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赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケアを読んで

繰り返し見る悪夢(フラッシュバック)についてメンタルクリニックを受診した時
「トラウマの仕組みについて理解するだけでも変わるかもしれない」
と言われ紹介された本を読んだ。

「赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア」という本で、一度の衝撃的な出来事によるトラウマ、慢性的なトラウマ、災害によるトラウマについての仕組み、支援者のあり方、そして回復までの道のりが物語形式で綴られている。
非常にわかりやすく書かれており、物語形式なのもあってするすると読み進められた。

まず、オオカミに襲われるという一度のトラウマ経験によりPTSDになった赤ずきんの話から始まる。
トラウマ記憶は「危ないので森には一人で行かない」というように、再び危険な目に合わないためのツールになる。
しかし、森を見るだけで動悸がするなど望ましくない症状がでて行動が制限されると不利益となる。
ではトラウマ記憶とどう向き合うのが良いのか、フラッシュバックが起きた時はどうすれば良いのか。
これらのことが非常にわかりやすく書かれている。

続いて、周りからの言われなき批判に晒され慢性的なトラウマになったオオカミの話へと続く。
赤ずきんを襲ったオオカミだが、彼もまたPTSDの患者であり自分の突発的な暴力について悩んでいた。
森の中のとある施設で、さまざまな悩みを持つ仲間たちと出会い交流をする中でトラウマを克服していく。
こちらは赤ずきんとは違い一度のトラウマ記憶ではなく、幼少期の心身の傷など辛い経験の積み重ねによって起こる慢性的なPTSDの話となっている。


読みながら「私のこの考え方もPTSDなのか」と衝撃を受けたり、「この感情は私も体験してきた」と苦しくなって涙が出ることもあった。

何より心に残ったのは幼少期の虐待による影響がとても大きいことだ。
養育者との愛着障害は良くないことだとは思っていたが、その後の人生に与える影響が想像以上に大きいようだ。
これは虐待だけでなく、養育者の不安定な対応(同じ行動に対してもある時は機嫌よく相手をしてくれ、違う時はイライラして怒られるといったもの)も子どもに影響を及ぼすらしい。

私の受けてしまった傷は一生消すことはできない。
でも自分の娘たちに同じ傷をつけてはいけない。
私も精神的に不安定で、イライラしてしまう時がある。
それを相手にそのままぶつけるのではなく、自分の中で咀嚼して落ち着く手段を身につけなければ。
この本を読んで強くそう思った。


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