公表しない理由

中国政府が国家法を破ったという理由で、日本人を逮捕、拘束した時、日本政府が名前等を公表せず、マスコミも報道しない理由は何なのか?

相手が身代金目当てのテロリストならまだしも、活発な交流のある他国政府が自国民を逮捕したのなら、日本人の名前や所属を明らかにしないメリットなどあるだろうか。ようは政府は何もできないから、「中国相手に事を荒立てたくない」というだけではないか。

9 いわゆる「スパイ行為」
 中国では、「国家安全に危害を与える」とされる行為は、「刑法」、「反スパイ法」、「軍事施設保護法」、「測量法」等に基づき取調べの対象となり、国家安全部門に長期間の拘束を余儀なくされるのみならず、懲役などの刑罰を科されます。2014年に「反スパイ法」が制定されるなど、中国政府は、「国家安全」に関する立法や対策、取締り、宣伝を強化しています。
 「刑法」第110条には、スパイ組織に参加し、またはスパイ組織及びその代理人の任務を受け入れる行為をし、国の安全に危害を及ぼした者は、10年以上の有期懲役または無期懲役に処する旨、「刑法」第111条には、国外の機構、組織または人員のために、国家秘密または情報を窃取し、探り出し、買収し、または不法に提供した者は、5年以上10年以下の有期懲役に処し、情状が特別に重大である場合には、10年以上の有期懲役または無期懲役に処する旨が規定されています。また、「刑法」第113条には、上記刑法第110条の罪や刑法第111条の罪等について、国及び人民に対する危害が特別に重大であり、または情状が特別に悪辣である場合には、死刑に処することができる旨規定されています。さらに「反スパイ法」第24条には、いずれの個人及び組織も、国家秘密に属する文書、資料その他の物品を不法に保有してはならないと定められています。
 中国当局が国家の安全に危害を加えるものとして邦人を拘束する場合に、いかなる行為が規制されるのかなど、いわゆる「スパイ行為」の定義は必ずしも明らかにされていませんが、以下の諸点に十分留意してください。
(1)中国政府の国家秘密・情報を持ち出したり、国外の組織に国家秘密・情報を提供したりするのみならず、国家秘密・情報に属する文書等を何らかの手段で保有しただけで、「スパイ行為」とみなされ、厳罰に処されるおそれがあります。特に(手書きのものを含む)地図を所持しているだけで、その対象とみなされる可能性があります。
 さらに、最近の行為のみならず、過去に行った行為についても、調査の対象になりますので、注意が必要です。
(2)「軍事禁区」や「軍事管理区」と表示された軍事施設は、軍事施設保護法により、許可なく立ち入ったり撮影したりすること等が禁止されていますので、特に注意する必要があります。
(3)無許可のまま国土調査等を行うことは違法です。GPSを用いた測量、温泉掘削などの地質調査、生態調査、考古学調査等に従事して地理情報を窃取すると、「国家安全に危害を与えた」として国家安全部門に拘束される可能性があります。
 そのほか、「統計法」では外国人による無許可の統計調査も禁止されており、学術的なサンプル調査(アンケート用紙配布等)を実施する場合などでも、調査行為が法律に抵触することがあるので、共同調査を実施する中国側機関(学校等)との十分な打合わせが必要です。活動内容が「調査」や中国人からの「情報収集」に該当する場合には細心の注意が必要です。

10 写真撮影、政治活動、宗教活動、集会
 軍事関係の施設・設備、国境管理施設などの一部の公的施設等では写真撮影が厳しく制限されており、逮捕に至らなくても当局から一時拘束され、撮影した写真を調べられ、削除を求められる事例が少なくありません。また、一般市民や少数民族等による街頭デモなどの政治活動を写真撮影していて、警察官から撮影データの削除をその場で求められたり、記憶媒体を取り上げられたりした例もあります。撮影した対象が国家機密に触れると判断された場合は重罪となりますので、決して興味本位でこれらの施設等を撮影しないようにしてください。スケッチも取締り対象になる可能性があります。なお、一部の博物館、美術館等では写真撮影が禁止されています。撮影可能な場所なのか事前によく確認しておくことが肝要です。
 政治的と見なされる外国人の集会や行進、示威的な活動等を行うことは厳しく制限されています(「集会遊行示威法」等)。これらの活動に参加し、公安局等主管機関の関係法令等に違反した場合、活動の種類や程度によって処罰を受けます。単にビラを配布しただけでも、その記載内容が違法または犯罪と認定されれば、厳罰が科せられることになります。
 中国では外国人の宗教活動は厳しく制限されており、2018年に全面改正された「宗教事務条例」や「外国人宗教活動管理規定」等の宗教関連法令の規定に基づき、外国人の宗教活動管理が厳格化されています。個人の「信教の自由」は認められているものの、中国政府の宗教当局から許可を受けていない外国人や外国の宗教団体が、独自に対外的な宗教活動を行うことは事実上困難です。非公認の宗教団体の活動、非公認場所での宗教活動、許可を得ていない外国人による宣教活動や集会等はすべて取締り対象となり、特に外国人が中国人に対して布教することを禁止しています。外国人が「違法宗教活動」に従事したとみなされると、当局に拘束され、拘留や強制退去処分を受ける場合があります。
 中国では、集会の開催が厳格に規制されており、特に外国人による集会の開催は強く警戒されます。50人以上の集会の開催は公安局(派出所)への届出が必要であり、規模によっては公安の上級機関において集会の許可を取得する必要があります。さらに、政府の重要な会議の期間など、各地の警備強化期間には、集会の届出が受理されないこともあります。開催を予定している場合には、主催団体により、早めに公安局に届け出る必要があります。50人未満であっても、外国人が定期的に集まっているだけで監視対象となり、仮に中国の政治体制や社会秩序に反する活動(反政府集会、非合法宗教集会等)とみなされた場合には関連法令によって取締りの対象となるとされています。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_009.html



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