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うさぎにも会えた「犬派?猫派?」展
28日、山種美術館で開催中の「【特別展】犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」に行ってきました。7月7日までです。
この日は雨降りだった正直どうしたものかと思ったのだけれど、日付指定の前売りチケットを購入してしまったし(それも図録セット)、この日に行かないと行ける日がもうなさそうな感じだったので、「がんばれ自分。かわいこちゃんたちが待っている!」と自分を励ましながら行ってきました。そしてもちろん、行ってよかったのでした。
平日の雨降り、という状況ながらもお客さんはけっこう来てました。(雨なので空いていた…をちょっと期待していた)
まずは犬たち。
今回が初展示だという江戸時代の《洋犬・遊女図屏風》にはロングヘアーダックス的な犬が登場していました。上記の美術館のサイトにも載っています。
なんとウィキペディアに今日現在で載っているロングヘアーダックスの写真とポージングもそっくりでした。(サムネはロングヘアードじゃないよ)
南蛮貿易が始まってからは、けっこういろんなタイプの犬が入ってきてたらしいですね(ちなみにカイウサギが日本に来たのも南蛮貿易のときだそう)。
そしてコロコロ子犬たちシリーズとしては(シリーズではないです)、江戸時代の伊藤若冲、円山応挙、長沢芦雪、明治時代の中村芳中、神坂雪佳、川合玉堂。みんなかわいいなあ。神坂雪佳のカタツムリを見つめるワンコの絵も好き。
山種美術館のtwitterより
ゆるやかな線で描かれた、かわいい子犬たち💕
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) June 27, 2024
白い子犬の目線の先には、かたつむりがいるのです❗興味深そうに見つめていますね🥰 #神坂雪佳 による多色摺木版画集『百々世草』(芸艸堂)より、「狗児」の頁を #犬派・猫派展 にて展示中です。#山種美術館 pic.twitter.com/VCMI7grL6X
図録(トップ画像左)の表紙にもなっている長沢芦雪の《菊花子犬図》は、撮影可にもなっていてスマホを向ける人がけっこういて、作品の真正面に立って絵を見るのがはばかられる感じになっているのは、ちょっといかがなものかという気もします。(といいつつ撮ってきた)
![](https://assets.st-note.com/img/1719745663830-jPnjRR6shx.jpg?width=800)
この子が特に好き。
![](https://assets.st-note.com/img/1719745866376-mVirtFFgCd.jpg)
子犬といえば、作者たちがどんな心持ちで子犬たちに向かっていたのかな、というのも気になっています。前に書きました。
明治以降の絵でいいなと思ったのは西村五雲《犬》で、後ろ足で耳を掻いているところを後ろから描いているのだけど、カキカキするのに合わせて耳がぴょこぴょこする様子に「わかるわかる!」と思う犬好きさんは多そうです。
山種美術館のtwitterより
今回Kawaii日本美術展出品の犬たちの中でも後姿が人気なのが、西村五雲の《犬》(山種美術館)。後足でかゆいところを掻こうとするポーズが何ともキュート。体を象る丸みのある輪郭線も、かわいさを強調していますね。(山崎) pic.twitter.com/mP1vZeFMih
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) January 30, 2014
猫たちのコーナーでは、当然いますよねという猫LOVE絵師の歌川国芳の猫たち。国芳の猫たちを見ると思うのは、「こういう顔の猫っていなくなったよね…」ということ。日本猫らしい日本猫というか、化け猫になりそうな日本猫ね。
古い時代劇には出てきたりします。たとえば「素浪人月影兵庫」。主人公の月影兵庫が「猫嫌い」という設定なので、けっこう猫が出てくるのですが、まあ絵に描いたような日本猫なんですよね。公式にupされている回には猫が登場しないので、その続編のような感もある「素浪人花山大吉」の第1回に出てくるこんな日本猫日本猫した日本猫、いないですよねえ…(猫の取扱いは雑)。
新しい時代劇だともう猫が現代の猫なのよね。「龍馬伝」で、気のせいだったかもしれないんですが、アメショ柄がうっすら見える猫がいました。まあ幕末に「絶対にいなかった」とは言えないかもしれないですが…。もう日本では化け猫は見られないんですかねえ。見たくないけど。
猫のほうで撮影可になっていたのは竹内栖鳳《斑猫》。柔らかそうな毛並みで、ナデナデしたくなってしまいますね。
![](https://assets.st-note.com/img/1719745972424-1eIeJvfh6c.jpg?width=800)
川合玉堂の《猫》もかわいかったなあ。寡聞ながら初めて知った現代の画家さんの絵も見られ、楽しかった。
現代では、山口晃さんの美しい原画も展示されていました。
その場でお題を得て描いた即興画だという《捕鶴圖》もすばらしかったです。いくつもの物語が想像できてしまう。なんかもう天才ですよねえ……。絵が描ける人というのはいったい前世でどんな功徳を積んできたのかと、まったく絵心のない私はため息をつくばかりです。
なんとも不思議なタコ型宇宙人の猫の絵もあって、図録のほうでも見るのを楽しみにしていたら図録には載ってなかったんですが、山種美術館のtwitterにはありました。面白いったらないです。
【今夜 #新美の巨人たち 再放送】
— 山種美術館 (@yamatanemuseum) June 22, 2024
6/22(土) BSテレビ東京 23:30~24:00
画家の #山口晃 氏が俳優の #田中要次 氏の出すお題をもとに、即興で新作を描きました! 山口氏の新作「猫ハ鋭利餡(猫はエイリアン)」は、#山種美術館 の #犬派・猫派展 で展示中。 ぜひ番組で、制作の様子をご覧ください。 pic.twitter.com/L9Ds4thsxP
鳥の絵も少しあり、上村松篁の《白孔雀》は夢の中のような美しさでした。
そして、まったく期待していなかったのですが、うさぎもいたのよ。「おお!うさぎが!」と心の中で声を上げちゃいました。速水御舟《翠苔緑芝》にうさぎが。ナゾめいて白くて赤目のおなじみのうさぎなのですが、大きな目がなんとも不思議な雰囲気です。猫もなんだか謎めいています。
《翠苔緑芝》を山種美術館の館長が解説している動画がありました(技法のお話)。うさぎのポーズについて俵屋宗達を思い起こさせると話されていますが、横になっているうさぎの後ろ足の様子など、実際のうさぎが横たわっているのを見たのではという感じもしますけどね。あの不思議な目のこともっと知りたいな。
どの絵も、動物たちに向けるやさしい視線やいとしい気持ちが感じられるものばかり。絵が描ける描けないに関わりなく、多くの人が持っているはずのその気持ち。あまねくすべての人たちが持っていてくれたらいいのにと願うばかりです。それにしても眼福な一日でした。
ではまた。
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