見出し画像

盆栽鉢を金継ぎしてみた

買ったばかりの盆栽鉢を割ってしまった。

伸びざかりのミズキの木があったので、根っこを剪定するついでに鉢も新調しようと思ってたのに。

どうしよう。捨てるのももったいないし、接着材でちまちま直さなきゃいけないほど高いものでもない(それだったら買いなおしたほうが早い)。

よく見れば、まあ全面的に割れてはいるものの、粉々というわけではなかった。いっそのこと金継ぎでもしてみようか、と思ったのはこのとき。

先達に会う

とはいえ金継ぎなんてやったことがないので、手をつけるの、めんどうだなあ…と思ってしばらくそのままにしていた。

そんなあるとき。

時々行く居酒屋でたまたま隣の人と仲良くなった。本当に偶然なのだけど、なんでもお仕事のかたわら金継ぎをやっているらしい。こんなことあるんだ。

というわけで、ここぞとばかりにいろいろと聞いてみた。

金継ぎといっても、その方がやっているのは本物の漆を接着剤として使う、本格的な方法。漆はかぶれるので扱いにも注意が必要だし、最終的に全部乾かすのに数ヶ月かかるそうだ。

でも最近は初心者向けの簡易キットも売られていて、そちらは漆を使わず普通の接着剤を使うから比較的簡単にトライできるし、乾くのも早い。と教わった。植木鉢くらいであれば強度とかも問題はなさそう。

その場でAmazonを見たら、簡易キットが5000円くらいで売られていたので嬉々としてポチり、ついでにインスタも交換して「また報告しますね!」と言って別れた。

くっつける

キットが届いた。必要最低限は全部入っているので、気持ちさえ準備すればいい。

まず、割れた破片をくっつけて元の形をイメージする(パズルみたいで楽しい)。破片は全部で8個ほどだったからできたけど、それより細かくなってたら諦めてたかもしれない。

隣り合うピースを、接着剤を使ってつないでいく。2種類を混ぜ合わせるタイプの陶器用接着剤だった。

このとき、あまり順番を考えずにつなぎ合わせていったために、最後のピースがスッとはまらず、半ば力任せに押し込んだ。割れなくて本当によかった。次に機会があったら、くっつける順番には注意しよう…たぶんないけど…

補強用のマスキングテープをつけて、いったん乾くまで放置(最低24時間)

2〜3日放っておいたら、けっこうしっかりくっついていた。本当は余分な接着剤(はみ出したりしてるところ)をカッターとかで削らなきゃいけないのだが、削るタイミングを逃したのかめちゃくちゃ固かったので諦めた。

金を塗る

いよいよ金のアレを塗る。

専用の油に金属の粉を混ぜて液体を作った。おもしろいなと思ったのは、その粉が金箔とかではなく、真鍮の粉だったこと。あと、金色の液体なんて日常生活でまず見ないので、その質感もなんかおもしろい。

接着剤でくっつけた線を、2種類の筆でなぞっていく。そんなに器用でもないので、それはもう盛大にヨレたりダブったりしたけど、早めに拭き取ればなんとかなるし、まあ初めてだしいいか!という感じで、完成形がこちら。

思ったよりそれっぽくできた。接着剤の始末が気になるが、植える盆栽の向きに注意すればそこまで気にならなさそう。やったね。

今回、欠けた部分がそこまでなかったのでやらなかったけど、ふちがかけた場合はまずパテでそこを埋めてから、金色を塗るらしい。なるほどなあ。

久しぶりにこういう工作っぽいことをしたので、総じて楽しかった。

木を植える

器が完成したら、盆栽の植え替え。

植え替え自体は毎年やっている。いつもどおり、古い鉢から抜いて、伸びた根を切り詰めて、新しい土を投入して金継ぎ鉢に植え込んだ。

かわいい!!黒い鉢だから金色がよく映えております(金の線が一番それっぽく見える角度を正面にして植えている)。

ちょっと段差があるのはご愛嬌

見ればみるほど、この鉢はこうすべきだったような気がしてくる。割って正解だったかもしれない。という自己暗示

この鉢をふたたび割ったりしないよう、自戒も込めてnoteを書きました。

ちなみに盆栽のnoteはこのマガジンにまとめています↓


おまけ①

そもそもなぜこの鉢が割れたかというと、お店で買ったあと飲みに行って、帰りにふらついて落としちゃったからなのだ。ちゃんと梱包もしてもらってたのに。

もう飲み会のある日に鉢を買うのはやめます。買ったら飲むな。

おまけ②

金継ぎを教えてくれた師匠にもさっそく連絡。なんだかんだ居酒屋で会う回数も多く、金継ぎがきっかけで飲み友達までできてしまった。わーい。


この記事が参加している募集

休日のすごし方

やってみた

最後まで読んでいただき、うれしいです。 サポートをいただいたら、本か、ちょっといい飲みもの代に充てたいとおもいます。