間に入る調停者になることにしたのです。双方の話を聴き、どちらの願いも叶う方法を話し合いで模索し続けるのです。
折り合いを見つけるとか、折衷案を考えるんじゃありません。100%お互いの大切なものが満たされる方法を、時間がかかってでも探し出すのです!
しかし、とは言っても、私はウルトラマンです! 紛れもないウルトラマンなのです!
ウルトラマンは、ウルトラマンとして地球にいれる時間はたったの3分間です。まったく時間が足りません。なのでいつも話し合いの決着は、私のスペシウム光線で怪獣を破壊して終わります。
私には夢があります! いつの日か地球上で、怪獣と地球人とウルトラマンが、兄弟姉妹として同じテーブルに付き、お互いの大切にしていることが、3分間の話し合いも必要とせず、手に手を取り、それを満たすために協力できるよう合意できるようになるという夢が!
【 実は私〇〇なんです。シリーズ#3 】