ディタンス#4【連載11−4】
八月十三日、長野市内で早朝から五回の空襲があった。松本にも何回か爆撃機が通り過ぎていった。その都度空襲警報が発令され、スンギは近くの防空壕で息を潜めて通り過ぎるのを待った。長野市内から逃げてきた同胞の話では、駅や工場を中心にしつこく攻撃してきたらしい。大きな爆撃ではないものの、一日に五回となると、それなりにダメージは強かった。今まで運良く空襲には遭わなかったが、いつそれが自分たちに降りかかってくるか、何も誰もわからなかった。死はいつでも簡単にこちらに飛び越えてやってくること