映画、光の子を視聴して感じたこと

 TV放送のケーブルなどを外し、いわゆるNHKや民法をみず、ネットの動画サービスと新聞だけにして数年立つ。実際のところ何も困らないというか、むしろ習慣で見ていたワイドショー的情報のほとんどが、ほぼ遮断されるため、どれだけ無駄な情報を無意識で、習慣のように頭に入れてたのかと思う。

だから、恥ずかしいことながら芦田愛菜という女優さんの名前も顔も自分は、はっきり覚えておらず、(そういえば、子役で有名だったが、いつか芸能活動やめてて、また復帰したとかいうぐらいの記憶しかない)ただ、演技を見て、若いのにすごくうまいと感じたので、この人天才じゃないのかと。

やはりこれほど有名になる人は実力があるのだなとか、あとで出演者の名前を見て変に納得してしまったのだが、いかに役者陣が素晴らしかったかとか、監督について語れるような知識は、自分にはほとんどない。

ご存知のようにNetFlixは、今話題になっている事柄と関連のある作品を勝手に私の過去の視聴とか検索と結びつけて進めるので、たぶんたまたまこの作品がおすすめになり、なぜかわらかないけど見てしまったので、前もっての情報がまったくなく、日本映画か、まぁ久しぶりに見るかみたいな感じで見出して、ああこれって新宗教の信者家族と、それを取り巻く人達の話なんだなと、しばらくして気づくことになった。

ああ、なるほど、確かに自分の好みとか過去の視聴履歴ともマッチしている。なぜなら、自分は、統一教会という一つの新興宗教(カルト色が強い)がここまで問題になるずっと前から、世界全体のカルトとか宗教についてのドキュメンタリーとか海外映画は、かかさず見てきたので。不思議なことに日本の新興宗教についてのドキュメンタリーは、amazonでも、netflixでも、なかったのだが。今回のことで、この作品が検索上位に上がったのも当然だと思うし。

で、実際に見終わった感想である。まず、素晴らしい作品だと思う。いい意味で、すごく少女漫画のように、繊細で美しいのだ。これを監督も意識していたのかは知らないけど、事実、少女の空想みたいな感じで、アニメシーンも少しだけ挿入される。 

だが、これは信仰宗教団体がテーマの作品ではない。むしろ、思春期ど真ん中の中学生の少女の目を通した、家族や、学校の友人、教師、大人たち、親戚、そして親が所属する団体に属する周りの人達といった、彼女にとっての閉じた世界=日常のお話だ。

だから、悲しいことも、少し距離を置いて見てみれば許せないようなできごとや、恐ろしいこともあるのだが、それは彼女のフィルターを通すことで、なにか滑稽だったり、切なかったりと言った具合に、すべてが結局のところ美しかったり、あるいは、なにか神秘的なもののようにすら見えてしまい、
私がカルト宗教(ほぼすべての宗教に対しても)に感じる嫌悪感が、あまり生まれてこないのだ。

カルト宗教の問題も、(それは確かに情報として与えられるので、この手の宗教団体について考える材料は提示されているとは思うが)決して都会ではない、海の見える街の、普通の女子中学生(すごく、一般t系な言い方だが)が、見たこと、聞いたこと、知り得たことしか、映画はほとんど見せないし、たぶんそんな物を監督は描こうとは思っていなかったので、ちょっと不思議な(といっても、ほとんどはよくあることで、一つだけ特別なことと言えば、彼女の両親が、彼女の幸せを願ってこの宗教団体に入ることになり今は熱心な信者となっているという一点なのだが)環境にある一人の少女の成長する過程の青春物語なのである。

ここまでで、興味がある人は、カルト宗教とか抜きにして是非見てほしいと思うほど、切なくもなり、温かい気持ちにもなれる、美しい映画なのだ。
(この映画には、いい人が多いので、余計にうれしくなる)

だが、同時に、ああ信仰宗教ってこういうもんだよね、と思ってしまうのだけは少し心配だ。(特に若い人が見た時に)これはあくまで、体験談をもとにした小説の映画化であり、やっぱり、それは物語なのだから。

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