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ジェンダー@銭湯


彼氏のおうちに行くようになり、お風呂がいつでも入れないので、銭湯や温泉によく行くようになった。
東京の西側ってこんなに温泉あるんだ!ってビックリ。
なぜかというと東京の西側エリアは昔の地層から海底にあった海草成分を含んだ温泉が湧く、琥珀色の"黒湯"と呼ばれる泉質があり、黒湯や炭酸泉の湯はスーパー銭湯なら両方ともほぼある上に、ほぼ塩サウナもついている。

逗子は好きだけど銭湯は東逗子に1つで温泉はなし、鎌倉の端っこに1か所温泉と江の島のスパくらいしかない。
横浜に暮らしてた時代は、なぜか温泉施設が3つも徒歩圏内にあったし、北海道も温泉大国。銭湯には大好きなサウナもないし…住むなら温泉があるとこがやっぱりいいなーって漠然と思っていた。

そんな東京の家から徒歩圏内にも銭湯があって、色んな人が来る。
変わった人も来るけども、それがお風呂ってもんだなと思っていた。
番頭のお姉さんは日によって違う。
番頭の年配の方は顔を覚えてくれたようで、先日
『回数券あるの知ってる??』って気にかけてくれた。
常連さんも多いので安心だが、先日銭湯でジェンダー問題に直面することになった。


どっち?!

ある日、銭湯の脱衣場で服を脱ごうかなと思ってたら、見た目が明らかに50代以上のチンピラみたいな服を着たオジサンがドカドカと独り言を言いながら入ってきた!!
えっ?! ってビックリしてしまい、服にかけていた手が止まった。
が、直後にお連れの方と思われる年配の女性が入ってきて
『あれ?どこだ?どこだ?』とオジサンっぽい人を探してた。
脱衣場に入ってくる前に、賑やかに番頭のお姉さんと話してたので、常連さんが来たんだな~ってわかったけど…
申し訳なくもオジサンみたいな方は声も低いし、どうみてもオジサン。。
"本当に女湯?!"と思って私は固まってしまった。

どっち?どっち?と頭がグルグル。
そんな低いレベルの考えでいいのか?!
女性の身体だけれども、御自身の性認識が男性・オナベさんなのか? 

脱衣所に他に一人居たお客さんは、さーーっとなに食わぬ顔で出ていった。
お風呂の洗い場で、先にゴシゴシ体を洗ってた高齢の女性が
『あぁーこんばんわ~』ってオジサンっぽい人にガラス越しに手を振って笑顔で挨拶してた。え、常連さんなのか?? 

心の声が、完全にYoutube の 
”ネ、マリサ オジサンはジョセイナノカ??”
に変換されていた。。

うーん。常連さんや番頭さんに認められてるんだから
大丈夫だろうと思うことにしたが。

オジサンっぽい人のお友達の女性も、様子がなんだか変?
声がガラガラに枯れており、酒焼けしたように低くて肌色のパンツ?みたいなの履いてる?!  気のせいなのか?! 凝視は出来ないけど、湿布が貼りっぱなしだったのが嫌だったので見てしまった。

ワタシが先にお風呂に入ろうと移動したとき、オジサンのような方が服をちょうど脱いで、胸のあたりが露わになり女性なんだということがわかった。
身体的には女性なのだが、心のことは解らない。

お風呂の洗い場でも、終始オジサンみたいな方とお友達は身体を洗いあったりしながら大いに満喫していた様子だった。ワタシはあまり長風呂できないので、20分くらいでさっと出てしまったが、その間もオジサンっぽい方は時間をかけて身体を洗ってたのが印象的だった。

信頼関係の構築

この一連の出来事で何がビックリというのは、番頭のオバチャンに、先に入ってた常連のおばあさん。一番怪訝な顔をしてもおかしくなさそうな世代なのに、オジサンみたいな人とお友達にとても友好的だったことだ。

きっとオジサンみたいな人はお風呂行くのに、葛藤とか、苦労とか今まで何度もして来たんだろうか。いや、何かしら有ったと思う。

ワタシは間接的にオジサンみたいな方を、銭湯の常連さんや番頭さんの人の信頼をもって信じられたが、普通にスーパー銭湯とかなら、入ってきた途端に騒がれかねない気もした。
銭湯に行った時間帯は遅かったので、子供が居ない時間に銭湯にくるようにしてるのだろうか?

以前、性別の認識が男性の女友達と話してた時に、彼女は『お風呂とか海とかプールは嫌い』って話してくれた。自分が女性だと周囲に思われることも、自分が認識してしまうことも嫌だそうだ。だから彼女は公衆浴場とかプールとか海にも行かない。最初その友達に会った時も外見は女性??って考えてしまって、いつカミングアウトされたかは覚えてないけれど、話をしていくうちに自然と彼女のアイデンティティーを悟ったと思う。

オジサンみたいな方は、そこまで他の人を気にしてる感じでもなかったし、横柄でもない。私の友人の様に銭湯を利用するのは嫌じゃなかったのか?気になるところだ。

番頭のオバチャンや常連のおばあさんも、そこまで深くはオジサンみたいな方とコミュニケーションは交わしてないだろうけど、容易に誰でも受け入れるって事もないだろう。"あの人大丈夫よ"って銭湯というコミュニティーで認識されて居場所が出来たのかなと思った。

彼も遭遇

銭湯を出た後、買い物に行く予定だったので彼氏がちょうど迎えに来てくれた。こういうことが有ったんだよ~って、彼氏に話したら、話を盛ってると思ったのか"ふーん" と生返事。

何軒かお店をまわり、ドラッグストアで買い物をしていると、背後から
あれ? この声?! ! ・・・!!!
なんと!!  ここに銭湯にいたオジサンみたいな方とお友達がいた!! 
ワタシは彼氏に静か~に、この人だよ!って合図。

えっなに??って言われたけど、そこで言うのも露骨で言えないので、察しろよぉ!!! と思いつつ、聞こえないくらいのボリュームで "後ろのひと、さっき話したひと!!" と合図すると、彼もビックリした顔してキョロキョロ。。

お店を出て、すこし離れてから彼が

『ホントに女性?? 声も見た目もオジサンでしょ!』

 と言ってました。男性から見ても男性に見えるんだなぁと、思いましたが… "ちゃんと銭湯の人達に常連さんみたいだし認識してもらってるから大丈夫なんだよ"と話しましたが、彼は何度か『いや、ダメでしょ』と呟いてた。

確かに、あの人が入ってきたらビックリするね・・・と納得してた模様でした。。

タイムリーな判決のニュース

そんな時に、タイムリーに外観手術なしで性別変更認めるという判決が出たというニュース。

これはどうなのかな?と思いました。

この判決結果 を盾にして、男性性器がホルモン剤で小さくなってるとはいえ、違和感あるお姿で女風呂に入って来たとしたらビミョーな気がします。
子供も女風呂にはいるわけで、大人の倫理観なんかなく見たままを素直に言ってしまうので『なんであの人 大人なのにいるの?』みたいなストレートなことを言い出すと思うんですよね。

判決のポイントで、性別の変更に外科的手術を求めることの是非が問われました。確かに、性別の変更に外科的手術が必要であれば経済力がなければ難しいので、不平等です。人は見た目で判断すべきではないといえど、だからといって公衆浴場やプールの脱衣場など、判断を誤ると沢山の人が嫌な思いをしてしまう場所については慎重に審議しなければなりません。

裁判の申立て人は法的に認められたい理由が何なのかな?と疑問に思いました。認められたいというのは、周囲の人に性同一性障害であること・自分の存在を認めて貰えるだけでは足りなかったのでしょうか?

判決やルールを盾にして"認められるべきだ、そうして欲しい"と権利を主張して、判決結果を悪用・濫用する人達が出てきた場合が問題で、銭湯のオジサンっぽい方の様に一生懸命に自らカミングアウトして、まわりにも認識してもらったり信頼してもらえるように努力してる人まで悪印象の影響を受けかねません。

ルールを行使するとしても、なにかきちんとした証明書や、信頼される履歴を作ってからではないと公衆浴場などは入れないなど考えた方がいいと思いますが証明書などに頼ると、偽造する人なども発生するかもしれません。

何がベストなのか?

これは私の個人の考えた結果なので、一個人の見解として今言える事になってしまいますが…周囲の人に認知して信頼してもらえるって一番の証拠になる気がします。 もちろん、人間失敗したり仲が悪くなってしまったり。。 一筋縄じゃ行かないことも有ります。

人間、変わっていく生き物。

たとえ友達ではなくなったとて、あの人はこういう芯がある人だったとか、最後あったときはこうだったなぁ~とか。ある程度、コミュニケーションをした結果に残る産物が、その人の歴史やモンタージュになっていく気がするんです。

この人を認めてもいいんじゃないか? 
いやどうだろう?って判断基準です。

SNSで人間性がAIに見極められているとも言われていましたが、データとして人間性がどうなのか?という点が、過去のSNS投稿履歴から炙られるのは効率的といえば効率的なので、有り得るかもしれません。

しかしながら、人間が顔を合わせて自分で努力して築き上げる信頼関係は、難しいけど一番素敵でキラキラしてるなと。ジェンダーをカミングアウトしつつも一生懸命輝いてる友人を見てると特に感じます。

ジェンダーについて考えが多様化していく未来。
果たして、何が最善なのか?皆が考えを話し合う場を設けるような社会になっていけたらな、そして番頭のオバチャンやおばあちゃんみたいな、メリハリついた優しい社会になって行ったらなと思うのでした。



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