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訪日インバウンド:2023年後半振り返りと2024年に向けて


回復するインバウンド&未回復のアウトバウンド

順調に回復したインバウンドは2023年の10月には
とうとう2019年水準まで戻りました。

それと比較して、日本人が海外渡航する
アウトバウンド
が伸び悩んでいます。
コロナ禍以降の回復は鈍く、残念ながら
まだ60%しか戻っていません
政策として始まった国内旅行向けのGo To
国内旅行が活況だったり、円安航空券代の高騰
燃油サーチャージの値上げなど直接的な要因や
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの
戦争などの世界情勢物価高による経済的な問題や、
オンライン会議で海外出張の減少、若い世代にとって
「海外旅行」の価値が相対的に低くなった
などの要因もあるでしょう。

この年末年始、休暇で海外に行く人も増えているかと
思います。2024年に期待しましょう。

https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20231220_monthly.pdf

インバウンドの恐るべき伸びしろ 

インバウンド訪日数がすでに2019年11月比を
超えたことは上述の通りですが、驚くべきことは、
国別訪日者数の第2位である中国マーケットが
2023年累計で24%しか戻っておらず

2023年11月単月で見ても35%強しか戻っていないということなのです。

https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20231220_monthly.pdf

もしも、中国マーケットがフル回復したら?
インバウンドの受け入れはどうなることでしょうか。
すでにオーバーツーリズムや人材不足が
叫ばれている今、各地のインバウンドは
対応できるのでしょうか。

成田・羽田・関空以外の就航地

例えば、中国マーケットが本格的に戻ったとすると、
2019年の中国人訪問者数は約960万人だったので、
その75%の672万人が潜在的な訪日観光客だと考えられます。
単純計算で1日あたり1万8千人です。
成田空港には全体の30%が降り立ちます※から、
5,400人が現状に加算されることになります。
1機当たり搭乗者数は200人~350人程度ですから、
多めに350人で割っても15.4機/1日当たりを
増便しなければ追いつきません。

成田/羽田/関空などメイン空港はすでに発着枠が
いっぱい
です。もちろんインバウンド増加に向けて、
成田や関空もターミナル増設や国際線の拡充など
図っていますが、まだ先の話ですし、人手不足が
深刻でこれ以上増やすのは難しいでしょう。

地方空港と地方のこれから

中国マーケットがフル回復せずとも、リピーターの
増加もあり、今後は益々地方国際空港への
インバウンド流入
が加速すると考えられます。
その地域の観光地の整備、宿泊施設や飲食などの
収容人数の拡充はもちろんのこと、空港から市内、
観光地へのアクセスなど行政のバックアップなど
資金力
も問われます。

メインの観光地で今起きている
オーバーツーリズム問題がまもなく地方にも
やってきますし、すでにやってきている所は
今後収まるどころか、まだまだ続くということです。

最後に

今年は日本に5回来たよ!」と笑顔で
アジアの友人が教えてくれました。
北海道・東京・大阪・福岡・沖縄を
楽しんだそうです。

来年はもっと来たいよ!」という言葉を
複雑な気持ちで聞きました。

2024年は日本が観光立国として
試される1年になる
でしょう。

波にのみ込まれないよう、おもてなしだけではなく、
時には毅然と対応し、課題を解決すると同時に
利益を生み出す仕組みを作りインバウンドに携わる
全ての人が、更に潤う1年になって欲しい

心より願っています。

さて今年はこの辺で。See you next year!

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