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【読書ノート】普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

社畜生活から抜け出して、南の島で悠々自適な生活を送りたい!そんな野望を持ってるみなさんにすばらしいニュースと残念なニュースがあります。まずは残念なニュースは近道はない、ということ。でもすばらしいニュースは計画を立てれば早めにリタイヤしてその生活に近づける、ということ。

2021年読書の秋課題図書である、山崎俊輔著「普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門」を読みました。最近YouTubeやブログ界隈でもよく聞くようになったFIREは英語の「Financial Independence, Retire Early」の略で、要は仕事に頼らずに済むお金を手に入れて、とっととリタイアしようってことです。

この本を手に取るくらいなので、私もこの分野には興味を持っていて、いろいろな記事を読んでいます。私がやっているFIREへの準備としては、毎月定額を何十年間もほっとけるタイプの投資(インデックスファンドなど)にほうり投げる、それから・・・、あ、それだけだったw。でもそれが定年を迎えるくらいに十分になってるのでは、と楽観視してます。

っていうかね、よくよく計算してみると、基本的なことを抑えていればどうにかなると思うんですよ。この本にもそれ以上の難しいことは書かれていません。ということはこの本が役に立たないかというとその逆で、基本さえ抑えておけば準備は自然と整うということなのです。

「年収をもっと増やす」「ムダな支出を減らす」「できるだけ高利回りで増やす」

以上!

まず最初の「年収をもっと増やす」ためには、社内の規定をチェックし、自分の年収を増やすルールを理解しましょう。たとえば会社のお金で勉強して資格を取り、毎月資格給をもらいつつ、転職時にはその資格を売りにして内定を取るなど、いくつかのアドバイスが載っています。

日本の外にいる私からみると、日本に住む方々はこの「年収をもっと増やす」という部分を軽視しがちな印象があります。終身雇用の名残なのでしょうか。同じ10%貯金をするにしても年収1千万と400万では額がまったく変わってきます。

逆に、次の「ムダな支出を減らす」は得意な方々が多いと思います。山崎さんは「できるだけ生活の質は落とさず、コストだけ落とす」ことを提案しています。アメリカ版FIREの推進者たちは、スタバのコーヒーを節約する、みたいなみみっちいことに集中するのではなく、「大きな固定費を見直せ」とよく言います。その代表格が家賃や持ち家。本当に東京のど真ん中に住む必要がありますか?その部屋数、どうしても必要ですか?山崎さんがおっしゃる「コストだけ落とす」はそういうことだと思います。

それが最後の目標に続きます。基礎的な生活コストはなるべくアップせずに、年収を上げて差分を貯蓄に回して貯蓄率を上げ、それを「できるだけ高利回りで増やす」 。でもここで変な投資詐欺に引っかかっては元も子もありません。

日本の皆さんは、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった制度を活用して個人的に資産形成に取り組めますよね。これをまずは満額入れましょう。そしてインデックスに投資。この手の投資はどれだけの期間投資したかが一番重要です。山崎さんも注意喚起します。

「早く口座を開設する」ことと「できるだけ満額で利用すること」が大切。

その通り!あとインデックス運用においては、値下がり時に売らないことと、値下がり時に積立(新規購入) を中断しないことが大切、とも書いてあります。これも非常に大切。なんなら一度入れたら、値段の上がり下がりは見ない方がいいくらいかも。あ、あともし満額入れられなくても、とにかく早く始めるのが大切ですよ。

FIREの種類についても書かれています。

■ 40歳代でのFIRE(夢がありますが、難易度は高い)
■ 50歳代でのFIRE(日本のFIRE本に多い)
■プチFIRE(標準的な引退年齢より 5年早いリタイアを目指す)

ちなみに私が目指すのは最後のプチFIREです。私が働く機関の正式な定年は67歳で、早期定年(減額された年金を受け取れる)は56歳。私は足腰が健康な70歳くらいまでは日米を行き来して暮らしたいと思っているので、67まで待つとそのドリームライフが3年しか楽しめない計算になります。だから62くらいでさっさとリタイアできるだけの資産を構築したいなぁ。

山崎さんは「プチFIREなら、 2000万円+2000万円から実行できる」と書いていますが、アメリカは物価が高いので、数億円は必要になるんじゃないかな。うー、長い道のりだ!

FIRE希望者が目指す「4%ルール」。この本では「資産1億円(年400万円× 25 年分)を達成し、年4%の収益を確保すれば、取り崩しは永遠に不要となる」と説明されています。つまり1年間の生活費を総資金の4%以内に抑えることができれば、FIREは実現可能という夢のようなコンセプトです。ただ山崎さんもおっしゃる通り、これはインフレが激しいアメリカでは難しいです(ちなみに今年のインフレは6.2%!)。

実はアメリカはインフレが継続していますから、高利回りが実現しているといっても、その数%分は、物価上昇に相殺されている面があるのです。現在の日本のように数十年間、ほとんどインフレしなかったというのはまれなケースです。・・・
実は「インフレ率+ 4%」にしないと 4%ルールが主張する「資産が減らない」はウソ なのです。それはかなりハードルの高い目標設定になってきます。

ただ今後何十年も日本のデフレ状態が続く可能性は少ないわけで。何よりもさらに何十年もデフレが続いたとして、他国との競争という観点ではよくないわけで。今後の資産形成において、この事実を考慮に入れられるかどうかは大切です。

さて、私が希望通り、プチFIREができるとして、「自分がやりたいことは何か」を考える時間は今から作っておく必要があります。長く続けられる趣味について、いくつか用意しておくといいようです。

経営コンサルタントの大前研一氏は、趣味についてインドアの趣味とアウトドアの趣味、ひとりでやる趣味と複数人でやる趣味で「2×2」の表をつくって、それぞれ2つずつ見つけておけば一生困らない、と述べていました。

なるほどね〜。ただただやりたいことを羅列するのではなく、バランスよく趣味を作るわけですね。インドア派の私はアウトドアの趣味がまったく思いつかないので、今からアンテナを張ってないと。

ただ、リタイヤ=遊んで暮らす、と決めつける必要がないのが、FIREのいいところです。

経済的に余裕があれば、仕事を趣味のように位置づけ「やりたいことだけやる」ステージに変えることができます。 FIREを目指したらぜひ達してみたい境地のひとつです。

本当そう!私も性格上毎日遊んで暮らすのは難しそうなので、それまでにやりがいがあって楽しい仕事を見つけられたらと考えています。文章を書く仕事も楽しそうだし、教育の機会を享受できていない子供たちを助けられるような仕事にも興味があります。

FIREはお金の問題だけではありません。その目標に向かって効率的なライフスタイルを構築し、将来どうやって過ごすかを考え抜く。そういう複数の側面に少しずつ焦点を当てたすばらしい入門書でした。


#読書の秋2021   #日本版FIRE #ディスカヴァー

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